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《17》 ホラーレストランへようこそ

中に入ると、そこは………廃墟でした。



テレビで映る、ヤ○キーがたむろする廃墟のような店内(?)で

確かに、椅子とテーブルはありますよ?

しかし、カベは薄汚れていて床は目視できるくらい大きなホコリがたくさん。

そのテーブルと椅子もいかにも古そうで、これから改装するならまだしも

これで営業とか…この国に衛生法はないのか?と聞きたいくらいの惨状だった。


「……店長。本当に営業しているの?」


「…し…て、す。…して、ま、す。お…好…とこ、ぉ…座…くだ、い」


所々聞こえなさ過ぎる店長の台詞を推理すると、

“(営業)しています。お好きな所にお座りください”

って言っているのだろう。チェランドにとりあえず座るよう促し

椅子の上のほこりを払って腰掛けた。っ!ブファッって舞い上がったよ!


歩き疲れがどこか吹き飛んで行っちゃったのはいいんだけど

この妙な緊張感を何とかしてくれ!


程なく料理が運ばれてきた。

ほ…皿はとりあえず綺麗そうだ。

とても美味しい匂いを放っていて、空腹だった私は自然と食べ物を…

口にしようとしたら、チェランドに止められた。


「何、チェランドさん?」


「お毒見です。先に私が食べます。失礼(小声)」


と、私のハンバーグっぽいものをスプーンで取って食べた。

とたん、無表情がデフォの男がカッと見開き固まった。


何!?もしかして、店長実は私を狙う暗殺者だったの!?


「チェ…チェランド……どうしたの?」


「―!」


「ねぇ、どうしたの!?ねぇったら!」


「……っん!」


ねぇ、どうしたの!?

何で固まったまま、目を見開いているの!!

嫌よ、ずっと傍にいてくれる貴方が居なくなったら、嫌!!

神経毒!?痙攣しているみたいだし、どうしようお医者さん…

どうしよう!!お医者さんどこにいるんだろう。


チェランド死なないでぇ!!


「う…」


「チェランド!!しっかりし」




「うまい!!!!!!!!!」




「……は?」


「美味い、美味い。あまりの美味しさに言葉も出なかった!」


「…………………っっっ」




グルメアニメかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!




あのオーバーリアクションのグルメアニメのように

溜めてんじゃないわよ!!何よ、心配した私がバカじゃない!!


なによ、後ろから大波でも来るの!?爆発でもするの!?

宇宙に飛んで行っちゃうの!?キラキラ羽が生えて飛んでいくの!?


もぅっ、アホくさい!!チェランドの頭叩いてやったわよ!

何ポカンとした顔しているのよ!アホチェランド!!

おまけに自分のどっさりランチプレートみたいなのガツガツ食べるし!


「チェランド、私の食べたんだからちょっとちょうだい」


「口を付けてしまいました」


「いいのっ!…まぐっ」



うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいすぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ



ボキャブラリーの少ない私に表現できるはずがないんだけど、

これは美味しい。肉汁とか肉汁とか肉汁とか!!口の中が幸せ!!!


「店長、すごく美味しいよ!!美味しい!!」


バカみたいに“美味しい”を連呼すると、

青白い顔が少しピンクがかった顔になり、ニヘッと笑った気がした。

でも、またドロンと顔になって…訳すと“どうして客が入らないんだろう”と

言った。ドコがって…ねぇ……


「店長、料理は美味しいけどお店が汚いのよ。店長毎日掃除しているの?」


「…そ…し、たら、、料、理…作れ……な…るん、で」


「いやいやいやいやいやいや!掃除しようよ。

例え美味しくても、これだけ汚かったらこんなとこで食事したくないから!」


「じ、ゃ…店、、、たた、む…しか、な…」


「それも、なんかもったいないよ。美味しいのに…

………。そだ。店長、私が好き勝手していい?」


「!?」


「ど、す……です、か?」


「日中ヒマだから、改装するの!

店長、明日は仕込みしないで。一日休業にして掃除するの。いい?」


「で…その、金、は……ぉ…ら?」


「お金はいいの!ね、店長。明日一日改装だからね!

