試練その2
クリスタルに触れて、第四の試練を開始する。
俺は囲まれていた。
まわりには無数の人の形をかたどった死体。いわゆるゾンビだ。
全員が首にマフラーを巻いており、様々な武器を持っている。
三百体はいるだろう。
まったく、これはファンタジーゲームだぞ。世紀末じゃねぇんだ。
とやかく俺は戦いを始める。
ゾンビはちゃんと目がついており、俺はそれをぶち抜く。
片目とかの奴もいたが、目の空洞に撃ち込めばちゃんとクリティカル判定になるようだ。
弾数にしておよそ20発で倒せる。
簡単に計算しても600発か。アーツを開放しておいてよかったぜ。
少し本気を出そう。
俺は影人形と悪意の腕を展開する。
これで三百対四十二の銃だ。
ゾンビはせいぜい十体ずつしか攻撃して来ない。
残滅するのにそれほど時間はかからなかった。
動きもとろいし、全て近づく前に撃ちぬいた。
中には銃を持っており、撃ってくる奴もいた。撃ってきた弾を撃ちぬいて消滅させた後、逆に撃ちぬいてやった。
視界が変わり、元の場所に戻る。
『エクストラアーツ、スカルランチャーを取得しました』
『スカルランチャー
発動条件:戦闘開始から100秒、発砲弾丸数1000発
発砲弾丸数によって威力の変わるランチャーを召喚する
装弾数は1000発に付き1発』
ガトリングガンと同じ系統か。これも威力によるな。
「アンデッド集団も簡単に片づけてしまうのね。お姉さん感心だわ。あいつら全方向からやって来るから銃使いの天敵みたいなものなんだけど、あなたには関係なかったわね。隠し玉もあったようだし」
「あれは隠し玉なんかじゃなく、俺の通常だ」
「へぇ、このまま第五の試練も突破するのを期待してるわ。次はかなり難しいわよ」
「期待しておこう」
俺はクリスタルに触れて、次の試練を開始する。
目の前には無数のハエがいた。
ハエがハエの形をかたどっている。
世に言う魔王ベルゼブブをモチーフにした敵だろう。
適当に撃つと、それだけで一匹のハエが死ぬ。
だがそれだけだ。
おそらく敵は万を超える軍団。
単純に考えると一万回は撃たないといけない。
持久戦になりそうだ。
俺はそんな事を考えながら、影人形と悪意の腕を展開した。
数時間後、俺の戦闘はまだ続いていた。
全然数が減らない。
というか再生している。
攻撃パターンも豊富で、うでのかたちをとって薙ぎ払って来るとか、闇の焔を噴出してくるとか、ハエの竜巻だとか、パターンがつかみにくい。
ただ一つだけパターンを掴んだ。
やつは攻撃と攻撃の間に必ずハエの王の形態へともどる。
そこが狙い目だ。
緊張感の続いた戦いもこれで終わらせる。
俺は奴が攻撃の節目にハエの王の形態に戻ったと同時に、エクストラアーツを発動した。
エクストラアーツ、トータルガトリング。
土台と一緒にガトリングガンが召喚される。
俺は席に座ると、トリガーを引いた。
「虫けらが! 蹴散らしてやる!」
無数の弾丸がベルゼブブを襲う。
秒間でいくら出ているか知らないが、ガンガンハエが減っていく。
再生など許さない。
あっと言う間に数が減って行って一分も経てばハエは一匹残らず消滅していた。
視界が変わり、元の場所に転移する。
『エクストラアーツ、アルティメットバレット を習得しました』
『エクストラアーツ、アルティメットバレット
発動条件:戦闘開始から60秒
その銃に装填されている弾丸を、究極の弾丸に変える。
弾丸は、超鉄属性、超炎属性、超貫通属性、超破壊属性、超ダメージ増加、クリティカル確定の効果がある』
かなり使える。それに俺好みの効果だ。最高で六発だけ、強い弾丸に変える。とくにクリティカル確定がうれしい。いままで眼球に当ててきたが、これで額に中を当てて人を倒すことが出来る。その方がかっこいいからな。
パチパチパチと拍手の音が聞こえる。
振り向くと、カウボーイ女が拍手していた。
「まさか突破するとは思わなかったよ。実は試練には制限時間があってね。あと三分で強制終了するところだったんだ。なんにせよおめでとう」
「ギリギリだったわけか、俺もまだまだだな」
「あなたの戦闘能力はレベル50にしては群を抜いているわ。それでこのまま六の試練も挑戦するのかしら?」
「いや、時間だ。俺は帰る」
時刻を見れば夜遅い、ログアウトの時間だ。それにかなり集中力を使った。精神的にも疲れたし、いったん休むのがいいだろう。
「あら、残念。またあなたが来るのを待ってるわ」
俺は地下を後にして、第一の町に戻るとログアウトした。




