《1》 召喚されました。
「ただいまぁぁぁぁぁぁ…」
「お疲れさん。恵子っ!?アンタそんな格好で帰ってきたの!?」
「着替えるの面倒だったからこのまま帰ってきた。
あ、ご飯食べてきたからいらない。もう寝るー」
「寝るのは良いけどちゃんと着替えてよ。
っていうか、下着だけで寝ないでよ!?」
「はーい。しませーーーーん」
部屋に帰って、ベッドに倒れこむ。
もう無理。
1ミリ、も…動け……な、、
「兄ちゃん、生きてるかー?」
はぁ?誰が兄ちゃんだ。私は…
「はぁ!?」
起き上がると、森林の中。
森?我が家の中に森飼ってましたっけ?
いやいや、飼うものじゃないけど…じゃなくて。
なんで森?私さっき確かに自分のベッドで寝てましたよね?
「兄ちゃん、大丈夫かね」
「へ?」
さっきからしつこいほど肩をトントンしている人を見ると、
なんでブロンドやねん。
と意味不明に関西弁でオジサンの髪の色を突っ込んだ。
私、日本に居たんだよね?
日本に居る我が家には、外人の親戚もホームステイしている外人もいませんが?
つーことは、由梨がワーキャーしている“イセカイトリップ”
という現象ですかこれ。何の前触れなく私、トリップしやがりました?
「兄ちゃん、どうしたね。こんなとこで寝て」
いや、自分の部屋で寝ていたはずなんですがね。
つーか、このオジサンさっきから私を男と間違えていない?
出るところ出ていないが(orz)れっきとした女性ですよ。
ま、言い直すのも面倒くさいや。
「町にたどり着けなくて、歩き回って疲れたんで寝てました。ハハハハ」
「えぇ?街はすぐ傍だよ。兄ちゃんどこかのボンボンか?
こんな綺麗な洋服着てー。女の子と間違えられて身包みはがされっぞ」
……女ですから(怒)
しかし、女と判って身包みはがされるのも勘弁願いたいな。
そして、ここが何処でどんな生活しているのかも知りたい。
「オジサン、町までついていっても良いですか?」
「あぁ、独りで歩くのもつまらなかったんだ。いいよ。
ついでに、昼ごはんも一緒に食べようぜ。おじさんのおごりでな☆」
「ありがとうございますっ!!」
あー、助かった。
もちろん所持金なんてないし。(持ってても通貨違うだろうしな)
夕飯食べてないから、お腹すいてたんだよ。
本当に、すぐ横のゲートをくぐると
某国民的RPGの世界そのまんまの町並みが眼前に広がっていた。
“タンスやツボを漁りたい!!”
いやいや、実際やったらお縄になるだろうな、確実。
しませんよ、絶対!!
しかし、中世ヨーロッパの庶民の格好をした人たちが…私を見ているし。
なんで、みんなの視線が上から下へスクロール?シューティングか!
って、私の格好なんだったかな。……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええ
執事服ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!
文化祭の時に来ていた、執事服だよ。
(執事喫茶で、給仕していたから仕事的にはフットマンだけど)
も、ももももももしかして…はぅあ!案の定頭には金髪ウィッグ!
質素な庶民服の中に歩き回る金髪執事服!!
某ロープレなら、“主人公のコスプレキタコレ!!”と
シャッキリ着こなす主人公に、胸ときめいていたんだけど
細っこい女がサイズ合わない執事服あるいてても、
“仮装か罰ゲームですか、残念すね、ぷぷ。”
てなっちゃう。あーん。恥ずかしいよぉぉ。
さっきのオジサンにこってりビーフハンバーグを
ご馳走になって、雑談していたら外が騒がしくなった。
「国王陛下が、戦場からご帰還なされたぞ!!」
RPGで言うなら“村人1”になるだろう男がそう叫ぶと、
客から店員からすべての人が出口へと押し寄せ
“国王陛下”なるお方を出迎えるようだった。
「兄ちゃんも来な!
陛下のお姿が見られるなんてこの機を逃したら一生ないぞ!」
そりゃ、元の世界に帰れたらそうだろうよ。
でも、私は若いんだからいつか見られるんじゃね?
