使い魔爆誕
WIKIによるとモンスターを召喚するのは主に三つ。
まずはテイマー、モンスターをテイムし仲間にする。
次に召喚士、別名サモナー、モンスターを異空間から召喚士戦う。
最後に魔女、使い魔を一から生み出し、使役する。男でもなれる。
モンスター一体はプレイヤー一人と同じ価値がある。
このゲームはパーティが最大六人なため、モンスターを使う職業は基本的にソロだ。
俺はソロだし、別にプレイヤー扱いでかまわないが出来ればアイテム扱いがいい。
そうすればしまえるし(さらっといったが残酷かもしれない)。
俺はどうするか考えて、魔女に俺用の使い魔を生み出してもらうという事を考えた。
魔女といえば魔女の館の店主だ。
今まであったことがないが、張り込んでいればいずれ会えるはず。
いざという時のために俺は銀行から金を降ろすと、第二の町ドスの魔女の館に向かった。
魔女の館の中に入ると、俺は適当なところに玉座を置いて葉巻を吸いながら、店の主を待つことにした。
俺は書置き用のブラックボードを見ると、
『ご来店ありがとうございました。
デメリットが激しい品しかないですが買ってくれるとうれしいです。
by、マジョリナ。
来店者数:5』
となっていた。
一か月で俺以外で四人しか来ていないのか。
どんだけ繁盛してないんだこの店。
それに他にメッセージを書き残しているのが俺しかいないという事実。
たぶん、俺以外に呪いの品を買った者はいないんだろうな。
俺がWIKIを読んで待っていると扉を開く音がした。
そこにはいかにも魔女ですといったとんがり帽子をつけた少女がいた。紫を基調とした服を着ており、肩にはフクロウが乗っている。
おそらく彼女がこの店の主マジョリナだろう。
彼女は入ってすぐにブラックボードを見るとため息をついた。
「はぁ……全然人が来ない」
「ほーほー」
「ほーちゃん! 気にするなって? うん、そうする!」
「ほっほー!」
俺に気付いていないようだ。そして来客数が増えていないことを残念がっている様だ。
そこでNPCの売り子が声をかけた。
「店主さん、お客様が来ております」
「えっ、ほんと!」
そう言ってこっちを振り返るマジョリナ。
「おうふ、厨二だ」
「失礼だな。俺はお前の所のお得意様だぞ」
「まぁ、うちの商品付けてれば厨二ファッションにもなりますよね。ってもしかしてお得意様ってことはガンマさんですか!?」
目をキラキラさせて尋ねるマジョリナ。肩のフクロウがほーっとなく。
「そうだ」
「おおー、お噂はかねがね、第一回武闘大会でベスト4で教官目当てで訓練所に通うホモの人だとか」
「そこのフクロウを撃ちぬいて今日の晩御飯にされたいか?」
「冗談! 冗談ですってば~」
冗談が通じない人だな~とぼやくマジョリナ。誰がホモだ。いやその発想が出てくるこいつは腐っている女か?
