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第1話
ブロンドの女ガンマンが砂煙の中を歩く。
古い西部劇のリバイバル上映だった。
鷹刀忍は、この映画を一度観ている。
公開当時、親友たちと。
その日も雨だった。
スクリーンの中で、女が銃を構える。
場内は静まり返っている。
だが――
物語に存在しないはずの男が、そこに立っていた。
見慣れた横顔。
凛堂涼麻。
忍は目を細める。
久しく会っていない。
男が、わずかに笑った気がした。
瞬きのあと、姿は消える。
銃声が響く。
物語はそのまま進む。
誰も気づいていない。
映画は終わり、場内が明るくなる。
忍は立ち上がる。
一度だけスクリーンを見上げ、
小さく頷いた。
外に出ると、雨はまだ降っていた。
あの日と同じように。




