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004⇒帰宅

私はフラフラになりながら…

そしてお兄さんに見つからないよう周りに神経を尖らせながらゆっくりと家へと向かった。


私の肌や衣類には『シロ』の血が付いていて少し生臭いカンジがした。



「…はあっ…はあっ」



そしてついに私の住んでるアパートが姿を現して来て

私は安心感に包まれた。



「…はあっ…はあっ」



重い足を必死に走らせ、一刻も早く家に帰りたかった。

急いでアパートの階段を駆け登る。


カンカンカンカンカンカン



「はあっ…はあっ」



今日はいつもより帰りが遅い…。

もしかしたらママは怒っていて私に暴力を振るうかも知れない。

でも今だけの我慢だ。

あのお兄さんに変なことされるよりかはマシだ。



ガチャッ。



「ただいま」



ドアを開けるとママが奥から顔を出した。


「おかえり…アンタ遅かったじゃない…」


「ごっ…ごめんなさい…友達と話してたら遅くなっちゃって…」


「…風呂沸いてるよ…入りなさい…」


ママはそう言うと着替えを私に投げ付けた。



「…はい…」



私は落ちた服を取り、バスルームと足を運んだ。

何にしてもママがあまり怒ってない事に安心した。


バタン


私は体についてる『シロ』の血が気持ち悪く、すばやく服を脱いだ。


そういや、この血に気付かなかったのかな?


ふとそう思い、全裸になるとシャワーを浴びた。




シャアアァァァァ




そして今日あった事はママには内緒にしようと私は決めていた。

乱暴に体を洗うとすぐに湯舟に浸かった。

怯えながら逃げた為、かなり体は疲れきっていた。


チャポッ


「……ふぅ。」



私はとにかく無事に家に着いた事を喜んだ。


安心した。


「………。」



しばらく湯舟に浸かっていたら凄い眠気に誘われた。

お湯が身体を温め、頭がクラクラする。


「……ん…」


瞼が重くなり、目はほとんど閉じかけていた。

そして一瞬の暗闇が何回も訪れ、思考回路もストップしかけていた。

遠くで何か音がした。



バタン。



「…はっ!?」



目の前でママがこっちを見ていた。



「ママ?」


ママはいきなり私の頭を掴んで言った。


「もう重荷なんだよっ!!」



「……!?」



ママは全体重をかけて私の頭を湯舟に沈めた。



ジャボッ



「……っっ!?」



私はびっくりしてお湯から出ようとするが、押さえ付けられて頭があがらない。


バジャッバジャッバジャッ


「…もう…嫌…嫌なの…」


「…ん〜っ…ん〜」


私は更にもがいた。

だが、頭をお湯から出すことが出来ない。


バジャバジャバジャバジャ



「…くっ…許して」


「…ん…ゴボボッ…ボッボッ…んぐぐ…」


バジャバジャバジャバジャ

バジャバジャバジャバジャ


「…許してぇぇ…」


バジャバジャバジャバジャ

バジャバジャバジャバジャ

バジャバジャバジャバジャ


私は死に物狂いでもがいた。

そのもがいた手がママの目に当たった。


「きゃっ!!」


ママの力が緩む。

その瞬間私の体は湯舟からびっくり箱の様に飛び出した。


バジャジャ


ドサッ



「はあーっはあーっはあーっはあーっ…

んごほっ!ゴホッ!ゴホホッ!」


私は噎せながらママを見た。

ママは凄く恐ろしい形相で私を見ていた。


「お前ってヤツは母親に反抗する気か!?さっさと死ぬんだよ!」


「…ごほっ…いやあああぁぁぁぁ!」


私は立ち上がるとすぐに風呂場から逃げ出し、奥の部屋へと走った。


「はあ…はあ…はあ…ごほっ…ゲホッ…」


私は弟の『まさき』の元へ行き、

『まさき』を起こして逃げよう考えた。


「まさきっ!まさき起きてっ!!まさ…き…?」


『まさき』が冷たかった。

うっすら口を開け、ピクリとも動かない。


ママが風呂場から出て来て−


「…もう疲れたのよ…

アンタ達を育てるのも…

生きるのも…

もう全てを投げ出したいの…」


かすれた声でそう言った。


「……ママ?」



「だから…

だから一緒に死のう?

ママも後から逝くから…ね?」



「…いや…いやだ…」


「じゃあアンタどうやって生きて行くの?

まさきもママも死んでアンタ一人でどうやって…?」


「…ひっく…でも…いやだ…ひっく…死にたくない…」


「…もうどうする事も出来ないの…わかって…」


ママはいきなり両手を構えながら走って来た。


「いやああぁあぁぁあ!」


私はうまくママをかわし、ドアを開け外へ飛び出した。


「待ちなさいっ!」


「いやあぁぁぁぁぁ!」


カンカンカンカンカンカン


階段を下り、すっかり暗くなった住宅街へ飛び出す。

後ろからママが追っ掛けて来る為、また『シロ』のいる家へ隠れようと考えた。

それしか思いつかない。



タッタッタッタッタッ



角を曲がればその家がある。

私は角を曲がった。


「……!?」


だが、そこには何故かさっきのお兄さんが立っていた。



「みぃーつけぁ」


そう言うと植木バサミを私に突き付けた。


「きゃっ!」


私はすぐに反対側へ逃げた。

だがママが奥に見えるので別の角を曲がり逃げた。


「いやあぁぁぁぁぁぁ」




私はまたまた必死に走った。

叫びなから走ってるものの、

街の人達は私の声に無反応だ。



「誰かぁぁたすけぇてぇぇぇぅぇぇ!」



少し大きな通りに出た瞬間、右側の道路から二つの大きな眩しい光が私を襲った。



キィィィィーッ






しばらくお待たせしてすません。

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