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本戦

 翌日。

 本戦がやって来た。

 俺の一回戦の相手は毛ガニというやつらしい。

 中々にジョークな名前の持ち主だ。

 本戦は観客席が解放される。

 観客席の場所取りのおかげで闘技場の中は空いていた。

 それでも人が多い。

 今は開始30分まえだが、待機室に行っていてもいいだろう。

 待機室の前に行くと、パパラッチがいた。

 

「パパラッチか、お前は観客席に行かなくていいのか?」


「私はねー、待機室から出てきた本戦出場者にインタビューする予定なのさ」


「なるほど、だったら俺にインタビューするのは最後だな。いや、ないかもしれないな」


「おお、優勝宣言! 期待してますよ」

 

 俺は待機室に入る。

 俺の試合は一番最後だ。

 約一時間後といったところか。

 まぁ、その前に開会式があるから三十分後に一旦コロシアムにワープするが。

 そして俺は三十分後、コロシアムにワープする。

 

「「「「「ワァアアアアアアアア!!!」」」」」


 俺がワープすると同時に観客が盛り上がる。

 横を見ると俺以外にも本戦に出る奴らが立っていた。

 順番的に俺の横に立っている、大剣を背負っているやつが毛ガニなのだろう。

 俺は腕組みして立つ。


「さあ、いよいよ始まりました! 第一回武闘大会ぃぃいいいい!! 進行は私、GMの一人ギーマが務めさせていただきます!」


 そう言うのは頬にGMと書いてあるお姉さんだ。分かりやすい。


「今回の大会は色物ぞろいで楽しみですねー。では早速一回戦を行ってみましょう! 一回戦はアルベルトVSセンチネルです!」

 

 俺は気づけば観客席の一つに転移させられていた。

 席は玉座のような形をしており16席ある。

 特別席という事か。

 てっきり出番まで待機室だと思っていた。直に見れるとは嬉しい誤算だ。

 アルベルトは白い鎧に白い二本の長剣を構えていた。

 対するセンチネルは黒い鎧に盾とランスを構えている。

 何やらアルベルトとセンチネルが話している様だが観客席の声のせいで聞こえない。


「試合開始!」


 アルベルトがまず攻めた。センチネルは盾を構えてカウンターを狙っているようだ。

 アルベルトが剣を振るう、センチネルが盾で剣を弾き、ランスを突き刺す。だが、ランスはアルベルトのもう一本の剣で逸らされた。

 そこで弾かれたほうの剣をアルベルトがセンチネルの喉元を切る。

 それでHPが七割削れた。

 喉は確定クリティカルポイントだからな。クリティカルが出たわけだ。

 いきなり七割削れたことになったセンチネルは焦って戦い方がおざなりになった。

 10秒後にはHPバーが砕けちりセンチネルが負けた。

 

「試合終了! 勝者、アルベルト! いやー圧倒的な剣舞でしたねぇ、ほれぼれしました」


 こういう感じで、試合は進んでいく。

 あっと言う間に俺の出番だ。

 

「八回戦目は毛ガニVSガンマです!」


 大剣を背負った毛ガニが俺の前に立っている。

今俺は転移してコロシアムの中心だ。


「よろしくな、ザ・厨二!」


「俺の名はガンマだ、ザ・厨二ではない」


 俺の呼び名もっといいの無かったの無かったのだろうか。例えばダークネスとか。

 さて毛ガニはごついプレートアーマーを装備している。

 喉元も覆ってある。

 必然的に狙うのは目という事になる。

 今までも目を狙ってきたのだ。問題ない。


「試合開始!」


 次の瞬間試合は終わった。

 予選と同じだ。目にぶち込んで終わり。

 毛ガニは心底驚いた顔をしている。

 

