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第4節 昇格、夏休み2

 翌週は最終週ということで、短縮授業等もありぬるりと一学期終了、夏休みへと突入した。

 中学から引き続きLoL超強化期間ではあったが、これまでと違いイベントが発生した。


 まず一、鴻乃さんのコーチングは継続となった。

 しかも夏休み初日の土曜日に鴻乃さんからメッセージが来るおまけつき。

『次の水曜日、コーチング前にスタバどう??』

 勿論速攻でイエスを返したし、その日は踊ってない夜を知らなかったね。

 サモリフ内で無駄にエモートでキャラを躍らせたりもした。まじで心が浮つきすぎだし普通に負け越した。馬鹿野郎。

 てか、人生初デートだこれ。デートだよなこれ? もしかして違うのかこれ?


 水曜日。一時頃にお互い電車で待ち合わせて高校最寄りの駅に向かい、駅近くのスタバで昼も食べて俺の家に行く、という流れになった。

 電車内はかなり空いていて少し新鮮だ。そっか、そりゃこの季節のこの時間帯は人少ないわな。

 鴻乃さんは乗り込んだドアから左奥の席に座っていた。笑顔で手を振ってくれる。

 なんか、最初は「可愛い」「好き」とか冗談めかして言っていたけど、本格的に鴻乃さんが可愛すぎるのが恐ろしく思えてきた。白基調に、青と黄色の大きな花があしらわれたワンピース。白のヒール付きサンダルと、パソコンが入っている黒のリュック。ファッションについてはよく知らんけど、強いという感想が出てくる。対面に二レベ差つけられたぐらいの具合の悪さ。

 冷静に、クラスでトップクラスに可愛いギャルと一緒に二人でスタバ行くって何? これってもはや他の男から私刑でやられちまっても文句言えないよな?

「おつ~~。外暑くなってきたね? てか射手場くん結構お洒落じゃん!」

「お疲れ。暑いっすね……鴻乃さんもそのワンピース可愛いね」

「あまじ! ありがと~~嬉し。可愛いよねこれ!」

 これがデートにせよデートじゃないにせよ、リサーチ、キメてきました。

『初デート 会話』で検索検索ゥ!

 ちなみにファッションについては母・姉のセンスであり、俺のセンスが一切関与していないことにより失敗を免れている。ありがとう家族。


 そして、スタバの注文は呪文であることも当然リサーチ済み。

 無事アイスキャラメルマキアートのトールサイズを召喚することに成功した。

 鴻乃さんは抹茶フラッペチーノを注文してた。渋い。意外性。

「抹茶好きなんだよね~」とのこと。

 それと、普段よりもプライベートの話を多くしてくれた。どうやらご一行で海に行くらしい。青春だねえ……。


 スタバを堪能した後、自宅に向かう電車にて。

「そういえば鴻乃さんさ、俺のフレンドと五人でお遊びLoLするってなったらやりたい?」

「うわっ、フルパLoL!? ……どんぐらいのレートの人?」

「一人はダイヤ。もう二人は分からん」

「いや、レート差!」

 現在、鴻乃さんはシルバー4から昇格してシルバー3に。その先にゴールド、プラチナ、エメラルドといて、ダイヤがいるわけですねえ。しかもその人ほぼマスターに近いですし。

「大丈夫、全然負けても笑ってる感じだし、楽しくLoLやりましょーって感じだから」

 そう聞いてます。

「それに、コールとか出るチームゲームやってみたかったでしょ?」

「やりたい!! え、それってだから私が0/10でもみんなが笑いながら何とかしてくれるってことだよね?」

「ええ」

 はい、そう聞いてます。響さんから。

 先日響さんとデュオをした後もちょくちょくディスコでやり取りをしており、どうせなら五人でやろうという話になったという流れ。

「なら是非是非!」

「おけ、時間って二十一時とかでも大丈夫そう?」

「たぶん大丈夫だよ~」

「分かった、また日程候補連絡するわ。そういえばディスコって使える?」

「よろしく~使えない~あとでやり方教えて~」

「了解」


 で、なんやかんやで日程が決まった二週間後の土曜二十一時前。

 俺と鴻乃さんは事前にディスコで通話していた。

『やばい緊張する、吐きそう』

「鴻乃さんこういうの緊張するタイプなんだ」

『なんか、慣れてなさ過ぎてやばい。全然受験の時の面接より緊張してる』

「まあ、気楽にね」

『うぃ……。え、私コールできる自信ない』

「最初だから出来そうな範囲で大丈夫だよ」

『えっと、何言えばいいの?』

「相手のウルト、フラッシュ、TPの報告と、相手がロームしてないか、あとはオブジェクトタイミングで寄れるか、相手と自分のどっちが先に着くか、ぐらいかな。これぐらいなら鴻乃さんならいけると思う」

『おけ……メモった! 頑張るうぅぅ……』

 最後はもはやうめき声だった。

 なんて言ってる間に、響さんからサーバー招待のメッセージが来る。

「高校生を囲う会」と書かれていた。大丈夫か?

