6/29
第五聖域 視点アイン
アインは、今目の前で起きている理解不能の現実に驚きを隠せないと言う表情を浮かべている。
目の前にいる少年は、確かに人間だったはずだ。
なのに今は明らかに違う。それは、アイン自身今まで感じたことのない『魔纏い』。
魔纏いとは、魔族が常に体中から放出していると言われている魔気。言い方を変えれば『生命エネルギー』と言ったところだ。
魔纏いを感じた以上目の前にいる少年は魔族だ。
だが、アインはこの少年を『同族』だとは、思わない。
同じ天魔なら一目見ればわかるからだ。それも、黒人と白人を見極めるほどに簡単なこと。
ならば、『幻魔か』?
いや、今まで幾度となく戦ってきた『敵の魔族結社』。コレには、奴らと同じ匂いがしない。
だとしたらこの少年は、なんだって言うんだ?
「―――ッ」
アインは、不意に理解する。
(まさか…こいつ)
そして、アインは不意に理解したことに対して追求を求めるかのように口を開いた。
「君……『悪魔』だね」