表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/19

《9》 探検!私らの町

「おはようございます。お起きになられますか?」


「ううん。まだ寝てる。って言ってもお祈りサボるわけにはいかないわね」


「では、ご用意いたします」


まだ、陛下に対してムカムカするけど

巫女としての公務はきちんとしなくちゃいけない。

昨晩は、陛下には会いたくないといったから会わずにすんで

おかげで少し怒りは静まった。


そうして、着替えて神殿に行った。

“この国を、作物の育ちやすい豊な国にする”

なんて、言われても広大すぎてどの辺をどのようにしたいいのか

イマイチぱっとしない。アバウトすぎて、神様もお困りじゃないかしら。

それとも、毎日こうやってただお祈りしてるだけでちょっとずつ修正されたり?


後で聞いたら、毎日のお祈りを欠かさず、なおかつ

国民からの直訴を聞いて国民が望むようにさらにお祈りするらしい。


国民…か。街に行ってないなぁ。


ここに来て2ヵ月半。

この世界に来た初日以来、城下町にすら行った事ない。


「スイリ、町に降りたい」


「まぁ、町は危険でございますよ」


「もちろん、チェランドを連れて行くよ。ねぇ、チェランド行ってくれるよね」


了承すると、コクリしました。相変わらずしゃべらない。


「町に降りるとなると、色々準備がございます」


「え?ただ降りるだけだよ?」


「まずは、巫女様の変装です。黒髪は目立ちますから」


「まぁね」


「あとは、ルートを決めましてルート上の治安確認。

馬車の用意と使用人との打ち合わせもございます。

ルート上の警備を強化しまして、軍に支援いただいて配備していただき…」


「アメリカか!!」


なんーーーーーーーだ、それっ。


アメリカの大統領は、視察や外での公務には下準備に何ヶ月もかけるという。

強者の国の大統領だから、厳重すぎる警備なのだそうだ。ニュースでやってた。


それを、私にもすると?


「あ、めりけ?」


「ううん、アメリカ。私の世界にある国の名前で国のトップが外に出るとき

同じような下準備するの。ごめん、大声出して。外に出るのは少人数。

庶民的な暮らしが懐かしいの。だから、庶民の格好をして友達感覚で行きたいの。

ダメなの?海外に行くには、陛下の許可が要るみたいだけど、

町に降りるには、別にいらないんでしょ?なら、今行こうよ」


「今!?でございますか?」


「うん。ここからなら出口近いじゃない。

行くのは、チェランドとスイリ。さ、荷物とって来て」


「でも…」


「早く!ここの部屋借りて着替えるから。ウィッグも忘れないでね」


というと、スイリは駆け足で行ってくれた。思い立ったら吉日よ!

陛下の許可が必要なんだけど、今は彼と話したくない。

だから、私だって勝手するわ。


「チェランドは、その格好目立たない?」


チェランドは、神殿所属の神聖騎士団なので白を基調とした綺麗な服を着ている。


「私の自室は、この傍にありますので上だけ着替えてまいります」


「一軒家暮らし?」


「いえ。聖団(神聖騎士団の略)の宿舎がありますので、

そこの1室を借りております。」


「へー、普通の騎士なんだ。

ごめんなさい、巫女の警護を任されるくらいだからどこぞの貴族かと。

地位じゃなくて、才能で配属されたのね」


「恐れ入ります」


神殿は2階建てで、2階部分は居室なんだけど

神殿長をはじめとする役職ある人と、

貴族出身の神官・騎士が住む部屋になっている。

高位の貴族になると家を借りたり建てたりして外に住む人もいる。

ただ、緊急に備えて神殿長は外で住むことは許されない。


そこで、息を切らせたスイリが戻ってきたので

チェランドが着替えに戻り、私とスイリが着替えに行った。

お付の人があと3人いたんだけどそういうわけだから私の部屋に帰した。


さてさて、3人の着替えがすんでいざしゅっぱーつ!


大きな門をくぐりました。最初ここをくぐったときは、

陛下に連れられてだったので、観察できなかったけど大きい。


街は、活気にあふれていました。

フランスのマルシェのように開放的な市場で、みんなが声を張り上げて

客を呼び込んでいた。日本の商店街の空気にも似ている。

外国のような風景で、自国のような温かさ。不思議な感じ。


「すごいねー。日本では、店の中に品物が並ぶんだ。外国に来たみたい!」


「で、どちらへ向われ…」


「ストップストーップ!

