3.百にまつわるお話(お礼の小話)
驚きと喜びのままに、書きました。
「オデット様。百、と聞いて思い浮かぶものは何でしょうか」
「うーん、百、百…………あ、魔術階位の区分と、魔力量の区分は違うんだよね」
唐突にルクスに投げかけられた質問に、私は首を傾げる。
ここで魔術に関係するような返答をしてしまうのは、ルクスの影響を受けている所為だろう。
というか、私の記憶は、ルクスが魔術について説明する時間が多くを占めているので、分野を問わない質問であっても、答えが魔術関係になるのは仕方のないことだろう。それに相手はルクスだし。
私の返答にルクスは、いつもの魔術の話をする時の輝いた目で、私を見返した。
「はい。魔術階位は色で表され、魔力量は数字で表されます。魔術階位の第一区分は9段階、第二区分は26段階、26色の色に分けられます。勿論、橙や水色といった魔術階位の区分にない色も存在します。これらの色を持つものは、魔力量などを計測し、魔術階位に当てはめ、何色相当である、という言い方をします」
確かに、薄赤色や灰色など、世界には沢山の色がある。26色には到底、収まりきらない数だ。
けれど、それでも色があり、物が存在している、ということは、魔力を持っているということでもあるのだ。
だから、どのような色であっても、魔力量を計測して、階位に当てはめることができる。階位という物差しで測ることができるのだ。
「うん、魔術階位と魔力量は対応しているんだよね」
「はい。魔力量の第一区分は10段階、第二区分は100段階、第三区分は10000段階で、魔力量を数字として表します」
「うん、そう。百って言ったら、その第二区分かな、って思った」
そう。私が百、という数字に持つ印象など、その程度でしかない。
何故なら、記憶がないから。
これまでで印象に残っている数字、記憶が鮮明に刻まれている数字など、何も無いのだ。
知識も過去も、何も無いからこそ、全てを平坦な気持ちで見ることができるのだろう。
あぁでも、私にとって、印象深い数字はあるかもしれない。
それは魔術暦1223年11月28日だ。
数字、というものではないかもしれないが、私の始まりの日で、私がここに来た日で、私がルクスと出会った日だ。
うん、何だか、遠い昔のことのように思えるな。自分がそれだけの時間を積み上げて来たのだということが、少し信じ難い。
けれど、その全てが大切な記憶だ。
と、少し物思いに耽ってしまった。私は目の前の会話に思考を戻す。
私がここまでの記憶の中で、百という数字を気にしたことなど、その魔力量の区分の話の時くらいだったのだ。
そんな私の返答に、ルクスは同意するように頷いた。
「そうですね。魔術師や研究者は第三区分を用いて話をすることが多いですが、一般的に用いられるのは第二区分までですからね」
その言葉を聞いて、私は別の疑問が浮かんでしまった。
「うん…………私の魔術計測の結果は10以上、なんだよね?10が上限じゃないの?」
「はい。10000分の9999までが黄色階位とされています。理論上は、黄みのある白は10000から13333の魔力量、白銀は13334から16666の魔力量、そして完全なる白は16667から19999の魔力量を宿していると考えられていますから。」
「確かに、白より下の階位では、そんな感じで区切られてる」
「はい。ですが、実際に最大値が10000を超える計測器はありませんから、推測でしかないのです。それに16667と19999では、大きな差があります。その点も正確ではありませんね」
「確かに。だからあの時、魔術階位が分かっただけでも重畳だ、って言ってたんだね」
「はい。元より、オデット様の魔力量などが分からないことは分かっていましたから」
それでも、魔術相反であるかもしれない可能性や、分からないことをはっきりさせるために、計測をする必要があったそうだ。
うん。まぁ分からないものは分からないのだから、あまり気にしなくてもいいか。
私はそう納得して、ルクスとの雑談を続けたのだった。
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百、という数字について、ルクスとオデットの小話を書いてみました。




