《18》 お祭リフォーム
お久しぶりです。ちゃんと生きています
長々お待たせしてすみません<(_ _)>
「おっはよーございまぁぁっす!!」
約束した時間に店に行くと、店長が落ち着きなさそうにフラフラしてました。
何しているのか聞くと「何していいのか分からなかったから落ち着かなくて」(訳)
らしい。とりあえず、色々チェックすると調理場は綺麗でした。
その辺の衛生管理は万全だが、ホールが廃墟。という意味不明な事態でした。
なので、まずは椅子テーブルと…オブ、ジェ?
朽ち過ぎて何か分からないモノを撤去しました。
店長に聞いたけど、ホールは買い取った時のままだっ…てぇぇ!?
買い、買い取った時のままって、どーりで汚いサァァァ!!!
チェランドに聞きながら“使えない備品”を取り除いていったら
店内には、何一つ残らなかった。
「ダメじゃん!!」
「!!」
店長、私の叫びにビックリしてるけど
私は、店内の荒廃ぶりにビックリだよ!
椅子の足が破損ならまだいい方。最悪1-2本無かったからね。
さわってボロッと落ちるのは結構ホラーだよぉぉ。
というか、国の衛生管理はどうなっているの!?
こんなお店…って言っちゃいけないんだろうけど
こういうお店に許可だしちゃ駄目でしょうよ。
とりあえず店の外に分解した元椅子たちを外に置いて
カベと床を磨き始めました。ほうきではいたら見事にぶわっと舞った。
これは、予想以上にハードなお仕事だぁぁ~。
「おぉ~これはいったいどうしたね?」
野太いおっちゃんの声がしたので振り向くと、
恰幅のいいおっちゃんが驚いた顔で、外から中を見ていました。
「店内が汚いから、掃除してるの」
「あぁ、一度入ったけどものすげぇ汚かったなぁ。
しっかし、こんな広い店だったっけなー?前ンときはなんかこうぐちゃーって
あったからわかんなかったけど」
「おじさんは、昔からココにいる人なの?」
「俺は生まれも育ちもここだぞ。ついでにこの集落の取りまとめをしている
なんかこの店が騒がしいって、町のやつらが言うから見に来たんだが
そっかー、掃除中か。なんか困ったことはないか?」
「あー…あのね、備品全部ダメだったの。
だから、安い家具屋があるとこ知らないかなー」
「んなら、俺のせがれんとこがやってるから何欲しいか言いな」
「テーブルが4つに椅子が16…それくらいかな」
「OK!この廃材はもらってもいいか?」
「いい、けど…おじさん使うの?」
「もーじき冬だろ。支度しなくちゃなー暖炉に使うんだよ」
「寒いと思ったら、もうすぐ冬なのね」
秋の終わりに飛ばされて、こっちでは春だったけど
いつのまにか夏(向うほど暑くなくて気づかなかったけど)がすぎ
いつのまにかひんやりした空気を感じるようになっていた。
あれから、誰に聞いても帰る方法が分からない。
召喚は、古い文献にあったのでそれを試したらしいけど
月光の巫女が、元の世界に帰っていったという記録は無いらしい。
女神サラフィーナ様に毎度問いかけしても、神からの返答は無い。
私は、いつ帰れるのだろうか?……帰れるのだろうか?
