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ゼロの噂

 八月三十一日をオレは有意義に過ごすため、冒険者ギルドに登録に来た。

 ものすごい今さら感があるが、俺は登録していないことに気が付いたのだ。

 ちゃちゃっと終わらせよう。

 冒険者ギルド登録には、試練がある。といってもビッグラットを五匹狩って来るという簡単なものだ。

 俺はすぐさま出かけて、ビッグラットの眼球をぶち抜いてきた。これで終了だ。

 ギルドに登録が終わり、俺は教官の元に顔を出すことを出した。


「お前さんか、というかお前以外は前きた嬢ちゃんしか来ないんだがな。それで今日は何の用だ」

 

「特に用はない。強いて言えば何か面白いことでもないかと思っただけだ」


「何か面白いことね。そうさなぁ、というかお前の頭に乗せてる猫かわいいな。触らせてくんね」


「ダークマスターならいいだろう。いけセロ」


「にゃー」


 ふよふよとセロが俺の頭から教官の腕に収まる。

 セロを撫でていた教官がふと何か思いついたという表情をする。


「この猫の名前はセロというんだよな」


「ああ、この町に習って、スペイン語でゼロの意味を持つセロにした」


「なるほどな。お前聞いたことないか、第零の町セロの噂を」


「何? 聞いたことないな」


 WIKIにも第零の町セロなんて載っていなかった。

 

「第零の町セロはな、この第一都市ウノの地下から行けるんだ」


「ほう」


「地下はダンジョンとなっていてな非常に複雑で、モンスターもでる。推奨レベルは150ってところか」


「なるほど、丁度いい」


「そうだな、お前なら推奨レベル150ぐらいなら行けるだろう。でもトラップとかあるから気を付けるんだぞ。なんなら講習受けていくか? ギルドのクリスタルから行ける迷宮、難易度は最初からハードで行けるようにしといてやる」


「よろしく、頼む」


 俺は教官と共に訓練所の違うスペースにやって来た。

 そこには俺と同じぐらいのクリスタルが浮いており、女の人が番をしていた。

 制服からこの人も教官だと分かる。


「よう、ジュディ」


「あら、アキレスじゃない。最近はナンパに来てなかったのに、ひさしぶりね」


 女の教官がジュディ、そして教官はアキレスというらしい。初日から教官には世話になっているが知らなかったぞ。

 

「まぁな、寂しかったか? だったら俺とデートしてくれてもいいんだぜ。といっても今日はそれがようじゃない。こっちの小僧の件だ」


「ふーん。なるほど、この子に構っていたって訳ね」


「そうさ。それでお前の所のトラップダンジョンモードのハードをこいつに受けさせてやってくれないか」


「いいわよ、あら、でもこの子レベル50だけどいいの? すぐにやられるわよ」


「大丈夫だ。レベル差がなければ戦闘能力は俺より上だ」


「へぇ、彼凄いのね」


 そこまで言うと女教官はクリスタルに手をかざしてブツブツ言った。

 

「これでトラップダンジョンモードのハードが出来るわ。推奨レベルは120ぐらいかしら。この中では時間経過は普通と同じよ。その代わりスキルレベルも上がるから安心して練習できるわ。死んでも何も起こらないから安心してね」


「なるほど、早速行かせてもらおう」


 俺はクリスタルに手で触れる。

 次の瞬間には俺は石造りで、ろうそくの火が壁際に寂しげについているダンジョンに来ていた。

 

「いくぞ、セロ。俺の頭から離れるなよ」


「にゃー」


 数時間後、俺は何度も死んでいた。

 初見殺しが多いのも確かだが、単純に難易度が高い。

 落とし穴何て可愛いもので、見えないような糸が張り巡らされていたり、横の穴から矢が飛んできたり、扉を開けようと触れたら爆発したこととかもあった。

 何よりバリエーションが豊富だ。

 一回見た奴はもう対処できるが、初見殺しが多い。

 この中でモンスターと戦おうと思えば、それこそ鼻歌でも歌いながらダンジョンを突破できるようにならないといけないだろう。

 だから俺は銃をジャグリングしてそれを落とさないという縛りを設けた。

 常にジャグリングしつつ、罠を回避する。

 それを繰り返し、俺がログアウトする時間になったころ、俺は迷宮を突破した。

 最後までジャグリングは出きた。これならレベル150の地下迷宮でも行けるはずだ。

 外に出ると、書置きがしてあった。

 紙にはデートしてくるbyダークマスターと書いてあった。

 あのやろう……。  

 まぁ、いい。

 今の俺にはこの充実感さえあればいい。

 俺はログアウトし、夏休み最後の日を迎えた。


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