パッと見素っ裸
新しいのを生みたくなるんです、そんなお年ごろだよ☆~(ゝ。∂)
たまたま宝くじ買って、たまたまそれが六億円で。
その結果。
「働きたくない、動きたくない、喋りたくない、パソコンの前にずっと居たい。そんなダメダメ尽くしが代名詞になってしまったのが、私、宮元多岐である。
いやだって、もう一生遊んで暮らせる金あれば、そりゃ働かないでしょ。
動くときはトイレと風呂と集金の時のみ。
それでも少ないって?そう言われても困る、私がそれだけ動かないのは、ちゃんとした理由があるんだから。
『キーパー―語り継ぎし血―』
キーパーと呼ばれ親しまれる、利用者の半数以上がネカマということを除けば、なんの不思議もない全世界共通オンラインゲーム。
名前からすればもしかしたら熱血スポーツ系ゲームに見えなくもないが、列記としたファンタジーだ。
王道ではあるが、他のゲームとは違う点がある。
課金料金がクソ高いのだ。
さらにはゲーム内敵キャラのレベルも初っ端からクソ高い。
さらにさらに自分のキャラのレベル上げ。普通にモンスターを狩れても意味は無い。なぜならレベルアップの為にはひたすら死んで死んで死にまくるしかないからだ。
一定の値にまで死ぬことを繰り返して、やっとレベルアップ。しかしそこだけでは終わらない。
その値がどのくらいかはランダムだしレベルアップもまさかのランダム。
つまりは『よっしゃレベルアップ来た!!……えぇ?!いきなり100Lv.?!!』状態となる事もあるのだ。
それゆえに一部では、無理ゲー、糞ゲーと呼ばれる。というか、ほとんどの人がそう言う。むしろ好き好んでやる奴なんてほんの一握りだろう。
大抵皆ここでキーパーを放り投げる。
しかしそれも仕方ないのではないか?
なんてったって、キーパーの制作会社自身このゲームの宣伝がヤバイのだから。
『暇人以外がすると棄てたくなる史上最悪ゲーム、ここに誕生。
全てのゲーマーよ、悲鳴を上げろ!我らの二の舞になるが良い!』
制作会社よ、何故作った。
見てみて欲しい、捨てたい、ではない。棄てたいになっている。
本当に何故作った。しかも二の舞か、作ってる側も飽きたのか、酷過ぎて。だが良かったな、暇人ですらも悲鳴を上げているぞ。
制作会社自身もここまで扱き下ろす何故作ったゲームだが、究極暇人な私には暇潰しにちょうど良かった。
どれだけ糞ゲーでも、どれだけ無理ゲーでも、私は六億円の宝くじを当てた女、そんな課金など屁でもない。
レベルが初っ端からクソ高いだと?ランダム過ぎてむしろフリーダム?高校中退生舐めんなそんなん気にしない。
そんなこんなで私は高校中退から早3年、1年間の総合ゲーム時間は7300時間弱と言う1日平均20時間弱やっていた。無論飯なんかは画面越しにキャラが死ぬのを見ながらだ。
睡眠?取らなすぎて倒れたが、何か。
その甲斐あってか遂に私はキーパー内最高レベルの500Lv.に到達したのだ。
課金をしまくっても残りは沢山ある。
ので、課金してアイテムめちゃくちゃ買って無理ゲーを無理ゲーと言わないような三毛猫のオスレベルに珍しいキーパーファンの中でも無理ゲーと悲鳴を上げた依頼をこなそうと思う。
そのためにわざわざコンビニまで出向いて課金して帰ってきてログインしようとパソコンの前に着席した。
さあ、ヒッキーの名の元、依頼を駆逐してやる。
…って思っていたのだけど。……………あれぇ?」
いつの間にか私は、素っ裸で見渡す限り更地に立っていた。
もういきなり過ぎて何も分からない。
現実逃避する為に真顔で突っ立つ以外何も出来ない。
体を隠す?どこを隠せと?このつるペタボディを惜しげもなく晒してやろうではないか。
ひゅるりと生ぬるい風が私の体を撫でた。あっ寒い。
ちなみに先程の長ったらしいセリフは現実逃避のための呪文的ななにかなので、あしからず。
もちろん失敗した。
現在地、更地。
更地。