表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
正体不明の転生毛玉、人間嫌い皇帝の溺愛ルート入りました  作者: はなまる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/47

第15話 パンパカパーン

 パンパカパーン!


 ヒューゴが斜めに傾いた毛玉を見て、その間の抜けた姿に愛を叫んだ(心の中で)しばらく後……。


 ミーヤの頭の中に、どこかで聞いたような安っぽいファンファーレが鳴り響いた。


(なに、この音……ラッパ?)


 続いて無機質な声が聞こえる。


《愛されポイントが貯まりました。何を生やしますか?》


(は、生やす? 愛されポイント?)


 全く意味がわからない。


 植物魔法が覚醒したのだろうか? 自分は魔法生物だったのだろうか?


   * * *


 物心ついた頃からミーヤは自分の正体がわからなくて、身の振り方に迷いがあった。

 森の中には同族の一匹も見当たらないし、親毛玉や兄弟毛玉の記憶もない。


 それは自分が、かつて人間だったことを思い出した今も変わらなかった。元人間。元小学生女子……では、今は?


 転生するのも、時々人間の姿になるのも、それが普通なのかどうかわからない。動物に転生した元人間は、みんな時々人間になるのだろうか?


 だが、魔法が使えるのは魅力的だと感じた。植物魔法ならば、おいしい果物や野菜を生やし放題だ。


(お、お花……?)


 ミーヤは頭の中に聞こえた質問に対し、恐る恐る、そう答えてみた。ここは慎重になるべき場面だ。

 なるべく無難で、毒にも薬にもならない黄色い小さな花を思い浮かべた。花の名前は知らない。


《どこに生やしますか? 選択して下さい》


 身体の近くの地面を意識して「このへん?」と答える。ミーヤは毛玉なので「足もと」は存在しない。


 何が起きるのかドキドキしながら待つ。ワクワクもする。本当に花が生えるのだろうか?


《地面に生やすことは出来ません。身体の部位で選択して下さい》


(身体に生やすものだった! お花ダメじゃん! 尻尾とかツノとか爪とか、そういうのだった!)


 それならちゃんと説明して欲しい。ミーヤは理不尽さを感じながらも律儀に答える。


(えっ、あの! じゃあ、尻尾! 尻尾でお願いします!)


《選択の変更はできません》


 理不尽だ。理不尽な上に融通が効かない。今でさえ正体不明の毛玉なのに、この上身体に花を生やして、どうしろと言うのだ。


(生やさなくて良いです!)


 切実に、そう答える。そもそもこの声はなんなのだろう。……神さま?


《選択処理済みです。取り消しはできません》


 ミーヤはよく説明を聞きもせずに答えたことを後悔した。


(……じゃあ、頭で良いです!)


 ミーヤはさめざめと泣きながら、半ギレで答えた。どうせなら美味しい果物にすれば良かったとも思ったが、この小さな毛玉の身で頭に木が生えたら、身動きが出来なくなるだけでなく、養分になって干からびてしまう。


 しばらく待つとポンッと間の抜けた音がして、頭のてっぺんに黄色い小さな花が咲いた。

 水溜まりに自分の姿を映して、がっくりと肩を落とす。ミーヤはまん丸い毛玉なので、どこが肩なのかは自分でもわからないのだけれど。


 まん丸い茶色い毛並みから、チョロリと茎が伸び、黄色い五枚の花が正面を向いて咲いている。根元には二枚の葉っぱ。子供が落書きで書きそうな花だ。森でも街でも道端でも、至るところに生えている。


 どう見ても生存競争に勝てそうもない姿だ。迫力のカケラもない。もちろん花は何の役にも立たない。


 ミーヤがすっかり途方に暮れていると、背後からガサリと枯れ葉を踏む音がした。

 ピョンと跳ねて毛を逆立てて振り返ると、大きな手で口元を覆ったヒューゴが、タラリと鼻血を出して立っていた。


(へーか! 帰ったと思ってたのに、見ていたの?!)


 ミーヤはまたガクガクと震えた。こんな変な生き物は、危険とみなされて討伐されてしまうかもしれない。


 だが、ヒューゴは鼻血をキリリとした顔で、ワイルドに袖口で拭いながら言った。


「くっ……頭に花が……! しかも“ポンッ”と鳴ったぞ……っ。……いかん……笑うな……。くっ……なんて愛らしいんだ……」


 笑いを堪えすぎて鼻血が出ている。真顔なのがちょっと怖い。


 途端にさっき聞いたばかりのファンファーレが、再び大音量で鳴り響いた。


《愛されポイントが貯まりました》


 ミーヤは瞬時に理解した。


(愛されポイント……! へーかがくれたんだ!)


 ペットやモンスターのお世話したり、餌をあげたりして親密度を上げる。それが一定の数値に達すると、懐いてくれたり甘えてくれたりと、行動が変化する。たくさん構ってあげると成長したり、進化したりして姿が変わる。


 ミーヤは、そんなゲームに心あたりがあった。


(わたし、へーかに育成されてる……?)


 もしかして、この世界はペット育成ゲームなの? わたし、ゲーム転生しちゃったの……?!




読んで下さりありがとうございます。


これにて毎時間投稿の、春の毛玉祭りはおしまいです。

ですが、明日からも毎日投稿します。ぜひブクマ登録を!

「面白い!」と思った方、「続きが気になる!」と思った方は、☆での評価をいただけると、毛玉がとても喜びます。

ミーヤに愛されポイントが入っちゃうかも!

作者の燃料になりますので、どうぞ応援、よろしくお願いします! 感想も聞かせて下さいね!


《次回予告》

頭のてっぺんに、黄色い花の咲いた毛玉。

そんなヒロインで良いのだろうか……

次話『第16話 ミーヤの考察』

毛玉、世界の仕組みに気づきはじめる……?!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