鬼の教育係
「いやぁ、良かったですよ。貴方が一般的な学問の一通りは理解していてくれて。やる気のない上に出来損ないだったらどうしようかと思い、不安でならなかったですよ。」
人の良さそうな笑みのまま天迅は随分と酷いことを言う。
「天迅、余が皇子であることを忘れてはいないか?」
少々傷付いたこおをしているが、悪いことをした自覚のある眞郢は強く出られない。
「いくらなんでも時間を無駄に使い過ぎです。世の中には選ぶことのできない状況はどこにでもあるんです。そんなこと5歳児でも知っていることです。」
「だが、余は信用出来る人間をしっかり見極めなければ不安なんだ。そういう人はあまりいなかったから。」
眞郢の顔が苦しげに歪む。
「それはそうでしょう。努力もせずに待っていても貴方を信頼する人間はいないですよ。」
天迅は眞郢の苦痛を理解したうえで厳しい言葉を発する。
「ならば、何故天迅は余に本音を話してくれた?」
「…私は他人より嘘や性格を見分けるのが得意でしてね。貴方が出来損ないのふりをしていることも本当は強い意思を持っていることもわかったからですよ。本当は、今の問題もあと7問は解けたこともね。」
「…すみません。」
「王位を継ぐと決めたのならそのてを抜くけせをまず直して下さい。」
眞郢と接してみて分かったこと、彼は世間知らずの甘チャンだ。
「さて、ではこれが明日までの課題です。このあと宵殿に呼ばれているのでしょう?」
「そうだ。…だがこの量は…。」
課題と称された紙の山は優に30センチは積み重なっていた。
「明日までです。」
天迅の笑顔は崩れなかった。