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第2話
鷹刀は雨の中を歩く。
駅に入る手前で、ポケットの携帯が震えた。
立ち止まり、画面を見る。
「今もあの酒飲んでるか」
「話がある」
鷹刀は駅に入らず、来た道を戻る。
地下の店へ向かう。
引き戸を開ける。
「一人」
カウンターに座り注文する。
「景虎」
店員が酒を出す。
一口飲む。
変わらない味だ。
壁のポスターに目が止まる。
子供の頃、凛堂と観に行った映画だ。
隣を見る。
凛堂が座っていた。
「相変わらず、それか」
「お前が教えた」
凛堂は一度だけうなずく。
「娘を助けてくれ」
鷹刀は答えない。
酒を飲み干すと、立ち上がる。
凛堂は何も言わない。
ただ、わずかに笑う。
次の瞬間、姿はない。
店内はいつも通りだ。
鷹刀は会計を済ませ、外に出る。
雨は止んでいない。