「腐ってる女か」
「私にそっちのけはありませんよ!? それでいつも買ってくれているガンマさんがわざわざ私を待って何様ですか?」
俺は率直に用件を言った。要はアイテム扱いの使い魔を作ってほしいと。
「なるほど。小動物を愛でるのはだれでもしたいですよね! 案外可愛いところあるんですねガンマさんも!」
「強者がワインでも飲みながら小動物を愛でる。強者の特権だ」
「あ、違った厨二だった」
ほーっとフクロウが同調するように鳴く。
「アイテム扱いの戦闘に参加せず、ただいるだけの使い魔を作ることは出来ますよ。ただ一つ約束してほしいのはちゃんと愛してくださいね! そうじゃないとかわいそうです」
「わかった。約束しよう」
「それと言いにくいんですがアイテム扱いだとめっちゃ金掛かりますよ? 500万Gぐらい」
「それぐらいなら払える」
「おお、マジっすか。宝くじでも当てたんですか?」
「闇ギルドの支部を潰した」
「へ?」
「正確には闇ギルド黒い果実の支部を潰し、賞金稼ぎ(バウンティハンター)ギルドで金を貰った」
「ええ~! 何ですか何してるんですか、さり気に凄いこと言ってません!?」
テンション高いなこいつ。
「そうでもない。割と簡単だった」
「そうですか、ただのホモじゃなかったんですね」
「おい」
ぎろりと俺はマジョリナを睨み付ける。
「冗談ですってば! えっと、じゃあさっそく使い魔を作りましょう! どんな子がいいですか?」
話題を逸らすようにマジョリナが使い魔の話題に入った。
俺はあらかじめ考えていた使い魔の姿を教える。
「黒猫に飛べる程度の小さい黒い羽をつけた奴にしてくれ」
「りょうかーい! では材料集めをしなきゃいけませんね。羽の付いた黒猫だとそうだな~……」
とつらつらと材料をいうマジョリナ。
それをそろえるために一日かかるという。
俺はその日はマジョリナと打ち合わせに時間を使い、ログアウトした。
翌日。八月三十日
打ち合わせで朝から会おうと約束していたので、打ち合わせ場所の第一の町ウノの広場に行く。
早めに来てしまったので、玉座に座り葉巻を吸いながら待っていた。何故か俺から離れていく人たち。やはり俺のオーラに臆しているか。はっはっはっは。
「あ、いました。でも声かけにくいなぁ」
遠目から覗いているマジョリナの声が聞こえる。
なぜ声をかけにくいんだ。普通にかければいいだろう。
逆に俺が声をかけに行った。
「よう」
「おっす! 朝からどす黒いオーラだして声かけにくかったですよ。明らかに周囲から浮いていましたし」
「それが強者の定めだ」
「はいはい、それでは猫ちゃんの材料を買いに行きましょう!」
強者の定めはあっさりとながされ、材料を買いに行くこととなった。
第一から第四の町を転移しまくって買い物をする。
もっとスムーズにできないのか。第一は第一でまとめてほしいものだ。
「揃いましたよ! これで猫ちゃんが作れます!」
「そうだな」
材料がそろったのは五時間後だった。
女の買い物が長いとは聞いていたが、ここまでとは。
途中で食事したり、違う品物を見たり、していたから時間がかかってしまった。
俺たちは第二の町の魔女の館に帰る。
「そういえば、使い魔を作った後の報酬を言ってませんでしたね」
「金か? 百万ぐらいなら払うが」
「いえ、お金は要りません。その代わり手伝ってほしいことがあります」
「なんだ?」
「それはその時までのお楽しみって事でー!」
「なんだそりゃ」
何を手伝わされるか知らないが俺はもう待ち切れん。
早くセロ(使い魔の名前)に会いたいのだ。
俺は二階に案内された。
「さて猫ちゃんをつくっちゃいますよー!」
魔法陣が掛かれた床に材料を並べていくマジョリナ。
ブツブツと何かを呟くと、魔法陣が光っていく。
ぼふんっと煙が噴き出る。
煙が晴れたとき、魔法陣の上には材料はなく黒い羽の生えた子猫がいた。
「完成です! 猫ちゃん、あの厨二病患者があなたのご主人様ですよー」
「にゃー」
すりすりと俺に近寄って来るセロ。厨二病という意味が分かるのか。いや違うな、なつくべき相手を本能で分かっているのだ。
「お前の定位置はここだ」
そう言って俺はセロを頭の上に乗せる。
完璧だ。
これで俺にも新たな強者の風格が出てくるというもの。
帰りにワイン買って帰ろう。
「無事成功ですね! かわいいですね、私にも触らせてください」
「ダメだ。もうセロは俺の使い魔だからな」
「ええー、というかセロって猫ちゃんの名前ですか? もっとかわいいのにしましょうよ」
「お前の場合、どうせにゃーちゃんとかだろう。セロの方が億万倍マシだ」
「ぐっ、ばれてる」
ひとまずセロの生成は無事終わった。
セロはステータスを持たないアイテム扱いだ。耐久度も無限だ。
インベントリにも入れる。いつもは頭の上に乗せるつもりだがな。
「さて、ではセロちゃんの生成も終わったところで手伝って貰いましょうか!」
「何を手伝うんだ?」
「この店の繁盛です!」
「無理だろ」
「ヴぇ!?」




