表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
選択的別姓 「桃太郎」 ~ダブルネームの悲劇~  作者: 如月妙美


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/6

第三章:仲間たちの反応と雉の悲劇

3-1. 猿の困惑

 猿飛三郎は、二通のメールを受け取って首を傾げました。

「なんだこれ?川上太郎と田中太郎?同じ内容なのに、文体が全然違うぞ」

 IT に詳しい猿は、すぐにこれがスパムメールか、あるいはフィッシング詐欺の可能性を疑いました。

「川上家と田中家、どっちに行けばいいんだ?時間も違うし…」

 しかし、猿は桃太郎の二つのSNSアカウントを両方フォローしていたため、どちらも本人であることに気づきました。

「ああ、あの選択的別姓で生まれた桃太郎か。なるほど、二つのアカウントを使い分けているのか」

 猿は状況を理解し、とりあえず川上アカウントに記載されていた集合場所(川上家前)と時間(午前6時)をカレンダーに登録しました。

「フォーマルな方が正式っぽいからな」

 こうして猿は、メールを受け取ったものの、若干の混乱を抱えながらも参加を決めました。


3-2. 犬の誠実な対応

 犬山一郎は、川上太郎からの丁寧なメールを受け取りました。

「ふむ、鬼ヶ島討伐プロジェクトか。村のためになる、立派な志だ」

 犬は真面目な性格なので、メールの内容を何度も読み返し、条件を確認しました。

「集合場所は川上家前、時間は午前6時。了解だ」

 犬はすぐに返信メールを書きました。

 川上太郎様


 鬼ヶ島討伐プロジェクトへの参加を希望いたします。

 村の平和のため、微力ながら貢献させていただきます。


 当日は遅刻のないよう、5時45分には到着する予定です。


 よろしくお願いいたします。


 犬山一郎

 犬は田中太郎からのメールを受け取っていなかったため、何の疑問も持たず、川上アカウントの情報のみを信じていました。

 律儀な犬は、さらに持ち物リストを作成し、装備の準備を始めました。彼の参加は確実なものとなりました。


3-3. 雉の大失敗

 一方、雉田花子は、田中太郎からのカジュアルなメールのみを受け取りました。

「鬼退治の仲間募集?一緒に大冒険?」

 雉は、このメールを見た瞬間、怪しいと感じました。

 最近、SNSでは「簡単に稼げる副業!」「あなたも冒険者になれる!」といった詐欺まがいの勧誘メールが横行していました。雉は以前、そうした詐欺に引っかかりそうになった苦い経験があったのです。

「また来た。こういう怪しいメール、最近多いのよね」

 雉は、差出人の「田中太郎」という名前にも覚えがありませんでした。桃太郎が二つの名字を持っていることを知らなかったのです。

「田中太郎?知らない人だわ。しかも文面が軽すぎる。『やる気と勇気を持ってこい』って、完全に怪しい宗教勧誘じゃない」

 雉は、メールをスパムフォルダに移動させました。

「こんなの相手にしている暇はないわ」

 さらに悪いことに、雉はその日、スマートフォンの通知設定を変更していて、重要なメール以外は通知が来ないようにしていました。そのため、スパムフォルダに入れたメールのことは、すぐに忘れてしまったのです。

 桃太郎からの「重要な仲間募集」は、こうして雉には届かないまま、出発の日が近づいていきました。

 雉は後日、この判断を深く後悔することになるのですが、この時点では何も知らず、いつも通りの日常を過ごしていました。

「明日は天気がいいから、空を飛んで村の上を散歩しようかな」

 雉は、自分が歴史的な冒険から除外されようとしていることに、まったく気づいていませんでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