色々
俺は気づくと神殿にいた。
ここは死んだプレイヤーが死に戻る場所だ。
俺はすぐにインベントリを確認する。
「大半がなくなってやがる」
金は勿論、今までの狩りで手に入ったアイテムの半分以上がなくなっていた。
最後にあいつは強奪と言っていた。あれはアイテムを奪う属性を攻撃に追加するPK職の基本アーツだ。
かなり強奪のアーツが高かったんだろう。俺のアイテムの大半がなくなるわけだ。
だが、強奪は器用さであるDEXを参照し、奪われる側はLUKを参照する。俺はLUKが高いから、装備が奪われなかったんだろう。
全ての装備はそのまま持っている。
俺はその日はもう狩りに出かけずに、ログアウトした。
翌日。七月二七日。
俺がログインするとフレンドからメッセージがきていますと表示された。
『アスール
勝利の悪魔のお守りが売れました!
何と120万Gです!
売り上げを分けたいので、お店に来てください!
待ってます!』
『パパラッチ
ユニークキャラ交流会を企画!
ユニークなキャラの皆さんに同じメッセージを一斉送信しています。
ユニークキャラの皆さんが集まって交流会をしませんか?
きっと楽しいと思いますよ!
以下場所と時間の記載』
ふむ、枕マンがパパラッチに頼んでいたのはこれか。
ユニークキャラ交流会ね。場所は第二の町ドスの情報通の集まりというクランの集会所か、時間も俺が行ける時間だ。
あんまり興味はないが、せっかく誘われたんだ、行ってみるか。
時間までまだまだある、さきに俺はアスールの露店に行くことにした。
「待ってましたよ~、ガンマさん! 取りあえず取引で売り上げを受け取って下さい!」
「分かった」
露店に行くとアスールが待っていた。
取引で売り上げの九割である108万Gを貰う。
「いや~、ガンマさんのおかげでぼろ儲けですよ。今後もよろしくお願いしますよ、ゲッヘッヘ」
おい、こいつゲッヘッヘっていったぞ。そんなこと言ってると品位が下がるぞ。
「買いたいものがある」
「なんです?」
ゲスモードから切り替わったアスールが疑問を口にする。
「ジッポかマッチだ、葉巻に火をつける道具がないことに気付いた」
「ああ~、確かに火を付けないと使えませんもんね。この店にはマッチしかないですがただでお譲りしますよ」
そう言ってインベントリからどさどさとマッチ箱を取り出す。
五十個はあるだろう。柄が動物なのが否めないがタダでもらえるなら貰っておこう。
俺はマッチ箱をインベントリにしまう。
「他に何かありますか~」
「そうだな、玉座がほしい」
「玉座!?」
葉巻を吸うときに何かに座っていたらかっこいいなと思っていたのだ。で、かっこいい椅子と言えば玉座だ。
「ホームでも買うんですか? あれ安いのでも100万Gしますよ?」
「いや、ただ葉巻を吸う時に使うだけだ」
「あー、はいはい。かっこいいですもんね! それなら装備屋通りにあるゴージャスっていう店がいいですよ。その名の通りゴージャスな家具がそろってますよ」
「分かった。また来る」
そう言って俺はアスールの店を後にする。
目指すは店舗ゴージャスだ。
ゴージャスは看板が金縁なだけで見た目はそんなにゴージャスでなかった。
ただ中に入ると、そこは王城の如き豪華さで、圧倒された。
「いらっしゃーい! 君は何をお探しで? おや、ザ・厨二さんではないですか。大会見てましたよー」
プレイヤーの店員らしき人が話しかけてくる。ティアラを頭に乗せて、青いドレスを着る姿はどこかの王女様に見える。
「俺はザ・厨二という名前ではない。俺は今、玉座を探している」
「ほーほー、玉座をね。なら君にぴったりのものがあるよ」
そう言われて王女っぽいのに付いて行く。店の端まで来るとそこは魔王城の風景みたいなのが広がっていた。黒を基調とした豪華な家具がそろっている。
「ほい、そこの魔王の玉座がおすすめ!」
指を指された魔王の玉座は、黒のクッションに金縁、髑髏の装飾が施された玉座だった。
まさに魔王の玉座だ。
「買おう」
「毎度ありー! どうせなら他の家具も買っていかんかね?」
「いや、俺が欲しいのは椅子だけだ」
「そっかー。欲しくなったらいつでも来てねー!」
俺は魔王の玉座の値段である2マンGを払って、玉座を買い外に出る。
「転移、ウノ」
その後俺は第一の町ウノに転移して、ギルドの訓練所を目指した。
ユニークキャラ交流会の時間まで訓練するためだ。
「ひさしぶりだな、ダークマスター」
「おう、一週間ぶりだな。そんなたってないぞ」
慣れ親しんだ訓練所に入ると教官が出迎えてくれた。
「でもうれしいぜ。お前が訓練を終えてから暇で暇でよう。それで今日はどうしたんだ」
俺はPKに狙われたことや、それで手も足も出なかった事、PKを倒せるようになりたい事を話した。
「PK? ってのは良く分かんないが用は弱点をさらしてないやつに勝ちたいって事だろ? なら訓練だな」
「ダークマスターならそう言うと思った。それでまず俺は何をすればいい」
「いきなり訓練って言いたいところだが、まずは転職してこい。25レベル以上なら上級職になれるだろ?」
WIKIには25レベル以上なら上級職に転職が可能だということが書いてあった。ただし上級職には転職クエストをうけたりして資格を手に入れなければならない。
「お前の持ってるリボルバーの免許皆伝の称号があればガンファイターになれるはずだ。」
「なるほど、では行ってくる」
転職は死に戻りをした神殿でできるとWIKIに書いてあった。
俺はウノの町の神殿に赴くと神官にガンファイターに転職したいと話す。
資格は教官が言った通り、リボルバーの免許皆伝で事足りた。
俺の職業がガンファイターになり、取得できるスキルが増えた。
30のエクストラステータスポイントと50のエクストラスキルポイントも貰った。
俺はすぐに訓練所に戻り、教官に報告した。
「よし、無事にガンファイターになれたようだな。それじゃ早速訓練するか」
そう言うと教官はインベントリからゴーグルとマフラーを取り出す。
そして俺に渡すと、教官自身もゴーグルとマフラーを装着した。
「これはただクリティカルポイントを隠すだけのアクセサリーだ。これを付けた状態で俺と戦って貰う」
「だが、どうやってクリティカルポイントが隠れている相手と戦えばいいんだ?」
「方法はいくつかある。盾になっている物の死角から撃つ。盾となっている物の耐久値がなくなるまで攻撃する。盾となっているものを外させる。貫通弾で強制クリティカルを起こすなどだ。今回は盾となっているものを外させるのを重点的にやる。こぶしや蹴りでゴーグルやマフラーを外させればいい」
教官にはほかに、ゴーグルやマフラーは初心者シリーズだから壊すことは無理だからといった。初心者シリーズは攻撃力が低かったり、防御力が低いかわりに耐久値が無限だ。消耗品は例外だが壊れることがない。
つまり今回の戦いでは教官が言う通り、外させる方法しか使えないわけだ。
「いくぞ!」
俺と教官の訓練が始まった。




