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第8節 シーズンラスト2

 元旦。

 インQしてる間に年が変わってたらしい。

 チャレまであと90LP。ボーダーがどんどんあがってく。

 鴻乃さんからメッセージが来た。

『あけおめことよろ~!

 去年は本当にお世話になりました!!

 今年もぜひぜひよろしくね~~!!

 チャレチャレンジファイト!!!』

 そして恒例のシマエナガスタンプ。


『あけおめことよろ!

 こちらこそ、去年はお世話になりました。

 チャレチャレンジも頑張りますし、鴻乃さんをダイヤにあげます』


『あげすぎ笑笑 お願いしますよコーチ~~~』


 五日。

 冬休み最終日前日、ランク終了まであと今日入れて三日。

 深夜一時、負けて終了。あと40LP。

 勝ってたらチャレボーダーだった……焦らない。焦るな。


 六日。シーズン終了は明日だが、明日から学校だ。がっつり回せるのは今日が最後となる。

 少し前にバフを受けて強くなりすぎたせいで、今度はナーフされて封印していたエズOTPに戻った。

 十二月に入ったパッチを最後に、BOTにはOP(ぶっこわれ)チャンプ不在の状況が続いてる。

 ここまではその中でも勝率の比較的高いチャンプを中心に使っていたが、いまいち勝ちきれない試合が多かった。ゆえに、90%のアフェリオスより100%のエズを使う。その精神で回す。


 初戦、負け。

 二戦目、勝ち。

 三戦目、勝ち。

 四戦目、負け。

 五戦目、負け。

 そして六戦目、負け。

 現在午後二時。

 俺のパフォーマンスは悪くない。というか良い。めちゃくちゃ良い。

 けど、三連敗は心にくる。

 パフォーマンスが落ちてる感じはしないけど、一旦休止を取る。

 昼飯は母が用意してくれたボンゴレビアンコだった。うまい。

 淹れてくれたコーヒーもうまい。バフもらった。


 部屋に戻ってふと学校について考えた時、宿題が九割で止まっていることを思い出した。

 いやいやいや。馬鹿野郎。

 いっそ終わらせないどくか? 今はLoLが優先じゃね? とも思ったけど、流石に無視出来ない。なんて愚かな人間なんだ俺は……。

 三時に始めて、六時に終わる。めっちゃくちゃ集中した。

 追い込まれた時が勝負ですもんね。


 再開して七戦目、勝ち。

 ラダーを見るのは一旦やめる。

 夕食を頂き、再度Qイン。


 その後五戦し、本日の戦績は六勝五敗となった。

 もうすぐラダー更新の0時だ。

 ランキングを見る。

「……あと76LP」

 昨シーズンは縁の無かった、熾烈なチャレボーダー競争の渦中にいる感覚。

 LP自体は盛れてるけど、周りのチャレ・グラマスもLPを盛っている。

 ひとえに、今シーズンをチャレで終えるために。

 上位50名になるために。

 あと76LP。この時点でまあ、今季絶望という文字が浮かぶ。

 明日は始業式で、そのまま実力テストとかいうわけわからん行事がある。なので、普通に十七時帰宅。

 最上位帯になるとマッチングするプレイヤーの数が減り、マッチングの時間が長くなる。とはいえ最終日だから、通常よりは人が多いはず。0時までに、飯風呂を最短で済ませれば八試合ぐらいはいけるか……?

