大道芸
店の繁盛に手伝う事になった俺。
俺たちはまず繁盛するためにどうすればいいか相談を始めた。
「ここの立地が悪い。大通りに移転しろ」
「無理だよ! 大通りは金持ちプレイヤーによって占拠されているし、プレイヤーから買うとしても一億はかかるよ!」
「そんなにか」
さすがに一億何て金は簡単に用意できない。
ではどうするか。
「ブログでも書いて、宣伝したらどうだ?」
「……すでにしてる」
どよんとマジョリナが落ち込む。
きっとそっちのアクセス数も少ないんだろうと俺は思った。
「一応私にいい考えがあるんだけど」
「何だ?」
「町で宣伝するの! 今は第四の町クアトロが一番賑わってるからそこでね!」
「いいじゃないか」
ティッシュ配りみたいに声をかけて宣伝するのだろうか?
「宣伝をするのはいいと思うんだけど、やっぱり注目を集めないとダメだと思うんだよね。そこで大道芸をするの!」
「大道芸だと、俺は見世物になる趣味などないぞ」
というか大道芸って何するんだ。セロに火の輪でもくぐらせるのか。
「何か器用さそうだし、何か出来ない?」
「俺に出来るのはせいぜい銃で敵を撃ち殺すことぐらいだ」
「よし、なら前から思ってた作戦を実行する。プランP!」
そこからプランPの説明が始まった。
名付けてピエロに弟子入り、大道芸を習おうだ。
訓練所でそう言う教官を見つけて、大道芸を習おうということである。
ということで、俺はいつも通りウノの町で銃の教官に会っていた。
「おお、今日は新人がいるのか! うれしいねぇ、銃は使う奴が少ないからな」
「いや、ごめんなさいですけど。私は銃を使うために来たんじゃないんです」
「ダークマスター、俺らは大道芸を習いに来た」
「大道芸ぃ? ふはははははっ、悪い。想像したら似合わないからさ。つい笑っちまった。まぁ、簡単のなら教えられるぜ」
教官は流石教官だった。まさか大道芸まで教えることが出来るとは。
そこから俺はジャグリング、ボールバランス、アクロバットなどの大道芸を習った。俺はすぐに習得できたが、マジョリナはどれも取得できなかった。運動音痴だ。
「ガンマさんのプレイヤースキルが高すぎるんですよ!」
と言っていたがただマジョリナがどんくさいだけだと思う。
その日は練習で潰れたので、公演はその次となった。
翌日八月三十一日。
夏休み最終日を俺は何が悲しくて道化をやらなければならんのだ。
道具類はマジョリナが用意してくれた、ただ服も用意しているのはどうなんだ?
それもマップが掛かれており魔女の館好評オープン中と書いてあるものだ。
裏には魔女の館スタッフと書かれている、Tシャツである。
オーダメイドドットコムの店でオーダメイドで作ったらしい。
この日のために前々から準備していたのだとか。
マジョリナ、プランPに張り切りすぎだろ。
「マジョリナ、道化と言ったら仮面だ。ペルソナだ。足りないから店の奴を買うぞ」
用意した道具に顔を隠すものがなかった。このままだと俺だとばれる。かっこいいガンファイターが店の宣伝なんぞ出来るか。幻滅されるのがオチだ。
そのことをマジョリナに伝えたら……。
「無駄だと思いますよ。鑑定もちに名前鑑定されるのがオチだと思います」
「そうか、だったらあのクソダサTシャツはお前だけ気てろ」
「ええー! 一人だなんて恥ずかしいですよ! 一緒に着てください!」
その後仮面の値段がタダでいいからという事で俺は魔女の館Tシャツを着る羽目になった。
なぜ俺がこんな目に……。
「ではサクラとして知り合い呼びますよー!」
しかもみられることは確定か。
俺たちは第四の町クアトロに転移する。
町の入り口近くの広場に俺たちは陣取る。
俺たちが通るといけないものを見る目で人が離れていく。
まぁ、このクソダサTシャツを見て近づく奴はいないだろう。
とりあえず、サクラが来るのを待つ。
五人ぐらいやってきた。
その中には二人知り合いがいた。アスールとパパラッチだ。
「遂にプランPやるんだね、マジョリナちゃん!」
「私も応援してますよー、ところでその横のお兄さんは誰ですか? 仮面付けてますけど。よく協力者を取り付けましたねー」
「ほーちゃんかわゆす! あ、猫ちゃんもいる、ほーらご飯だよー」
思い思いはしゃぐ客人、全員女だ姦ましい。
「おい、マジョリナ。人も集まったし、さっさとやるぞ。そして終わらせる」
「おや、その声はガンマさん?」
「そうみたいですねぇ」
アスールとパパラッチに正体が早くもばれた。くそっ、厄日だ。
他の女がガンマって誰みたいなことを言っている。それにたいしてマジョリナが、大会ベスト4の厨二病患者ですよーって紹介している。
「とっとと始めるぞ。まずはマジョリナお前が大道芸をやると叫んで宣伝しろ」
「ええ~。恥ずかしいですよ!」
「やらんと、俺もやらん」
「仕方ないですね~。皆さーんちゅうもーく。今からこの道化が面白いショーを見せてくれますよー! ついでに私たちのお店、魔女の館の宣伝も兼ねてるので、知っていってくださーい!」
ざわざわと人が集まる。十人を超えたところで、俺はショーを始めた。
まずはジャグリングだ。
徐々に球を増やしていき、球数は六を超えた。
そこで俺は空中に球を放り投げ、銃のファニングショットですべて割る。
パァンとボールが弾け、紙吹雪が舞う。
次はボールバランスだ。
でかいボールの上に逆立ちで乗る。
そのままボールを地面として回転、アクロバットを披露してやった。
次に、ボールの上に乗り五つの玉をジャグリングしながら、リフティングでボールを一つ回した。
最後に飢えに投げて、ファニングショットで全部撃ちぬく。
そんなことを何回か繰り返していると、客数は増えていった。
一時間も公演していると、球もなくなり、終了となった。
合計で100人以上が俺の大道芸を見ていたと思う。
解散し、すぐに俺はクソダサTシャツからいつものかっこいい黒のファーコートに着替える。
仮面もしまい、眼帯を目に付ける。
「ばっちしですよ、ガンマさん! 今もNPCの店売りを任せているルーナちゃんから客がたくさん来てるって連絡が来ました!」
「そうか、俺の出番は終わりだな。いくぞセロ。とにかくここを離れたい」
「あ、動画投稿してもいいですよね! 宣伝になると思うんですよ!」
「勝手にしろ」
俺はふよふよと浮いて来たセロを頭に乗せて、転移する。
その後店に沢山客がきたと、マジョリナからメッセージが届いた。
だが、品のデメリットが高すぎて全然売れなかったとか。




