7.死霊術の可能性
さて、新しく手に入った『死霊術』の検証と行きますか。スキルが手に入ったら検証するのがお約束になってきてるね。
とりあえず死体の操作を『死霊術』に変更すると、かなり楽になった。感覚としては脳を直接操って体を動かしている感じだ。歩けと念じればウサギ特有の歩き方をするし、操作を切っても倒れることなく立ったままで待機している。
なんとなくでやってみたけど、これは使えそうだ。『魂魄攻撃』で外傷を与えずに敵を倒すことができれば、それこそ生きてるのと変わらないと思う。
罠に誘い込む囮として使えば、香りコンボを使わなくても良くなりそう。
簡単な『死霊術』の検証が終わったところで、『浸食』の方に集中してみよう。
どうやら近くにあった自分と同じぐらいの大きさの草は完全に浸食できているようだ。草を操れるようになっても、使い道はなさそうだけどな。
【スキル:『浸食』がレベルアップしました】
おっと、『浸食』がレベルアップした。理由は一番小さい木が浸食できたからっぽいね。
ふむ、この木は木の実が生っているようだ。試しに一つ落として木の根元の草を操って、実が地面に激突しないようにクッション替わりにする。
そのまま草の上を転がして自分の元まで運んだ。
あー。運んだはいいけど生憎自分は食べれない。こういう時に捕食ができればよかったんだけどな。
仕方ない。『吸収』を使うか。『吸収』じゃ味が分からないから、折角の木の実が持ったいなく感じる。
木の実を吸収してみると、体に何か満ちるような感じがした。ステータスを表示しても変化はないし、よく分かんない。でも、試しにやっただけだから別にいいか。
む、『音波感知』範囲内に急接近する目標を感知!
結構速い速度で近づいてるから、このままだとあと数秒で落とし穴に落ちるだろう。
……あ、落とし穴に落ちる前にトラバサミに引っ掛かった。速度出てたせいでそのまま前のめりになって、違うトラバサミに頭から突っ込む。
【ナイトウルフを倒したことにより、経験値を手に入れレベルが上昇しました】
……結構悲惨な最期だったな。トラバサミが首輪みたいになっている。
さてレベルは、っと。11だね。進化したことで最高レベルが上がってるようだ。進化できるのは15か20辺りになりそう。
んじゃ、さっさとナイトウルフも吸収しとくか。草では無理だし、いつも通り『風魔法』かな。そう考えていると、『音波感知』の範囲内また反応がある。しかも今度は3匹だ。
ナイトウルフって言ってたし、群れで行動する魔物なのかな?だとしたら一気に獲物が狩れるね。
さすがにナイトウルフの死体があったら近づいて来ないだろうし、草で覆っておくことにしよう。狼っぽいから鼻が利くかもだし、気休め程度かな。
ナイトウルフ達は慎重に歩いてきている。というかさっき走ってきたのは何だったんだろう。群れで行動するなら、あんな規律を乱すような行動はしないだろうし何かあったんだろう。
むう、近づいて来ないな。やっぱり血の匂いがしてるんだろうか。
だったらこういう時のための死霊術だ。ウサギの死体を穴のこちら側で跳ねさせておく。ナイトウルフ達はどう動くかな?美味しそうな獲物が居るのに諦めるか、その逆か。
まだ警戒してるみたいだね。じゃあ駄目押しにこのナイトウルフの死体を操らせてもらおう。
【スキル:『死霊術』がレベルアップしました】
レベルアップはほっといて、とりあえず立ち上がらせた。そして油断しているウサギを襲うような芝居を取らせる。
気分はまるで人形遣いだ。そんじゃそこらの人形遣いには負ける気がしないね。
ナイトウルフの死体はウサギを食べるような仕草を取っていて、それを見た生きているナイトウルフ達は大丈夫だと思い近づいてきた。死体の首には首輪が付いてるのに気にしないんだろうかね?ま、いいや。
落とし穴だと1匹掛かったらばれちゃうから、草で一時的に落とし穴の蓋を強化する。強化の仕方は、蓋の下で草を網目状にしておけばたぶん大丈夫だろう。
3匹とも落とし穴の上に乗ったので草の強化を解除すると、まとめて一気に落ちていった。
【ナイトウルフ達を倒したことにより、経験値を手に入れレベルが上昇しました】
【レベルが最大値になりましたので、進化が可能です】
やった。進化ができる。進化は今の自分の生きる目標だからね。これがないとやってられないよ。
ちなみに今回は15レベルが最大だったみたいだ。
さあ、進化先の表示をお願い。
【進化可能な進化先は次の通りです】
『ビッグプラント』
『プレデーションプラント』
『テンプテーションプラント』
『スピリットプラント』
『ユニークウッド』
『ユニークフラワー』
また、増えたね。
テンプテーションって何だっけ?誘惑とかそんな感じだったかな?だとしたら、『誘惑の香り』が原因で間違いない。誘惑の草とか白い粉の原材料になりそうだ。
スピリットプラントは『魂攻撃』とか『死霊術』が心当たりがあるね。どっちも魂関係スキルだから。
後は前と同じく木になるか花になるか草の単純強化かだね。
さあ、どれにするか。
今のスタイルでいくなら、テンプテーションプラントが一番よさそうかな?罠に誘い込むには、『誘惑の香り』を振り撒くからね。
けど、少し前に木の実を味わえたらいいなとも思ったように、口が付きそうなプレデーションプラントも気になる。
スピリットプラントは、『死霊術』を使っていくなら便利そうだ。
花と木と巨大化は今回も無しかな。
テンプテーションプラントにしようか。
味覚は我慢できるし、『死霊術』もたぶんメインで使っていくことは無いと思う。
それに比べてテンプテーションプラントは、今メインで使っているのもあるし、何か不自由があったときにまだ修正が効きそうだからね。
いつかは何かに特化しそうだけど、それまでは冒険しない方が安心できる。
そんなわけで、テンプテーションプラントに進化!