 まだ諦められない。というか、まだ現実的にはあがれる可能性がある。


 一月七日、始業式。

 久しぶりの鴻乃さんだった。大して会話する機会も無かったが、改めてあけおめ文言を交わせた。

「チャレチャレンジ、がんばれ!」

 彼女が状況を知っているのかは分からない。でも多分、俺の戦績サイトを見てるのだろう。応援の言葉が素直に嬉しかった。


 帰宅後、即インQ。

 エズリアルピックはやっぱり馴染む。

 こいつもまた、天井が無限のチャンプの一人だ。

 上限値がとんでもなく高い。

 うまくやれば、人数不利でも全然返せる。

 改めて自覚したが、俺は追い詰められると集中力が増すタイプらしい。

 いや、よくよく考えると一年前とかそんなこと無かった気もする。これもまた成長なのかも。


 一試合目、キャリー。

 二試合目、キャリー。

 三試合目、キャリーしきれず。12―4―9のダメージトップで負けるとか泣きたくなります。

 四試合目、キャリーしてもらう。

 五、勝ち。

 六、リメイク。まじで勘弁してくれ。現在二十二時半。風呂は日付変わって入る。あと一戦いける。

 七、勝ち。

 これ、いったんじゃない!? 一旦キューインを止める。

 ラダーを確認。これどれが最新なんだ? 統計サイトよりはクライアントか?

 ……クライアントでもサイトでも五十位!しかも五十二位から40LP差ある!!

 でもよく見るとこれ、五十一位が俺と同じLPだ、同じLPの奴がもう一人いる!

 現在二十三時十分。

 一試合しかない。完全に五十位争いになった。

 これ、なにをもって五十一位じゃなくて五十位なんだ? てか五十一位の奴普通にインゲーム中だし。

 そいつが勝ったら逆転される。

 回さないと駄目だ。

 三分でマッチする。めっちゃ早い。

 エズをピック。

 ゲームが始まって絶望する。

 相手のジャングルがムニエルだった。

 勘弁してくれ。

 開始七分。ファーストブラッドのメッセージ。味方のジャングルが、次いでミッドがやられる。

 三分後。またジャングル。

 二分後。なんでこの状況でグラブコンテストしてんの? 無理そうにしか見えないけど根拠はなに? あ駄目だ、1-3交換。

 俺がティルト(メンタルブレイク)したら負け。

 上半身、チャレが両チームに二人ずついるとはとても思えないワンサイドゲームの一方で、ボットは着実にポイントをあげていた。

 二十分で2-0-2。相手のボットはキルなし、CSは20差つけてる。

 レーン戦は勝ちと言っていいだろう。

 そしてその頃には、このサモナーズリフトは完全に終わっていた。キル差は6対23。

 23分、思い出作りのドラゴンファイトで0-4交換となり、FF(サレンダー)が通る。

 四人が降参に賛成。俺は無投票だった。


 二十三時三十七分。

 十秒悩んで、マッチング開始。

 即マッチ。


 相手を十五分FFさせられれば勝てる。

 もちろんファーストピック・エズリアル。

 相手はカイ=サを出してくる。

 ゲーム開始と同時に、再度の絶望。

 相手のカイ=サが、ムニエルと双璧を為す名誉韓国人、女性初のLoLプロプレイヤーにして日本で最もADCのうまいプロプレイヤー、Plum(プラム)選手だった。


 試合は激戦となった。

 ボットの勝敗を重く見た両ジャングラーは積極的にボットレーンに介入。お互いに一進一退の攻防を繰り広げる。

 試合は劇的なシーソーゲームとなった。

 それでも二回目のエルダードラゴンを制した俺たちブルーサイドがPlum以外を全滅させる。

 流石のPlumでも、四人には勝てない。

 そのまま無慈悲にキルし、ネクサスを破壊した。

 四十五分ゲーム。長かった。

 ここまで熱戦になったのは久々だった。

 本当に楽しかった。

 本当に楽しかったけど、まじで今日じゃない。

 スクリーンには、勝利の画面を映すクライアントと、0時25分と表示された時計が写っていた。

 今シーズンのランクは、二十五分前に終了していた。



 あー勝てんかったなー。あがれんかったかー。

 勝てそうだった三試合目がフラッシュバックする。

 いや、あそこ踏み込むのがミスだったかなぁ。

 フラッシュ三個落とさせて、一キルして、それぐらいだと足りないかぁ。Eの切り方、もっと受け身の方が良かったかなぁ。


 脱力する体をどうにか動かし、風呂に入る。

 気付けば十分ぐらいシャワーを浴びていた。

 ふと眠気に襲われる。

 てかもう一時近いじゃん。湯舟につからずとっとあがろう。

 何も考えない。寝る。

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