「お嬢ちゃん大丈夫か?」
「え?」
「急に空見上げてボーっとするから目ぇ開けたまま寝ちまったのかと思ったぞ」
「そん、そんなわけないじゃん。はは」
「どうかしたのか?」
私がボーっと考え事してたのを指摘されていると
後からチェランドがやってきて、私とおじさんを交互に見た。
別に、寝てないもん。ただ…向うに帰りたいと改めて思っただけだもん。
「お嬢ちゃん、疲れちゃったんだと」
「ちょ…違う!」
「うつろな目でボーっとしてだろうがよ。あとは、俺らに任せて休んでな」
「大丈夫よ!」
「そうじゃないやつに限ってそう言うんだ。休んでろ」
「チェランドも…大丈夫だってば!」
「おー、なんだ?喧嘩か?」
「ずいぶんと別嬪な子がいるー。ガダル何やってんだ?」
騒ぎを聞きつけたおじさん達が、今までしゃべってたおじさん(ガダルっていうのね)
にわらわらおじさんが4-5人集まってきた。
「開店休業だった店が急に改装始めるって聞いたもんだからよー」
「えぇ?お嬢ちゃんがやるんかい?」
「掃除したりペンキ塗ったり家具新調したりするだけよ。
そんな大掛かりなものじゃないわ」
「どんな感じにするんだ?」
「うー…?決めてない」
「店長はなんていってるんだい?」
「好きにしていいって言ったよ!」
「「「おぉぉぉぉぉぉーーー!!!!!!」」」
多少強引だったけど、店長ちゃんといい。って言ったもの。
…と、言ったらおじさんたちの何かのスイッチが入ったらしくて
わいのわいの盛り上がり始めた。
本職の大工さんから日曜大工が趣味の人まで幅広く町内にいたらしく
カベを空の青、テーブルと椅子を草原の緑か夕日のオレンジがいい。
と言ったら、壁を水色をベースに下を超リアルな草花を描いて
テーブルは元気が出るようにとオレンジの椅子とテーブル・
黄色の椅子とテーブルが出来上がってて花と茎の模様まで描いてあって
可愛い感じに仕上がりました。
「可愛い服が汚れちまうから」
と私は追い出されました。
しかたないので、屋外に設置した簡易キッチンで支度する
店長の手伝いをして、簡単な(でも味はものすごく美味しかった)食事を振舞った。
「んまいな、これ!」
「一度来たんだけどよすげーうまかったんだけど、内装がな…で来れなかったんだ」
「 」
「俺も俺も!あはははは」
「まー美味しそうな匂い、何してるの?」
今度は、おじさんの奥様方が旦那の帰りが遅いからと
見に来たらしく沢山の女性が来ました。
そしたら、おじさんが奥さんに事情を話すと店内を覗いた途端
可愛い!とかカーテンとかどうするの!?という話になって
奥様方がカーテンとテーブルクロス作りだす話になって来ました。
なんかオオゴトな話しになってきた…
奥様方に料理を振舞うと…旦那さん達よりおかわりの回数多くない?
私や店長が食べる前に奥様方が食べ尽くしてしまいました。私の…昼食…
しょぼんとしていたら、ガダルさんの奥様から昼食頂ました。
「せっかく作ったのに、ウチのバカ帰ってこなかったからあげるわ」
……ソレ…物々交換?残飯整理?
私と、店長それからチェランドが昼食を摂る間
旦那さんがたは雑談。奥様方はテーブルクロスやカーテンをパッチワークに
するんだって意気込んで、裁縫が趣味の夫人や娘達を連れてきて20人…
城下町の端にポツンとあった店なので周りに広間があったから
寂しいと感じた場所も、男10人女20人も集まるとすごく狭く感じる。
「 」
「え?」
「ん?どうした、ケイ」
「チェランド、何か言った?」
「いえなにも。何かあったか?」
「ううん。…でも、すごいことになっちゃったね」
「そうだな…」
「ぐずっ…ぐ…」
「店長!?店長どうしたの!?」
「…ぐ…ぁ…ぅ…え゛え゛~」
「店長泣かないでよ」
「おうおう、どうした?」
「え?このひょろっこいのが店長!?」
「この細腕であんな美味しいもん作ったのか!?」
店長の男泣き?にみんなが寄って来ました。(私の声が大きかった?違うよー)
感謝の言葉を伝えるみんなと、タダでさえ日常会話できてない店長の嗚咽に
声がガヤガヤとしか聞き取れず、思わず
「店長泣かない!男でしょっ!!」
と声をあげました。一斉にシーンとなった…やばっ。
でも、ワタワタしている私を見て店長が私の袖を引っ張り
「ケィ…さ…あ、り…とぅ………ありが、とぅ」
と、頑張って感謝の言葉を消えること無くしっかり言ってくれました。
それを聞いて今度は私が泣けてきた。店長の言葉がこんなに嬉しいなんて…
「うん、私の方こそ…ありがとう」
「 」
「え?」
店長より聞き取れない声を聞いたのと、
肩を叩かれたのと、
音も光も無い世界に連れていかれたのは
――――同時だった気がする。
世話好きおせっかいな人が、町内会長をやるのは当然な気がする。
そして、そんな微妙な変化も見逃さない町内会長が
ガッタンガッタン物音がする廃墟のような建物を見逃さないのも当然な気がする。
そして、夫婦は似る。
ということで町内会長の奥様も同じく世話好きにしてみました。
ウチの町内会長(女性ですが)もこんな感じなので彼女をモデルに
書いてみました。世話好きな人はいろんな所に顔を出すので
人脈ハンパねぇ\(^o^)/といつも行事ごとに思ってます(笑)
何かしら役に立ちたいと思っていた巫女様。
町内会長’sに場所取られた(笑)巫女様に訪れたある異変
……を、いつ書けるのかなぁと不安に思っています(ぉぃ!)