ダメだよ、敬語使っちゃ。私たち庶民。(小声)

これから、敬語禁止、私のことは名前…ケイで!いい?(小声)」


「はぃ…うん」


で、相変らずチェランドは、コクリなのね。

敬語と名前を変えさせたけど、もうひとつあった。

2人の腕をつかんだ。当然驚くよね。でも、ダメ。


「私たちは、この時間“お友達”なんだから後ろからついてきちゃダメ(小声)

朝ごはん食べてないから、色々食べてかない?」


元気いっぱいわがまま通す、先行突進型の妹ポジションでもいいけど

仲良しこよしで行きたいじゃない。さて、どんどん行くぞー!!


最初は、食べ歩き。いろーんなもの食べました。

タコスっぽいものや、ケバブみたいなもの。

タコの入ってないたこ焼きっぽいのとか、甘くないカステラとか。

ミルキーな野菜ジュースっぽいものの飲んだな。


「あと、何処行こう」


「まだ、どこか行か…行くの?」


「うん。こっからが本題。みんなの声が聴きたいの。

みんなが何に悩み、何を望むのか。何に喜びどんな暮らしがしたいのか」


「み、ケイ…」


「ならば、あそこに行こう。そこに行ったら、…帰るぞ」


「チェランド?」


めったにしゃべらないチェランドが、しゃべった。頭ぐりぐりした。

えへへ、お兄ちゃんみたい。


チェランドが連れて行ってくれたのは、カフェ…っていうより老舗喫茶店?

何処の世界にも、熟女や中年、老人のたまり場があるのか

老若男女…老7割 若3割の割合で客がいた。


「ここは、少し内装があれだが価格が安くて人気なんだ」


「そうなんだ。チェランドもよく来るの?」


「同僚と一緒にな」


ふーん。とチェランド観察。

彼は、あごを手のひらに乗せてひじをテーブルについて

何気なーく外を観察中。その彼を観察中(笑)


ゴツゴツ武人体系のチェランドは、その体系にあった野太く渋い声。

その声で、普通にしゃべられると、カレカノみたいな雰囲気だ!(自分的に)

スイリ置いてくればよかったかなぁ。ぷふふふふ。スイリゴメン。


「ケイ…どうかしたの?」


「ううん。なんでもない」


ニタニタ妄想してたら、老人+老人が斜め横で深刻な顔をしているのが見えた。


「レット村はもうだめらしいぞ」


「なんで、あそこがダメになったらウチだって影響あるだろう」


「先月の地震で、水脈が変わったらしくてな。

水不足が深刻なんだと。何処を掘ってもまったくでないんでって

お手上げらしい。あそこのピーカは最高の一品だったんだけどなー」


「土もよく、水は山からの雪解け水で日の照り具合もよかったもんなぁ」


「お国は、わかってくださったけど調査に来たのは2度ほど

すぐに、あの国がドンパチしたから中断になっちまってよ~」


「本当、ひでぇな。」


本当にひどいわ。地震大国日本でも大きな地震があった。

その後、水が干からびた所もあればありえないところから噴出した所もあった。

水脈とは、地下に通る水の道。地盤が歪めば道も変わる。

国の調査で、何とかなるはずだったのに暴動でそれができなくなった。


私のすることは、決まった。


「チェランド、スイリ行こう」


「えぇ」


足早に帰る。一刻も早く神殿に行きたかった。

競歩が、小走りに、しだいに全速力に変わった。

遠くで、女性の待ってぇ~。が聞こえる。ゴメン、待てない。


「チェランド、スイリの所に行って!私走っていくから!」


振り向く余裕のない私は、前を向いて走りながら後ろにいるだろう男に告げる。

でも、後ろからついてくる重そうな足音は消えない。

門が見えた。門番が不思議そうに私を見る。


「何かあったのか?」


「な、にもなひー!!」


「チェランド?何かあったのか?」


息切れする私ではわけ判らないと、チェランドに聞く門番。

武人である彼は、息を乱すことなく何もない。と答える。

門をくぐると、大きな男の人がいました。

巫女ケイトは、考えるより行動するタイプ。


この先の展開を読まずに行動するので、

チェランドやスイリは苦労が絶えないでしょうね。

ちなみに、侍女はスイリ以外部屋に返しましたが

警護兵は、チェランド以外は巫女に知られない所で警護しています。


チェランドは私のツボ…妄想タダ漏れキャラです(笑)


イカツイ身体で野太い声、無口で無愛想だけれど気配り上手。

はぁ!たまらないっ!!!

(声は、ブリー○の銀城やAGEのグルーデック艦長の声を想像しています)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