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《2》 自己紹介と状況説明

「お、お前、が……月光の巫女だったのか」




「ひゅ…えっ?……ぅぅっ…」


“月光の巫女?”なんぞそれ。

陛下はベッドから降り、上掛けを取りにいきそれを私にかけてくれた。

なにがなんだかわからない。もう、あーゆーのしないの?


「もうしないから、泣き止め」


「うっうっ…」


「法陣省長官を呼ぶ。いいから、泣き止め」


こくこくと頷くと、侍女が来て私の体をきれいにして

綺麗な服を着せてくれた。

ほどなくノックされて法衣を身に付けたおじいさんと

メガネなお兄さんが入ってきた。


「法陣省長官ロラ、参りました。

おぉ、その黒髪・黒い瞳まさしく“月光の巫女”様。

お初目お目にかかります、

魔法専門機関・法陣省で長官を務めておりますロラと申します」


「宰相を務めております、レイディール・ローランドと申します」


「……初め、まして。柿原恵子、です。っく。…ぅ~」


「陛下、月光の巫女様に何をなさったのですか。

こんなに怯えて…って、陛下!」


「きゃっっ!」


陛下は、私の隣に座ったと思ったら

私を、陛下のひざの上に座らせた。そして、髪をなでる。

男の人と密着なんて、数年前に伯父さんにしがみついて以来なのに。

慣れないよぅ。怖いよ。緊張するよー。


「ケイト、何故お前はあんな街中に居た?」


「恵子です。知りませんよ、

家で寝ていて起きたら町外れの森の中で寝ていたんだから」


「森の中?ロラ、何故森の中に召喚される。

月光の巫女は、神殿に召喚されるものではないのか?」


「詳しくは存知ませんが、以前申し上げたとおり

召喚時の微妙な干渉波によるものと思われます」


「原因は?」


「まだ、調査中でございますが…人為的な可能性がございます」


「早急に調査せよ」


「御意に」


なんか、大変なことなっている。のに!

なんで、陛下のなでなでが止まらないの!?

気持ちいいけど、気持ちいいけどっ!

超至近距離にイケメン顔があるんで俯いたまま顔固定しかできない!!

しかも、たまに、ふっ。とか、はぁ。とかエロい吐息聞こえるし。

年齢=彼氏居ない歴なのよ?

イケメンの威力ハンパないんだよ!?

男に免疫ない女にはこの威力強すぎる!!


友達だって、こんな近くなったことないのに。もーやだぁ。


「それで、陛下。いつ月光の巫女様をお離しになるんですか?」


レイディールさんが、呆れた顔で私を離すよう促してくれた。

しかし、陛下はそれを無視されて撫で続ける。

もぅっ、もぅ!なんて思ってたら陛下が顔を覗き込んで、



チュッ



……………え゛?



チューーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

や、やだ。まだロラさんや、レイディールさんだっているのに!

公衆の面前とかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!



「んーもう、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」




ドゴーーーーーーーーーーーーン!!!!!!




「きゃああああ!!」


「ほぅ、本物の月光の巫女なんだな」


「陛下、お戯れで雷起こさないでください」


え?今の陛下が起こしたの?

というかすごく近くに雷落ちなかった?

それにしても、もうやだよ誰かが見ている前でキスなんて。

でも、しまった。雷に驚いて陛下の首にしがみついちゃった。

しかも、離れようとしたら抱えられて離れられなくなったし!!

触るな、さするなぁぁ!!


「俺が起こしたんじゃない。ケイトだろ」


わ、私!?というか、ケイコですけど!?


「ケイコです、陛下。

というか、私が起こしたってどういうことですか?」


「お前の呼び名が呼びづらい。これからお前の名はケイトだ。

雷を起こした説明については、宰相に任せる」


「…という、全部丸投げはおやめください。

では、月光の巫女様。私が、ご説明させていただきます。

月光の巫女というのは、異世界から召喚された女性のことで

闇夜のように漆黒の髪に、深い闇夜の瞳をしていまして、

自然の女神サラフィーナ様の恩恵を受け

天候を操れるという不思議な力を持つとされています。

それで、先ほど巫女様が激昂されたときに雷が発生したのでございます」


「はぁ…そうなのですか」


そんなこといわれても、操り方なんて知らないしなぁ。

というか、なんで召喚されたのかしら。


「陛下、巫女様はお疲れのようです。

今日のところはここまでにしておきましょう」


「そうだな。では、お前たちは下がれ」


「えっ!?」


「陛下、まだ仕事が残っておりますゆえ執務室までお戻りください」


「無理」


「陛下!」


「ほっほっほっほ。

巫女様がこんなにお可愛らしい方なので無理もありませんな。

ですが、ご公務はご公務。巫女様からも励ましてやってくださいませんか?」


えーーーーーーーーーー?


私の仕事は、天候を操って国民の皆さんを助けるんじゃないの?

えーーーーー…なんでみんな期待の目で見るかなー。



「んー…あー、がー。頑張ってくださいね、陛下?」



うはーーーーーーーーーーーーー!!恥ずかしいっ。

やだもー、今日何回恥ずかしい思いすればいいわけ?


「ケイト」


ケイコだってば。…あーもーいいよ、ケイトで。

はいはい、ケイトです。って顔を上げたら、



「ーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」



ぢゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ。

って長い口付けをいただきました。っていうかまだ皆さん居るからぁ!!


「まだ、寝るなよ。速攻で適当に片付けてくる!」


「“速攻”は結構ですが、“適当”になさるのはおやめください」


短距離走のような走りで部屋を出た陛下と(近衛兵があわててた)

突っ込みを入れながら優雅に去っていった宰相さん、そして…


「明日から、早速巫女様としての内務をしていただきます。

朝、お迎えに上がりますので今日はごゆっくりお休みください」


曲がった腰をさらにまげて長官おじいさんは、去っていた。

なんだったんだろう、濃すぎる一日だったな。

でも、昨日の今頃はまだ…家に居たのよね。


……………心配しているだろうな。


「巫女様、今日から巫女様のお世話をさせていただくスイリと申します。

お疲れのご様子ですので、お寝巻きに着替えましょう」


スイリさんに着替えを手伝ってもらって、

さっき、陛下と一緒に居たベッドにもぐりこんだらすぐ体が重くなった。

今度起きたら、自分部屋で起きていたらいいなぁ。

そうしたら、由梨に“異世界に行ってイケメンとキスしてきた”なんて

笑い話できるのに。そしたら、笑いどころかドン引きされてじゃれつけるのに。





みんな…



みんなに……



……………逢いたい。

冷酷非情な王様書きたいのに書けないのは私の生ぬるい性格のせいです(笑)


これでも、一応自己中で、冷たい男なんです。

回を追うごとにただの恋におぼれたアマちゃん男になっていく不思議…


そして、私のお気に入り宰相レイディールが来ました。

非情に仕事をさせる眼鏡君好物です!


次回も見てください。

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