第15話
橋を境にした戦いは少しづつ押し返している。
「十兵衛兄さまが来たことで勢いが戻ってる」
十兵衛は剣技は勿論のこと、その豪快な戦い方で周りを勇気づける。
今やアカネも先頭に出て剣を振るっている。
十兵衛と並んでいるせいか、笑顔すら見せている。
「向こうも失敗したようだ」
「潮時だな…と」
ザイツの剛剣が振るわれる。
細身の十兵衛の剣が、それを受け、弾いた。
「お主なかなかの剛剣じゃな」
十兵衛が獰猛な笑みを浮かべる。
「いやいや、あなたの剣こそ獣剣でしょう」
ザイツも笑いながら振り被る。
「楽しもうぞ」
アカネの目に、影の群れが迫る。
影から音が発せられる度にアカネの後ろの騎士が倒れる。
影のような黒いものがいるだけで形も言葉もわからず、倒されていく。
橋の石畳が穿たれていく。
「チャンピオンだ、下がれ」
「私たちには抑えられない」
アカネが身振りで下がるよう、指示する。
盾を掲げゆっくりと騎士団が後退していく。
「無駄死にするでない!」
十兵衛がザイツの剣を大きく弾くと、新たに現れたチャンピオンの集団へと向かう。
十兵衛の目にははっきりと見えていた。
銃を構えた男女が並んでいる。
表情は様々だ。
「お主らは死なぬ」
「じゃから荒くゆくぞ」
十兵衛が腰を落とす。
足を払う。
刃が走る。
「っ……ああッ!」
二人が崩れ落ちた。
十兵衛は止まらず、次の相手に向かっている。
崩れた二人が光となって消えた。
「駄目だ」
「駄目だ」
ザイツが舌打ちする。
「チャンピオンとの戦いには入れん」
「俺には見えんからな」
「おい、下がれ!巻き込まれる」
ザイツが剣を納め、部下たちに声を掛ける。
十兵衛が次の二人の女の肩から斬り下げる。
「ぐっ……!」
銃を掴んだ腕が落ちる。
悲鳴が上がる。
そのまま、崩れた。
光となって消える。
既に4人を光とした十兵衛の前に今までとは明らかに違う異質な雰囲気の男が現れる。
「忍者の次は侍か」
眼鏡の奥の目が細められる。
「この世界は、実に面白いな」
眼鏡をかけた男が十兵衛に銃を向ける。
「お主…ブレスドか」
「その通り…そろそろ終わりにしよう」
男が後方へ合図する。
更に銃を持ったチャンピオンが現れる。
「見える敵ならどうとでもなるわ」
後退していた騎士が男に斬りかかろうとする。
その瞬間無数の弾丸が騎士を貫いた。
「引けぃ!」
蜂の巣になった仲間を見下ろしていた騎士の頬を張る。
「宮殿まで下がれ!」
十兵衛の合図で一斉に騎士たちが駆け出した。
それは、撤退ではなかった。
逃亡だった。