『ひびき:ごめん招待遅くなった、こっからよろ~。あとリンク共有もお願いね』

 了解、と返信しつつサーバーに入る。既に響さん含め他の三人は通話に入っているようだった。

「鴻乃さん、サーバーの招待来たからリンク送るね。ここの一般ってとこに行ったらそのままボイス繋げるから」

『わーーーおっけーーーー。じゃいこっか!』

「ほい」

 ボイスに参加すると、男の人が喋っていた。ほぼ同じタイミングで鴻乃さんも入ってくる。

『——しょ? だからリーグ的には……あ、来たかな? こんばんはー』

「どうも、射手場です。サモナーネームArcheryです、はじめまして。ADCです」

『ゆずです、よろしくお願いします!ミッドです!』

 あんだけ緊張してたのにおくびにも出さない。凄い。

 すると、あとは響さんが取り仕切ってくれる。

『ようこそー、来てくれてありがとねー。響でーす。あ、ADCでーす。ひびきってアカウント名ね。そのまま二人紹介しちゃうわ。えっと、まず兄のそう

『奏です、ジャグでーす。よろしく』

 最初の声は響さんのお兄さんだったらしい。響さんと同じく、低めの落ち着いた声だ。……ん? なんだ。なんか……なんだ?

『あと、兄の友達の……なんて呼べばいい?』

『ああ、リタでいいよ』

 綺麗な女の人の声。それこそ配信者とかやってそうな……。

『あ、ロールはトップです。よろしくね~~』

 なんか、急に体が熱くなってきたし脂汗をかいてきた。

 ……女の人は心当たりは無いけど、なんとなくお兄さんの声は聞いたことあるんだよなあ。


 インバイトを貰い五人が無事揃うと、マッチングが開始される。

 ちなみに、二人のアカウント名は見覚えが無い。すぐにOPGGで検索する。病気ですね。

 リタさんはエメラルド2だ。今期百六十戦ぐらい回しててアカウントレベルは五百台。シーズン8からやってるめっちゃ経験者。

 問題は奏さんのアカウント。エメラルド1、二十五勝七敗。勝率78%。レベル54。明確なスマーフ(サブアカウント)だった。まあ、この人が想像してる人と同一人物だったらそらそうなるわな……。裏で遊ぶ用のアカウントだろうな……。

 十秒そこらですぐにマッチングする。

『はんや』と奏さん。

「フルパノマってこんな早いんですか?」

『早いよー、今このゲーム流行ってるからねー』

『まじかよリーレジェ流行ってるのかよ』

『リーレジェ呼び本当やめれる?』

 響さん、奏さん、リタさんはテンポよく会話を繰り広げていた。


 鴻乃さんのピックにはリタさんから驚きの声が。

『ゆずさんアニビア使いなの!?』

OTP(キャラ専門)です~』

『え、それって……』

『あ、鳥が好きなんで!』

『えええそういうこと!?』


 最初の試合は完勝だった。

 というか、JGがうますぎる。

『あ、これカニファイトになる。見たいなこれ』

『リー下食うもん無くて二十秒ぐらいで多分ボット見てくるわ。カウンターガンク見るね』

『あやばすぎるこれ。終わった……俺は最後まであがくぞ!あがけ!うお!あがく!避けて!ほい!あなんか勝ったわ』

 最終7/1/14です。タンク(セジュアニ)なんですけどねこの人。

 鴻乃さんも頑張ってた。

『アーリフラッシュ!』

『あ、これ下私が先に寄れる!アーリTPない!』

『これ壁で防げる! ……よし、ナーイス!』

 と、フラッシュインWを決める場面も。

 ……彼女シルバー3でフルパ未経験なんですよ?