こんな美味しい料理、みんなが知らないのは損だけど

こんな汚さじゃ呼べないじゃない!だから、掃除してペンキ塗ってカーテンとか

作るの。あー明後日もかかるかなぁ。ねっ、いいよねっ!?」


「…はぃ」


「よっしゃー!頑張るんだけど16時から仕事だから

そこまで頑張るからね!また明日ね!!」



ポカンとした店長に、明日改装するぞ!!と宣言して店を出た。

明日は、朝の礼拝をしたらペンキと布と糸と針と…雑巾と、


「ケイ、何であんな事言い出したんだ?」


「なにが?」


「店を掃除すると。何故そうまでする。

確かに美味しかったが自分で掃除出来なければ

結局廃業するだけだろう。一生あそこで掃除するつもりか?」


外にいる時は、周りが不審がらないよう敬語はやめてと言ってあるけど

やっぱり、敬語で話して欲しかった。直球チェランド超怖い。

確かに、本人がしないのなら私が去った後またホコリまみれに戻るし

一生、私が掃除できるかどうかも解らない。

あっちに帰るかもしれないし。


「でもさ、呼ばれて義務的に何かするんじゃなくて

自分の出来る範囲で何かしてみたかったの。誰かの役に立ちたかったの。

ワケの分からない力のために呼ばれ必要とされた私でなく

一生懸命自分の力で誰かの役に立つ“私個人が誰かの役に立つ”

その事実が欲しかったの。私個人を必要とされたかったの。

何言ってるのか自分でも解らないけど、そうしたかったの」


「ケイ…ケイ個人を必要として欲しいなら“あの方”に」


「そっ、そうじゃない!

だって、あの人といたら私駄目人間になるでしょ!?」


「そんなことない。ケイと一緒にいた時はあの方の仕事がはかどったと聞いたぞ

だとしたら、ケイがいるだけであの方の仕事がはかどる。この国のために

誰よりも一番お役に立っているじゃないか」


「私の力じゃないじゃない!」


「そんなことはない。ケイという存在のおかげだから」


「私、何もしていないわよ!?

だいたい、存在だけでいいってただ生きていればいいって事!?

そんなやりがいのない生活していたくないわ!

とにかく、私は今やりたいことをするのっ。

もう、場所覚えたから明日は護衛しなくてもいいわよ」


「いいえ、御身を御守りするのが私の役目。

町にお出になるのでしたら、お供いたします」


途端に、ものすごく仰々しい口調になったと思ったら城門が目の前にあった。

あぁ、もう終わりか。ここを過ぎたら午後の礼拝だな。

なんか、後半デートらしくなかったな…


「ケイト様。明日は、朝の礼拝を終えられてからすぐ向かわれますか?」


「えぇ…本当に行くの?あんまり一緒だと怪しまれない?」


「でしたら、

“突っ走りの妹が心配でしかたないシスコンの兄”

という設定で行くので問題ございません。似ていない兄妹ですが」


「ポンと、よくそんなウソが出てくるわね」


どうせなら、“コイビト”のほうが、いいのに…


「いえ、失礼ながらケイト様は妹のように思っておりましたので自然と出ました」


「そ、そう…」


ガーン。だ、結構好みの男性だったのに…

お仕えする相手に不埒な思いを抱いちゃいけないと思ってるのかな?

仕える相手だし、あの人が私の事を狙ってるという感じだし。

真相は知らないけど、あれで暇つぶしで言い寄ってたなんて言ったら

返り討ち覚悟で殺ッてしまおうかしら。


でも、向うに帰るとしたらここで恋人を作ると面倒な事になるよね。

だから、これでいいのよね。きっと…きっと、ね。



「明日も、ここでお待ちください」



同じ待ち合わせの約束も、なんだかどんよりした気分になりました。

恋人作ると面倒。と思っててもやっぱり欲しいな…


私と一緒にいてくれる相手が…

※この話は、異世界ラブロマンスです。


ファミレスでも十分満足する私に、美味しい感想書けるはずもなく(↑△↑)

とにかく、閉店して10年くらい経ったような店内で作られたのが

三ツ星レストランのような美味しい料理と言う事です。


店長、死ぬ間際のような外見ですがアラサーです。若い男です!

若い男の新キャラが出たのにフレッシュな感じがしない(笑)

台詞も、なるべく推理しやすいよう頭文字を残しているつもりですが

解りにくかったらごめんなさい。


いつも傍にいてくれる、頼れる若い男に振られた感じの巫女様。

これで、“あの方”と急接近か!?

…と言いたいですが、“あの方”あと2話ほど出てきません。




あ、すみません陛k!!!!!

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