《13》 告白披露パーティ?
「それでは、私と踊っていただけますか?レディ」
振り返ると、絢爛な背景に負けないくらいの輝きを放つ陛下が手を差し出していた。
「ダンスを習っていない私と踊ると、陛下の足に穴が開きます。
というか、毎回何故私の前に現れるんですか?」
手を取るか戸惑っていると(というか、取ると踊らなくちゃいけないのよね?)
私の手を取り、強く握り。…手に口付けない!
手を引こうとしても、握る力が強まるし、さらに背中に腕を回されるし!
なんで、密着度増してんのよ!!
「好いてる女に会いに行くのに理由がいるのか?」
「ハイハイ。そうやってサボッてあとで痛い目に遭うのは、陛下ご自身なんですよ」
「お前…いつになったら、俺の気持ちに正面から向き合ってくれるんだ?」
「え…だって…」
今回もスルーできるかと思ったのに、今回はさせてくれなかった。
両腕をつかみ、鋭い眼光、威圧的なオーラ、苦悩で歪んだ形のいい眉毛。
どれもが、この告白を真剣なものだと物語っている。
「俺は、お前に対する気持ちには正直に表してきた。
正妃になって、俺の子供を孕んで産んで一緒に育てて、
ずっと俺の傍にいて欲しいと。ずっと言葉や態度で表してきたつもりだが
伝わらなかったか?」
本当は、気づいていた。陛下のお気持ち。
でも、認めてそちらに流れるのが怖かった。
仕事では有能らしい陛下。即断即決直線的な物言いは今の日本政府に必要な
ステータスじゃない?と陛下を観察しながら思ったものだ。
反対に、プライベートではとても子供っぽい。
すぐに私と傍に居た男性との仲を疑って拗ねるし、
傍にいたがるし、幼児のように擦り寄るように甘えてくるし
そのうち幼児プレーなんか始めるんじゃないかってくらい甘えてくる。
クールで妖艶な国王バージョンと
人懐っこい子供のような笑顔の子供バージョン。
そのギャップにハマらない自信はなかった。
だから、怖かった。
帰るつもりでいる私は。
相手に一途になっちゃう私に陛下という存在が怖かった。
「そん、な…の…わかんないよ。わかりませんよ。
陛下のお気持ちが、親を想うようなものかもしれないじゃないですか!」
「母親とヤりたいとは思…ングッ!!」
「何言ってるんですか!!みんなの前で!!」
大広間で、隅には私や陛下の配下の者がたくさんいるのに、
ヤルとかヤラないとか、太陽が高い所で仕事しているのに何言ってんの!!
慌てて口塞いだけど、重要な事は言われてしまった。恥ずかしいじゃないの!!
「近親相姦など興味ない。それで?俺の愛を他に何と誤解している?」
「こ…子供の独占欲?
子供の買ってもらったばかりのお気に入りのおもちゃを
独り占めするような所有欲に似ているな…と」
あんまり“王様って大人のなりしておきながら中身子供っぽいですよね”
っていうのは、かなり不敬な話しなので言いたくなかったけど、
陛下がものすごく凄んで、言わせる魔法でも使っているかのように
目力ある視線を超至近距離で放つから、ペラペラしゃべってしまう。
すると、どこかで何かがさえずる声がして陛下が後方をすごい勢いで振り返った。
私も、何とか陛下の肩越しに頑張って見てみたら
(抱きしめられてる状態なので突っ張って見てみた)
ギャラリー増えているんですけどーーーーーー!!?
口に手をあてて、何事かしゃべってたらしいのは宰相レイディール。
ロラもいるし、スイリもチェランドたちも複雑そうな顔してるし、
なんか、身分高そうな御仁もちらほらいない!?
こんな2-30人がいるギャラリーが見守る(?)中で、
アツイ台詞で語り合ってたかと思うと、顔がこれ以上になく熱くなるのを感じる。
「子供のような。と言うが、
そんなに他の男と見つめ合っていたら誰だって、妬くだろうが。
コラ、ヤツラじゃなくちゃんと俺を見ろ」
陛下が、じわじわ怖い顔で近寄ってくるので後退…強い腕の力でかなわず!
腰を強く引かれてキスされたぁぁ!!
最近ないと思って安心してたのにまたっ!!
何度も角度を替え、触れるだけだったり噛み付くような深さだったり
男らしく、力強く腰と後頭部をつかまれて逃げられないようにして…
息継ぎ忘れるくらい激しく口付けされてる。く、苦しい!!
体が密着しすぎて胸板を押しのけれないから、背中を叩いたり
服を引っ張ったりして拒絶を示してるのに、止めないし!!
っていうか、陛下の大きい背中で詳細は分からないけど
確実リップ音で背後の方々は状況理解されていますよね!?
チョット!!エロ国王!!やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
恥ずかしいから、めちゃくちゃ恥ずかしいからやめてよぉぉ!!!
もがいて暴れてようやく離れた。
「ぷはっ!もぅ、みんなの前で何しているんですか!!やめてください」
「いい加減、俺の想いに気づかないからだ。罰だ罰」
「罰って!だって!…怖いもの…」
「え?」
「信じて、思い込んで…実は違ってました。なんて…もう嫌だ、もん」
「そう、思っていたのか?…誰かを」
「思ってましたよ。思ってて………振られました
隣の家の男だったんだけど。ずっと、一緒にいて、もう夫婦みたいな
雰囲気で。一緒にいるのが当たり前って思ってたのに……ぐずっ
ふふふ。“なんか母親みたいだった”って…ふふふ、ふふぅぅ…うう~」
なんか、アイツに振られて初めてそんな話したなと思いながら。
なんで、熱い告白してくれた男性に振られた話なんかしてるんだろう
と脳内で盛大に突っ込みながら、吹っ切れたと思ってた想いが不完全燃焼だったのか
涙が止まらなくて、陛下に抱えられて泣き続けた。
だって、怖いもの。
全幅の信頼を寄せて、寄りかかって甘えていたら
“何してるんだよ。悪いけど、お前とはそういう気になれない”
って、言われたら寄りかかった支えを失ったら私はどうしたらいい?
私は、生きている人間ではなくただの無機質なステップ扱いだったら…
怖くて怖くて、寄りかかれない。
そして、大ホールで泣くので思いっきり響くのを感じながら
響く泣き声に負けないくらい泣き声を張り上げて泣き続けました。
告白した事実を伝えようとしたら思いのほか、
溜まっていた思いが止まらなく、陛下にすべてぶちまけたあざとい話。
陛下が、相も変わらず巫女様をストーキングするので、なんだなんだと
ギャラリーが増えたら、軽くパーティのような人数になってしまった。
っていうシチュ好きです。本人知らない間に野次馬増えている的な(笑)
はー、やっぱりイチャコラ楽しい!!!