VSダークマスターその2
俺は最初から全力だ。あらかじめ、眼帯とマフラーは外してある。
アーツもアクティブスキルも全部使う。
まず、コインが地面に落ちた瞬間に俺のコートの影から銃を持って影人形と悪意の腕を展開する。さらに、悪意の目も空中に展開する。
同時に教官が影人形を75体展開する。
こちらの合計は82丁。
教官は142丁だ。
そこから影人形たちを展開しながら、戦いが激化していく。
まず、銃弾を銃弾で消すのは当たり前だ。
フェイント、カーブ、バウンド、スルーショット様々な弾丸が飛び交い、火花を散らす。
それは詰め将棋に近かった。
相手のスピードは俺より若干下だ。
だが、体力や防御力は明らかに上で、すでに教官の目に弾丸を浴びせたが、微量しか減ってない。
俺の連撃が切れるか、教官が俺を押し切るか。
戦いは激動していく。
撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、補充する、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、補充する、撃つ……。
一瞬でも気を抜けば負ける。
バウンドによって弾が跳躍しまくる。
どんどん弾が増えていき、訓練所で一瞬の間に二千を超える弾が飛び交う。
明らかに戦闘力では教官の方が上だ。当たり前だ、レベル267なんだから。
だが、俺の方がプレイヤースキルは上だ。
100以上の差を俺のプレイヤースキルが補っている。
周りは息をのんで俺たちの戦いを見ていた。
そして戦いが一時間に達した時、教官のHPが微量になったところで、戦局が変わった。
「強いな。お前は俺の中で最強弟子だぜ。だから見せよう。俺の最強のエクストラアーツを! エクストラアーツ、トータルガンナードラゴン!!」
そう言った瞬間、異空間から機械の竜が出現する。
手はガトリングガン、羽にはミサイルがついており、口の中には砲台が付いている。
背中や尻尾に棘の様に銃口がついており、足の爪も銃口だ。
竜が吠えると同時に口の中から散弾を放つ。
羽から誘導ミサイルが発射され、手のガトリングガンが俺を狙う。
俺は影人形を速攻でしまい。
AGIに任せて全ての攻撃を避ける。
速い、多い、避けにくい。
かっこいい機械の竜はその性能までもかっこいい。
ぜひほしいエクストラアーツだ。教官はトータルガンナードラゴンの上で影人形を操り、俺を追い詰めていく。
行く手も先を読み、詰まないように避ける。
避けきれないのは俺の弾丸で対消滅させて強引に突破する。
だんだんと追い詰められていく。
もしここで負けても、ここまで教官の奥の手を見たんだ、次は必ず勝てるだろう。
だが、それは俺の矜持が許さない。初見で勝ってこそなのだ。
俺の高速処理に脳が追い付かない感覚を覚える。
頭が痛い。だが、ここで負けるわけにはいかない。
機械の竜の猛攻を耐える。
スタミナが回復速度に追い付かなくなってきた。
徐々にスタミナが減っていく。
くそっ、負けるのか?
俺がそう思った瞬間、機械竜が崩れていく。
時間制限が来たらしい。気づけば五分ほどたっていた。
そこからは俺の反撃だった。
「今ここでダークマスターを超える!」
俺が弾丸を教官の目にぶち込む。
「レベル関係なかったらとっくに超えられてるっつーの」
教官のHPバーが砕け散る。
一時間以上の激闘は俺の勝ちで幕を閉じた。
『クエスト 教官を超えろ が終了しました。
称号・ボーナス・アイテムを入手しました』
『教官を超える弟子
教官を超えた証。
全ステータスにプラス補正』
『教官免許書
冒険者ギルドの訓練所で教官として指導できる免許書』
ボーナスでレベルが167に上がり、エクストラポイントも手に入った。
限界を超えて戦った。集中力的にこれはすぐログアウトだな。
「「「「「ワァアアアアアアアア!!」」」」」
ギャラリーから歓声が上がる。
俺が銃を掲げるとさらに歓声が湧き上がった。
俺はすぐにギャラリーに囲まれる。
全員興奮冷めやらぬようで、色々思い思いに話す。中にはサインを求めて色紙を出してきた者もいた。サインは前から練習していたので、さらさらと書く。
γのマークをもじったサインだ。
「一回ぐらいはお前に勝つつもりだったんだがな。まさか負けちまうとは」
教官が起き上がってこっちに来ると、必然的にギャラリーはモーゼが割った海の様に割れる。
「これをお前にやろう。お前なら十分に使えるはずだ」
そういって、教官は上級者のリボルバーと上級者の弾丸を俺に渡してくれた。
教官が使っていた装備だろう。耐久値無限のはずだが所々に傷がついている。
「あ、傷はおしゃれな、何か歴戦の武器っぽくって良いだろ」
「さすがはダークマスターだ。いい趣味をしている」
「だろ、俺の使っていた相棒だ。上手く使ってくれよ」
「もちろんだ」
その後俺はギャラリーをかき分け、人気のない所に行くとログアウトした。
その夜は充実感に包まれて、疲れているのに中々寝付けなかった。