 マスターダイヤ軍団に一回負け、最終的に三勝一敗となった。

 始まる前は鴻乃さんのレーニングが無事か心配してたが、結果的に無事だった。JGの方が神なので……。


 ちなみに、ちゃんと負けてる時でもめちゃくちゃ声を出し明るくLoLをやる方々だった。

『うおおおラストファイトいくぞおお。サイオンサイオンサイオンサイオン!!あ無理無理無理無理!とかすの三年かかる!一回アウトしてアウトして……逃げてえええええ!』

『あっ、う、うおっ!? 一秒で下半身と上半身がもがれた!?ヒイイイイイイイ』

「あすんませんバックラインが……壊滅しました……」

『うおおおお負けるなああああ、あ無理いいいい』

『あ~~~~惜しい!!GG!!』

『GG~~~!!(泣き声)』

 響さんのお兄さんもリタさんもおもろすぎるし、鴻乃さんも楽しそうで良かった。


 試合後、奏さんからお褒めの言葉を頂く。

『やっぱArchery強いねまじで。もしかしてとは思ってたけど高校生だったんかよ』

「い……恐縮です……」

 なんか認知されてそうな話し方でまじで恐縮である。リタさんも話に加わる。

『今高一なんだよね? グラマスってやばない? むにさんっていつグラマスなった?』

 普通にむにさん呼びしとる……。誰だよ。奏だろうがよ。

『俺がやってた時はグラマス無くて、チャレなったのが高二とかだったかなあ』

『えやば、じゃああーちぇりー君プロコースじゃん』

『あんまプリメイド五人の経験無いんだっけ? ゆずさんもだけど二人ともめっちゃコール出来てて凄いね』

「自分はあの、プロの試合も結構見てるんで……」

 実質あんたのこと知ってるぞカミングアウト。

『私は配信者のチームゲームが好きです!!』

『あーね、すげーまじで流行ってるじゃんリーレジェ。ゆずさんもシルバーなのまじ? サブアカじゃなくて?』

『あざっす……! はじめて二か月です……!』

『まじか、二人とも将来有望すぎるな。また是非今度やろうよ!』

『ぜひぜひ!』

「お願いします」

『じゃあ俺そろそろ寝るわ、響もリタもありがとね、んじゃ!』

『私も楽しかったよ~~また遊ぼうね~~』

『うぃ、みんなありがとね~おやすみー』

『おやすみなさい~』

「おやすみなさい」

 そういい、和やかなムードで解散。

 初心者の鴻乃さんを入れること、自分自身チームゲームは慣れてないこと、そしてまさか響さんのお兄さんがあの人だなんて知らなかったことで頭が爆発しそうだったが、なんとか乗り切ることが出来た。

 時計を見たらもう十二時半。大分眠い……そろそろ寝るか。

 と思い横になるも、興奮で三十分寝付けず。

 その間に響さんから連絡が来てた。

『ひびき:えーゆずちゃんめっちゃいい感じじゃん。嫉妬します』

『Archery:何にだよ。ていうか!!』

『Archery:事前に教えてくれよ!!!』

『ひびき:なんのことかなー???』

『Archery:今日は寝るんでまた今度詳しく聞きます……』

『ひびき:ほいほい、おやすみー』

『Archery:おやすみ』

 結局、風呂に入って寝るのは二時前になってしまった。


 翌日。

 午前に鴻乃さんから電話が来る。改めて役得である。

『え、プロの人だったの!?』

「そう、なんならトッププロ」

 スルーセブンシーズ、通称T7S所属の日本人ジャングラー、ムニエル。通称むーさん。

 LoLで最も競争の熾烈な韓国サーバー、そこでチャレンジャーになっている数少ない日本人の一人である。人呼んで名誉韓国人。

『そうなんだー、めっちゃうまいと思ったけどガチでうまい人だったんだねー』

 出身がこっちの方だと聞いたことはあったけど、まさか知ってる人の兄だとは……。

 確かに、前に響さんが兄の影響で始めたとか言ってた気がする……兄の影響力がデカすぎんだろ。

「素直にどうだった、初チームゲーム?」

『楽しかったよ!楽しかったけど私にはレベル高すぎかなって感じ!!』

「いやそらそうだよね……まあ、チームゲームお試し編って感じで」

『あーね、でも楽しかったよ!!ありがとね~』

「実際声出てたし、鴻乃さん向いてそうだったね?」

『まじ!?嬉しい~。てか改めてうちの先生めっちゃ先生だ~~~ってなった』

「どういうこと?」

『えめっちゃキャリーするしめっちゃコールするし凄かった!』

「あ、なんかお手本になってたなら良かったです……」

 その後十分ほどやいのやいの話をして通話が終了した。……今日も一日頑張ろう。


 八月二週、夏休みも折り返し。

 水曜のコーチングは鴻乃さんがご一行と海に行かれるということで無くなった。

 代わりに『楽しかった!』というメッセージと五人の集合写真が送られてきた。

 多分、楽しさのシェア的な感じで送ってきてるんだろうけど、普通に反応に困る。

 というか、心がざわつくんですが。特に佐鳥、お前鴻乃さん近すぎ。

 ……それはそれとして。女子陣、めっちゃスタイルいいな……あと志島の体格が良すぎる。これがイケメン……。てかあがのんでか……鴻乃さんも以外と大きいし、芥野さんもスタイル良……ググ、ググググ……。

 いや、羨ましいだろ普通に。

 ……でもまあ、これが陽キャどもが人間活動を頑張ってきた成果だと考えたら、そりゃワースだよなって気になってきた。確かに。

 それで一旦溜飲を下げることとするか……いや羨ましいだろうが!!


 そんなイベントもありつつ、基本的には家に引きこもる。

 LoLして、宿題して、適当にアニメを見て、コーチングをする。

 なんてことはないけど、充実した夏休みだった。

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