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第3節 リアルライフについて2

 比較的早めにマッチ。

「響さんルシナミどう?」

『おけ。ミリオとどっちがいい?』

「ナミの方が得意じゃないっけ?」

『じゃあナミで』

 BOT DUOで強力な組み合わせは何個かあるが、その中でもお互い操作が楽しいのはこれだろう。ケイトラックスもいいけど、今回はルシアンを使う気分だった。

 なんだかんだ響さんとは結構DUOしてたし、まあ余裕っしょ、と思ってたら相手はケイトラックスだった。


『あ゛―――ぎづーーーーー』

「それな」

 ケイトリン・ラックスとの圧倒的な射程差により、どう丁寧にプレイしても体力差が生まれる。

 基本的にこのマッチアップは守りだ。こつこつQハラスで点数を稼ぐが、CSのタイミングでどうしても被弾するし、CSをかなり落とさなきゃいけなくなる。

 本職ADCなだけあって響さんはミクロが高い。お互いほぼほぼミスなくプレイしてはいた。ちなみに一回Eからのトレードでご挨拶してみたら普通にバチボコにやられた。ナミじゃなきゃ即死だった。ヒールスキル持ちの偉大さよ。

 苦しい展開だが、取られたプレートはレベル6タイミングで一枚だけ。俺らめっちゃうまくやってるよ。


 レベル7。グラブ側の視界が無く、上半身のレーン状況も悪いため、味方JGはボットガンクを見ていた。自分だけ体を出し、あたかもボットは一人ですよ感を醸し出す。

 レーンは自陣タワー前でフリーズ出来てる。ナミとJ4はトライブッシュからガンクを伺っていた。

 相手はケイトリンだけ。『お互い1vs1だよね、ちょっとプライドバトルしてみる?』って感じで、Eで前ブリンクした瞬間、レーンブッシュから敵のラックスがフラッシュインQ、即座にフラッシュアウト。

 更に相手JGのエリスもフラッシュインE、当たる。クレンズで解除。

 ラックスのEを前ステップでそのまま上に避ける。

 エリスの追撃を受けバリアを展開しつつ、ラックスにWオートQオートRで体力を4割に。J4とナミが合流、ケイトリンを無視してラックスをフォーカスで落とし、次に深い位置のエリスをフォーカス。三人がギリギリでダメージを受け切り、結果2―0交換となった。

『いや、なんでルシアン生きてるの』

「エリスも下見てたか」

『クールか』

「まあうまく捌けたな」

『クールだねえ……』

 俺はそんなに反射神経が良い方じゃない。ネットで転がってる反射神経測定でも、反応速度は0.18秒とか。悪くはないけど、めちゃくちゃ良いとかでも無い。

 ただ、集中力には自信を持つようになった。もしここで敵が隠れていたらどうするかを常に考える。今のシーンも敵JGとSUPが見えなかった。レーンブッシュの視界が無くなっているタイミングがあった。こちらがグラブを捨ててボットを見てるように、相手ももし下を見ていたら。心構えがあったから避けられた。

 正直、ADCとしてのセンスとしては終わってる気もする。本当にうまいプレイヤーは、多分考えずに反応してしまうプレイヤーな気がするから。まあそれでも、心構えをした上でそれがプレイの質を損なわないなら、問題無いだろう。大変だけど、そういうアプローチを積み重ねてきている。


 ドラゴン前の集団戦はデッドしない計算だったが、少しミスってデッド。

「あーもう俺下手すぎだ」

『いや3-2交換でめっちゃワース(価値あり)でしょ、ナイス』

「まじで人生に悩んでるって感じのフラッシュだった」

『どしたん話聞こか?』

「おけ3コア出た、今無敵だね」

『了解。バロンキャッチで決めよう』

 そして、その後綺麗にバロン前集団戦を制してそのまま勝利、GG。


『ないす~~相変わらず上手いね』

「ナイスサポート。もうサポート転向したら?」

『……ころ……』

「すみません」

 確かに、ADCのサポート転向は気持ち的にかなりつらいけど……それで成功してるプロも沢山いるしね?


