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4.第一村人発見!?

「~♪~~♪~♪」


 現在、レベルが上がったりスキルが手に入ったりした後、色々と遊んでいる。只今のマイブームは、『音魔法』で昔聴いた音楽を再現してみよう。って感じ。


 ……あっ、間違えた。ここはこんな感じだっけか。正直言って難しいどころか無謀な事なんだよね。なにせ聴覚がないから、ちゃんと音出てるかとか分かんない。なんとか『音波感知』で音の違いは分かるので、適当にこの音波はこの音階に、とかで自己満足している。


 『音魔法』をこんな風に使う分にはMPの消費が少なくて、かつ、色んな種類の音を出しているせいか『音魔法』が3に『音波感知』が4にと、レベルがどんどん上がってくれた。

 『音波感知』はレベルが上がったおかげで、半径4メートル位はほぼ正確に分かるようになった。この範囲が自分のテリトリーだね。


 こんな音を撒き散らしてたら獲物が来ないと思うけど、今は来ないほうが嬉しい。なぜかと言うと、獲物が罠にかかってくれてるからだ。しかも結構大きめだから、HPを削り切る前に他の奴に奪われないようにしたい。


 一度は『想造』や『風魔法』で止めを刺そうとしたけど、動けないようにするのが精いっぱいだった。

 さすがに硬すぎない?鉄の塊や杭を落としても簡単に弾かれてしまうし、風の刃で切り裂こうとしても無理だった。だから重りを付けた丈夫な網で動きを封じている。で、暇つぶしに遊んでたという訳だ。


 おや、『音波感知』の範囲内に何か入ってきたみたいだ。音が出てる場所に近づくなんて変わってるな。

 大きさは今罠にかかってる生き物より少し小さいぐらいだけど、たぶん歩き方からして人型だ。人間かと思ったけど、ゲーム世界だと考えれば人型の魔物の可能性もある。とりあえず人間(仮)とでもしておくか。


 どっちにしても来ないでほしい。自分の獲物が持ってかれる可能性があるし、自分の位置がばれたら何があるか分かんないしね。

 とりあえず『音魔法』は解除しとく。これで帰ってくれればいいんだけど。


 ……さすがに立ち止まったね。そのまま帰ってくれれば嬉しかったんだけど、そうはいかないらしい。罠が見つかってしまったみたいだ。つまり、罠にかかった獲物も見つかっちゃった訳で、一直線に向かっていく。

 やめて!人の獲物を取らないで!……あーもう、仕方ないから切り札出すか。

 『想造』で適当なものを人間(仮)の後ろに出す。おうおう、ビビっちゃってるねー。そりゃあ、いきなり後ろから物音が聞こえたんだから当たり前だけど。


 周りを少し見回した後、死角を無くすためか近くの木に背を付けようとする。背が付く寸前に何かに足を取られたように倒れ、逆さまになって上に登っていき、木に吊り下げられた。

 ……そういえばそこに罠作ってたんだっけ。結構至る所に罠作ったから忘れてたよ。


 うーん。どうしようかなあれ。吊り下げられた時に頭でも打ったのか全然動かないし、トラバサミに掛かってる奴が憐れむような眼で見てる気がする。

 助けるにしても、あの高さで解除したら頭から地面に落ちて死んじゃいそうで、できないんだよ。せめて目を覚ましてくれればいいんだけど。


 よし、放置しよう。あの罠自体はそこまで殺傷力ある訳でもないから、目を覚ませば助けるぐらいの気持ちで居ればいいでしょ。未遂だけど人の獲物に手を出そうとしたんだし。

 とにかく、今は『音魔法』でも使ってのんびりしよう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 『音魔法』で遊んでいると夜になった。人間(仮)はまだ目が覚めないし、トラバサミの方も死んでいない。このままだと朝になっちゃうね。


【スキル:『音魔法』がレベルアップしました】


 ほら、『音魔法』のレベルも上がっちゃったよ。いっそのこと『音魔法』で無理やり起こすか。そうと決まればついでに実験もしよう。


 人間(仮)に『音魔法』で適当な音をぶつける。大きな音でもない限りは起きそうもないし、手当たり次第に音波を変えていった。これで起きればその種類の音が大きい音だと分かる。聴覚のない自分では確認できない事だったからちょうどいいね。


 ほーら、これはどうだ?駄目か。じゃあ、こっちの方が良いのかい?

 ……やばい楽しくなってきた。音をぶつけてると、分かりずらいけど反応してくれるから遊びにはもってこいだね。トラバサミの奴にもやってるから、二度楽しいし。


 MPは『光合成』で月の光を吸収してるから全然減らない。むしろ余ってるくらいだよ。

 MPがいっぱいになる前に『罠作成』を使って罠を増やしていく。おかげで、ほとんど足の踏み場がないようになってしまった。

 一応罠同士が干渉しないようにしてるけど、一つ罠に掛かったら次々と他の罠に掛かるようになった。でもいまいち殺意が足りないんだよな。しょせんは罠だし仕方ないか。


 ……あれ?よく考えれば人間(仮)は生かしておく必要ないのか。人間でも魔物でもこんなとこに迷い込んだのが悪いんだし。人型だから無意識に躊躇してたのかな?けど気づいてしまえば、さっさと殺してしまおうと思うようになってきた。