いつものように意識が遠くなる。それじゃあ、また明日~。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
朝です。おはよ~。
無事に進化したみたいだから、確認ついでにステータスをドン!っと。
----------------------------------------------------------
名前:***** 種族:テンプテーションプラント LV1
状態:-
ステータス
HP:231/231 MP:40/40
攻撃:10 物防:19 器用:24
魔力:28 魔防:15 知能:27
速度:5 幸運:18
振り分け可能ポイント:46/46
<アクティブスキル>
光合成LV4、想造LV3、複製LV3、自己ステータス閲覧LV-、罠作成LV2、風魔法LV3、音魔法LV4、吸収LV4、捕食LV1、誘惑の香りLV3、超音波LV2、浸食LV3、死霊術LV2
<パッシブスキル>
言語理解LV-、貯水LV4、格上補正LV2、音波感知LV4、称号知識LV2、スキル知識LV2、魔法並列使用LV2、睡眠攻撃LV3、成長LV3、魂攻撃LV1、状態異常補正LV1
使用可能スキルポイント:40
<称号>
『異世界人』『意志ある植物』『弱食強肉』『罠師』『贋作師』『称号収集家』『スキル収集家』『捕食者』『ユニークモンスター』『成長する者』『称号愛好家』『スキル愛好家』『侵略者』『死者の冒涜者』『死霊術師』
----------------------------------------------------------
ふむ、今回はあまり変わらなかったね。各種スキルのレベルアップと『状態異常補正』の獲得ぐらいが変更点だろう。
『状態異常補正』は睡眠みたいな状態異常に掛かりやすくなるスキルだね。『浸食』と『誘惑の香り』はこれの補正を受けれるのだろうか。そのあたりは要検証だな。
とりあえず、進化する前に倒して放置していたナイトウルフ達を吸収しておこう。だけど一番きれいな死体は残す。『死霊術』で操ってみたいからという単純な理由だけど。
この3体でいくつまでレベル上がるかな?死体を近くに置いて『吸収』でチューっと。
【スキル:『吸収』によって経験値を手に入れました。これによりレベルが上昇しました】
3体とも吸収してステータスを開いてみると、レベルが3に上がっている。1体1レベル未満の経験値かな。
さて、今日はもうやることを決めている。ふふふ、なんと新しいスキルを取ろうと思うんだ。
少し前に考えついた事なんだけど、今『死霊術』で操っているのは狼とウサギの二匹。どちらもほとんど五体満足の死体だ。
『死霊術』は血の流れとかが無くても体のほとんどの機能が使える。心臓や胃、脳だって例外じゃない。そして動かせる部分の一つに試しに使ってみたいのがある。それは目だ。
『死霊術』で適当に動かしている時、どうやら目の動きも再現できているみたいだった。さすがに『音波感知』ではそんな細かいことは分からないけど、『死霊術』を通してならどこを動かしているか意識すれば分かる事に気が付いて目が動いていることも知った。
そしてその目を利用するのが『視界共有』というスキルだ。必要ポイントは20とお高いが、許可が得た者の視界を共有することができるらしい。これを使って、ウサギか狼の視覚を借りてみようと思う。
じゃあ『視界共有』のスキル下さいな。
【スキル:『視界共有』を手に入れました】
ではスキルが手に入ったところで、まずは狼の視界を共有してみよう。
……うん。問題なく見れるね。植物になってから初めて色を見ることができた。元の『音波感知』の効果も確認できているから、実質視界を二つ確保したことになるかな。
えーと、狼視点で見た自分は……あれかな?相変わらずちっさいね~。他の草に紛れているから、これが魔物だといっても信じて貰えないだろう。
ちょっとその辺を歩き回ってみよう。『死霊術』と『視界共有』がどの辺りまで有効かを調べないといけないし、意識した状態で死体を自由に動かせるように練習もしないといけない。というのは建前で本当は、もっとこの視界を楽しみたいってのが本音だね。
それじゃあ、走れウルフよ!見たことないものを見るために!……あ、罠はしっかり避けてね。