「え、終わり? まじで?」


「所詮、俺の敵ではなかったな」


 こうして俺の一回戦は終わった。

 次の相手はフェリオというレイピアを持った剣士だ。

 素早さにかなり振っているらしく、前の戦いではザクロセブンというナイフ使いを素早さで翻弄していた。

 薔薇の刻印が入った鎧を付けており、俺とは違った方面のイケメンだ。

 さわやかイケメンって奴だな。


「次の戦いはフェリオVSガンマです!」


「ふっ、君も大会優勝を狙っているのだろうが。僕も薔薇の騎士団団長として逃すわけにはいかない。悪いが倒させてもらう」


 薔薇の騎士団団長? なるほど、俺と相反しそうな組織だ。


「残念だが優勝は貰う。せいぜい楽しませてくれよ」


 ニヤリと笑いながら俺は返事をした。たぶんこいつはこういうの好きなタイプだ。

 

「試合開始!」


 俺はいつも通り銃弾を撃つ。

 しかし、その弾は目に当たらず、目の横を掠り抜けた。

 AGIに振っていることはある。だがすぐに勢いがなくなった。

 たぶん初動が早くなるスキルを持っていたんだろう。

 二発目で終わりだ。

 

「試合終了!」


「俺に二発目を使わせたのはお前が初めてだ。命拾いしたな」


 ねぎらいの言葉を掛ける。後半はそういうなんだ、プレイだ。ロールプレイ。


「普通に二発目を撃ってくるとは、僕もまだまだ修行が足りない。情けをかけて貰ったようだね。いずれ君の力を借りる時が来るだろう」


「ふん、好きにしろ」


 取りあえず観客席に戻ってから、フレンド登録を交わしといた。こいつとは波長が合うからどこかで共闘するかもしれないしな。

 次の戦いはマッチョというシンプルな名前のキャラが相手だ。

 文字通り筋肉キャラで二メートルの身長にフルプレートアーマーを付けている。

 兜も顔がすべて隠れるようなものを被っており、弱点を見せていない。

 様に見えるだけだ。視界を確保するために目の部分は普通に空いている。

 それだけあれば充分だ。

 おそらく防御型のタンク。スピードのない相手など俺の敵ではない。


「次の戦いはマッチョVSガンマです!」


「よろしく頼むぜ! まぁ、勝利は俺が貰うけどな!」


「勝つのは俺だ。その事実は変わらない」


「試合開始!」


 俺はリボルバーで相手の眼球を狙う。

 そして命中した。

 だがやつのHPバーは一割までしか減らない。そして二発目を撃つ前に奴が持っていた大盾で視線を塞いでしまった。

 奴は大盾を構えたまま動かない。

 微動だにしない。

 

「どうした? 勝利するんじゃなかったのか?」


「このまま勝つさ」


 といいながらも微動だにしないマッチョ。

 勝つ気あるのか?

 俺の体力は満タンたいしてマッチョは一割、判定勝ちでこっちが勝つだろう。

 いやそうなるのか? ルールの詳細を読んでないから良く分からないな。

 もしかしたら引き分けになるかもしれない。

 引き分けかの場合どうなるんだろうか。たぶんないとは思いたい。

 とりあえず挑発して盾を視線を塞いでいる状態から外させようと思ったが、全然挑発に乗らなかった。

 まぁ、このままだと俺は勝ち、または引き分けだ。ゆったり時間切れまで待つとしよう。

 俺はスキル影人形(シャドーマリオネッター)で人型の人形を浮かび上がらせる。

 といってもただの黒い影だ。

 体がもう一つ増えたみたいな感覚。あつかいが難しい。

 何とか俺は影人形を後ろに跪かせた。

 そしてその上に座る。

 椅子変わりだ。

 後はリボルバーでも磨いて、待つとするか。

 すぐに五分が経とうとしていた。

 俺は何度かマッチョに声をかけたが、マッチョは動きはしなかった。

 

「試合終了! 

 時間切れです!

 判定により、勝者マッチョ!」


 ん? どういうことだ。


「おい、待て。奴の体力は残り一割、俺の体力は満タン。割合的に言っても判定勝ちは俺だろう」


 ギーマが応える。


「いや、判定って残りの体力数値で判定するんですよ97対1でマッチョの勝利ですね」


「……」


 ルール詳細読んどけばよかったぁあああああ!!

 こうして俺の大会は終わった。

パパラッチのインタビューには「次はルールを全部読む」と素直に答えておいた。


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