 じゃあ、解除してやるか。これで倒せれば経験値美味しいしね。足を縛ってるロープを『風魔法』で切っt


 切ろうとした寸前、人間(仮)が動いた。

 あ、やべっ。起きちゃったよ。……どっちにしても落とすか。起きてたら頭から落ちないように頑張るでしょ。死んだら運がなかったってことで。


 『風魔法』で作った風の刃は、ロープを切り離す。人間(仮)は落ちていくが、地面に着く前に何とか頭から落ちないように態勢を整えて着地した。

 おお、すごいな。目を覚ましてすぐなのにそんな事できるなんて。でも地面についてからすぐには動けないみたいだ。まあ、動かない方が良いんだけどね。少し調子に乗って、その周りにも罠を大量に作ってしまったんだよ。


 人間(仮)はしばらく止まっていたけど、突然横になった。何してるのかと思ったらどうやら寝てるっぽい。さっきまで睡眠(気絶)してたのにまだ寝るのか。選択肢としては正解なんだけどね。


【スキル:『睡眠攻撃』を手に入れました】


 あ、ごめん。自分のせいだったわ。『音魔法』が子守歌みたいな感じだったのかな?よくみるとトラバサミの奴も寝ちゃってるし。てか、トラバサミ食らってるのに寝れるんだ。やっぱりもうダメージ入ってないのかな。


 ちなみに『睡眠攻撃』の効果は攻撃に睡眠属性が乗るらしい。しかもパッシブスキル。つまりダメージを食らっても強制的に寝ちゃうってことだね。『音魔法』も攻撃みたいなもんだし、これに乗っちゃったのかね。

 寝てるだけだから少し刺激を与えれば起きるもんだし、そこまで強くはなさそうなスキルだ。


 とりあえず『音魔法』と『風魔法』でも使ってスキルのレベル上げしとくか。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 MPの回復量が減ってきたし、そろそろ朝になりそうだ。魔法を使うのをやめておく。一晩中魔法を使っていたおかげで、『風魔法』は3に『魔法並列使用』が2に上がった。


 そろそろ起きてくるだろうなと思って人間(仮)を見てみると、すでに起きてたみたい。木にもたれ掛かっている。

 もしかして『音魔法』で遊んでいたの聞かれていた?うわー、ちょっと恥ずかしいね。歌の練習を聞かれていたとか、そういう気分だよ。


 というかこいつ、本当に人間かもしれないな。魔物がどう言ったものかは詳しく知らないけど、少なくとも音楽とかは興味ないと思うんだ。それに木から落とされた時の身のこなしとか、動きとかが人間っぽい。

 でも分からないことがあって、トラバサミの奴と話してるみたいなんだよな。お互い顔を向け合って、口を動かしてるから会話が成り立ってるように見える。


 んー、何話してるんだろうね。トラバサミの奴が助けてほしいって言ってるのか、仲良く話してるだけなのか分からない。せめて聴覚があればいいんだけど、耳が無くても声が聞こえるスキルはないのかい?

 ……返事がないね。つまり無いってことか。もしかしたら『音波感知』を鍛えれば分かるようになるかもしれないけど、今は無理だね。こればっかりは仕方ないし諦めるか。


 しばらく話していた後、人間が立ち上がって周りを見回している。口が動いているから何か言ってるんだろうね。たぶん自分に向かって話しかけてるつもりなんだろうけど、ごめんよ、あんたの言ってることは分かんないんだ。


 人間はずっと話していて、少しずつ身振り手振りも加えていっている。動きならなんとなく分かるから、そのままジェスチャーを続けてくれれば、言ってることが分かってくるかもしれないな。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 人間は疲れたのか座り込んでしまった。あれだけ長い間、話しながらジェスチャーもしてたらそりゃ疲れるよね。よくやったもんだよ。人間の頑張りのおかげで、何を言ってるのかある程度は予測できた。

 人間とトラバサミの奴は仲がいいらしく、トラバサミの奴を開放してほしいって事みたいだ。他にも何かありそうだったけど、分かったのはこれだけ。


 せっかくの獲物だし、時間もだいぶ使っちゃったから倒したいんだよなぁ。絶対こいつは経験値がいっぱい手に入るだろうから、次の進化まですぐに辿り着くだろう。

 でも、もうダメージが入ってるようには見えないから、後は餓死させるぐらいしか倒す方法が無さそう。

 ……うーん。もういいや。放してしまって新しい獲物が掛かるまで待つ方がよさそうだし、さすがに可哀そうにも思えてきちゃったからね。


 さて、どうやって外そうか。この上から掛けてる網、かなり硬い素材にしたせいで『風魔法』とかでも切れないと思う。『風魔法』で切れたりしたら簡単に逃げられそうだったからね。

 だけど一応手段はある。『想造』で網を溶かす液体でも出せばいい。ただこの方法は難しんだよ。中にいる奴に当てないようにしないといけないから、細かい調整をしないといけない。ハッキリ言って面倒だ。


 ん?よく考えたら当たっても平気なんじゃないかな?自分の攻撃が効かなかったんだし、きっと丈夫なはずだ。

 よし、それならさっさと実行だ。周りの重り近くの網でも溶かせば、網を押し退けて出てこれるだろう。えーと、確かあの液体で溶かせるよね。この液体を適当に掛ければ……おー、溶けた溶けた。幸い中の奴にも当たらなかったみたいだ。


 後はトラバサミなんだけど、取らなくても普通に歩いてるし、取るのは人間にでも任せておくか。

 この辺りから出れるように、一筋だけ罠を解除して目立つようにしてあるし、そこを通って帰ってくれるだろう。


 一人と一匹は合流して少し話し合った後、人間が何かを言いながらお辞儀して出て行った。

 ……お辞儀した方向は、自分と反対側なんだけどね。

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