天皇陛下なら、地方視察の時にホテルから会場に向かわれる
お姿を拝見したことあるよ。一瞬だったけど…
ここの国王もそんな高貴なオーラをまとっていらっしゃるのだろうか。
ま、こういうイベントに参加しなくちゃ
ロープレって進まないんだよね。みんな足踏みしたままとかさ。
店を出ると、みんなが叫びすぎてワーワーとしか聞き取れないけど
耳を澄ますと、敵軍に勝った喜びと陛下に対する賛辞らしい。
ワーワーが大きくなって耳が痛くなってきた。店に帰ろうかな。
すると、視界に馬に乗った強面のイケメンが通りかかろうとするのが見える。
後ろにズラズラーっといるから、あの先頭の人が王様だろうか。
天皇陛下のように民衆に手を振るでもなく、微笑むのではなく
ただ一心に前を向き淡々と馬を歩かせてるだけだった。
なんだ、ツマラン。帰ろ、まだ食べきってないし。
店内に入ろうとしたら、歓声がどよめきに変わったので
何事かと思ったら、王様と目が合った。というか、何故止まったし。
「そこの男、こちらへ来い」
「は?」
いや、女だから。
と、外見のことを棚に上げて突っ込んでたら
ザッ
えぇぇぇ!目の前の人たちが横にずれて道が出来た。
十戒!?
あの海がザザーって左右に分かれて道が出来た的な。
みんなの“早く行きなさい”という優しい顔ながら、拒否を許さない
台詞の連続に渋々王様の御前に出る。な、何が始まるんだ。
「手を出せ」
というので、大会などでやる宣誓!ポーズをしたら、
引っ張られるし!!力強いしぐさで王様の馬に乗ってしまった。
っで!なんで、歩き出すの、お馬さんっ!!!
「陛下、どういうことですか」
すっげぇ、見てる。
国民の皆さん一庶民が突然拉致同然に乗せられてるんですが
なんで、喜んでるの!?
女性は、羨望のまなざしだし。違うでしょ驚け、非難してよ!
いやああああああああああ!!!
結局無言で、連れ込まれるし。
歩け。と言われても何がなんだかわからなくて
オロオロしてたら、陛下の機嫌がみるみる悪くなっているのが判る。
後をついていったら、人間5人分くらいの高さの扉の前に居る。
王の私室?前に見張り兵がいて敬礼しているし。私のことジロジロ見るし。
なんなのよーーーーーーーーーーーーーー。
部屋に入ると、大きな天蓋つきのベッドが部屋の中央にドーンと
置いてある。まぁ、王様って多忙だろうから寝に来るだけの部屋なのだろう。
「テレビで見るより、大迫力」
何かの商品宣伝文句のような台詞を吐いていると、
甲冑を脱いだラフな格好の陛下が来て私の腕を取り、
ベッドに放り投げないでーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
ぎゃあああああああああああああああああああああ
「な、何をするんですか。へ、いか…」
時代劇の村娘のような台詞だ。
とか思いながらベッドに上がり迫る陛下を見る。
私の服に手をかけ、引き裂くように脱がせる!!
や、やだっ。助けて!助けてぇぇ。
「やめてっ。ヤダヤダ!やっ…」
無言陛下は、いきなり私に口付けた。しかも、深く。
ファーストキスなのに!
食いつくように何度も角度を変え口付ける。
怖いよ、助けて!いやだぁぁぁぁぁぁぁ。
「うっ…」
恐怖で、涙して思わず漏れた嗚咽で開いて口の中に陛下の舌が入ってきた。
やだよぉ。私が何かした!?なんでこんなことになってるの!!?
グルグルグルグルねばっこいアツイものが口の中をうねってるぅぅ。
いやっ、陛下の手がふくらみに達した。嫌だぁ!!
「!!お前、女なのか!?」
「うっうっ…そ、うっですっ…。嫌だ。こんないやぁぁ!うわぁぁぁ…」
涙が止まらず、大声を張り上げると体に触れる感触がしたので
全身を使って身をよじる。頭を振り肩を揺らす。
嫌だ、嫌だ!!知らない人とこんなことしたくない!
いくらイケメンだからってこんなの嫌っ!!
「お前が……月光の巫女だったのか」
異世界ものを書きたくて暇つぶしに書きましたが、
思いの外長くなってきたので小説としてあげました。
微エロとラブラブが書きたかったんです!(…何言ってんの)
だって、某天然と不器用が中々ラブにならないし(結局は自分の力のなさ)
ストックあるまで毎日更新などやってみようかなと思います。
よろしくおねがいします。