 三戦三勝。つまり今日で六連勝してる。いい感じ。

 響さんはバイトがあるとのことで、時間が来るまで雑談タイムになった。

『結構LP盛ったね?』

「マスターあがれそうじゃない?」

『あ、じゃなくて君の』

「あ俺?」

『そうそう。ラダーかなり上の方でしょ? グラマスもう行っちゃう感じ?』

 ふと気になりランキングを確認する。LP283。ラダーは168位まで来ていた。えっ嘘。

「えやばいグラマス行けるなこれ」

『まあいけるでしょ。何でまだ行けてないの?』

「俺が聞きてえ……」

『腐らずに頑張りたまえよ~。でも最近調子良さそうだよね? なんかあった?』

「めっちゃLoLに時間費やしてる……でしょうか」

『あまりにも正攻法で笑う。なんかもっと他に無いの?』

 他にか。

「んー……あ、最近コーチング始めたよ」

『え? なにそれ。誰をコーチングしてんの?』

 ……クラスのギャル?

「えーと、クラスメイトかな」

『は~~えなに、ゲーマー仲間?』

「いや、違う」

『ん? じゃあ何?』

 ……そう聞かれると困る。

「あー、実況者が好きで興味持ったんだって」

『へ~。最近の勢い凄いね~。……女の子?』

 何で急にそんなこと聞くの?

「……いや、これが女の子なんですよね」

『はああ~~~~? LoLが好きな女なんているわけないだろ?!』

「じゃああなたは何なんですかって話」

『えなに、颯斗の春ですか? LoLをダシにってことですか!?』

「違います、落ち着いて下さい。普通にLoLをコーチングしてます」

『なわけないでしょ~~~~。何、可愛いの?』

「いや、可愛いけど……なんでそんな響さんは前のめりなワケ?」

『え? 粉かけてる男の子が悪い女に騙されてるんじゃないかって気が気じゃないから』

 こ、粉かけてるって……。

「嫌な言い方……。いや、まじで普通にLoLが好きな感じだよ。そういうのじゃない」

『本当かよ~。いいんだよお姉さん、颯斗の春を祝ってあげれるよ?』

「いや、まじでそういうのじゃないから」

『必至乙~~。逆に颯斗の方がその子好きとかなんちゃうん!』

「ちゃいますね」

『またまた~~~』

 なんかテンション高いな……。この人の恋愛事情全然知らないんだけど、こんな前のめりになるのか。

「響さんって……」

『ん?』

「いや、そういう感じの一面あるんだなって」

『…………』

「陰キャぶってるからそういうノリ嫌いなのかと思ってた』

 一転して暗い低い声がヘッドホンから流れる。

『……はい、嫌いです。すみません。ただの陰キャです。あまりない友人の恋愛話かと思って舞い上がってしまいました。他人にされたら嫌なことをしてしまいました。ごめんなさい』

「真摯に謝られると逆にやりづらいわ……」

『え~でも可愛いんでしょ? 機会があったら一緒にやりたいな~』

 落ち着いたのか、いつもの口調に一瞬で戻られる。上下幅えぐ。

「え……あー。まあ確かに。ちょっと考えとく」

『あ、本当? 二人っきり邪魔しちゃわない?』

「あの、本当にそういうのじゃないんで大丈夫ですよ」

『本当かな~~? お姉さんが確かめてあげるよ』

「でも、まだ本当始めたてだからね」

『いいじゃん、わちゃわちゃLoLしようよ』

「おー、何かいいなそれ」

『でしょ? 真面目にやるだけがLoLじゃないって』

「確かに。てか時間大丈夫?」

『うん、そろそろ行くわ。じゃ、ありがとね。チャレ頑張って!』

「はーい頑張ります。またね」

『またね~』

 ティロン。通話が終了する。

「ふう……」

 響さんなんかテンション高かったな。大学楽しそうな感じか?


 LoLがきっかけで知り合った人は何人かいる。

 それでも、今でもやり取りを続けているのは響さんぐらいだ。

 彼女と鴻乃さんと三人でLoL……。

 全くどうなるか想像つかないな。でも確かに、わちゃわちゃLoLはいい響きだった。

 鴻乃さんがもう少し慣れてきたら、ワンチャンありかもな。

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