未来のあなたへ
もう一度やり直して投稿しました。前回を読んでくれていた方たちには大変勝手なことをしてしまい、大変申し訳なく感じております。
刀と銃がぶつかり合い、火花が散る。
刀を持った少年は上段へ切り上げて相手の男の銃を持ち上げ、懐へ入りこもうとした。
しかし男は地面を強く踏み、態勢を崩される事を阻止して少年の突っ込みを上手く防いで見せる。銃口を眉間に合わせ、発射。撃ち込まれた弾丸のスピードよりも早く、少年はもう一本の刀の腹で弾丸を防御。眉間を守ると、膝蹴りを男の鳩尾へと繰り出す。
苦痛に呻きながら、男は銃を下に向けて少年の足を撃ち抜く。飛び散る鮮血が二人の間に流れるも、両者共にその事を気にも留めない。
動いたのは少年。右殴りに振るわれる刀。
その軌道を読み、男が銃を乱射する。
肩や脇腹、腕に銃弾を撃ち込まれるも、少年は男へ刀を振るうことを止めない。噴出し続ける血から、焦るのは少年かと思いきや、先に汗を流して焦り顔を見せ始めたのは男の方であった。一歩ずつ後ずさり、彼の斬撃から逃れながら銃を暴発させ続けるも、段々と顔から血の気が引いて行く男。
そしてついに、事態は急変する。
刀を振るう少年の勢いが、次第にその速さを増していったのだ。ダメージから動きが遅くなっていくのならわかるが、速くなっていくなど普通ならばあり得ない。男は彼の斬撃の速度が速くなっていくのを肌で感じ取っていたから、焦りの表情を浮かべていたのかもしれない。
下段斬りが繰り出された斬撃。男の銃が宙を舞う。裸同然となった男へ、少年の刀が太陽の光に照らされ、輝きだす。全身に撃ち込まれた弾丸から零れ落ちる血を物ともせず、少年は全身全霊を込めた一閃を男へと繰り出した。
男はどこか満ち足りた――いや、諦めた表情で、少年の一閃を受ける。
軌道は首。刎ねられた首下から血が噴出していく。男の身体はその場に崩れ、ついに動かなくなった。
場に残された少年。膝から崩れ、肩で息をしながら、刀を地面に落とす。
「これで……やっと」
流れ続ける自身の血を気にせず、少年は天を仰ぐ。
「世界は」
彼の言葉は、そこから続く事はなかった。
この世の最果てで、命をかけた戦った二人の男。彼らの身体ごと世界を包み込むように、光が全てを覆っていく。