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第二十一話 ネムリヒメ

なんだか懐かしい感じがする。

誰かに手を握ってもらっているような、安心する感じ。

最後に手を繋いでもらったのはいつだっけ。

もう覚えてないけれど、きっとその時の私は幸せそうにしてたんだと思う。


「てん…そろそ…や…んだら?」

「僕…だい…あんし…。」


何やら声が聞こえる。

すごく疲れた声だけど…とても安心する声。

ずっと聞いていたいな…。


「もう二日…そろ…限界…」

「み…までは…」


声が大きくなってきた。

いくら安心するって言ったって、うるさいのは嫌かな。

だってもうちょっと寝てたいから。

…ん?

なんで私は寝てるんだろう。

そう気づいた瞬間、どんどん目が覚めてきた。


「うーん…うるさいなぁ…もうちょっと寝かせてよぉ…」

「ほら、何も心配することなかったんだよ。ミアのしつこさ…いや、しぶとさを舐めちゃいけない。」

「それは分かってたけど…心配するな、というのも無理があるだろう。」


何やら失礼なことを言われてる気がする。

眠い目を擦って周りを見渡すと、私のすぐ横にルディア、そしてその少し後ろ側にアイラが立っていた。

なぜかルディアはやつれた顔で私の手を握っていて、アイラに関しては包帯をあちこちに巻いている。


「ルディア、おはよ。手なんか握っちゃって、どうしたの?」

「はぁ…このまま寝たきりじゃなくて本当によかった…。」


ルディアが安堵のため息をついた。

よく見ると、すんごいやつれてる。

目の下には真っ暗なクマがあって、げっそりしている。


「店主さんも不憫だね。こんなのを二日も看病してたなんて。」

「ちょいちょい、アイラさんやい。それは一体どういう事?」

「どこぞのサボり魔が二日も寝たきりだったって話。」


二日も寝たきり…?

私が?

そんなわけないと思って外を見てみる。

すっごい雨が降っている事しかわかんない。


「ミア、何があったか覚えてるかい?」

「ちょっと待って…今思い出すから。」


確か私が珍しく真面目に仕事をしていると、外が大爆発したんだった。

何があったのか見に行ったら、そっくりさんの二人が殺し合いしてて、それで…。


「うーん…あっ!私あの後魔法に巻き込まれて…!」

「記憶も大丈夫らしい。これならもう心配はいらないか…。」


ルディアがまたため息をついた。

なんだかこっちも申し訳なくなってきた。


「あの魔法の六割くらいは私が相殺したんだけど…ちょっと威力が高すぎて潰しきれなかったんだよね。」

「アイラが助けてくれたの?」

「不本意ながら。」


アイラが包帯を巻いている理由はそれか。

私はにんまり笑ってアイラを見る。


「アイラ、私のこと好きなんでしょ〜。」

「…は?」

「わざわざ命をかけて助けてくれたんでしょ?」


アイラの口がぽかんと開いた…と思ったら一気に同じの形相に変わった。


「よし、今ここで私がぶっ殺す。」

「じ、冗談だって!助けてくれてありがと!」


アイラを煽るのはいつだって命懸けだ。

楽しいからついついやっちゃうのだけれど。


「ともかく…無事でよかった。じゃあ僕はそろそろ寝るよ。」

「ルディアもう寝るの?」


雨が降っていて暗いとは言え、おそらくまだ昼過ぎだ。

寝るのには早い。


「店主さんは二日も寝ないでずっとミアに付き添ってたの。寝かせてあげて。」

「ふ、二日も寝てない!?」


ルディアのやつれ方に納得した。

ただでさえ体が弱いのに、二日も…。


「別に気にすることないさ。僕なら大丈夫だから。」

「で、でもルディア…私のせいで…」

「ミアのせいじゃない。」


その声に微かな怒りを感じた。

そして今になってやっと気づいた。

ルディアの目が全く笑っていない。

こんな目をする彼を見たことがない。


「僕は今から少し寝るけれど、ミアも安静にしておくんだよ。縫った傷が開いたら大変だ。」

「わ、私そんなに酷い怪我したの?」


そういえば体があちこち痛い。

腕まくりをしてみると、私も包帯でぐるぐる巻きだった。


「ミア、絶対安静だ。分かったね?」

「はぁい。わかりましたぁ。」

「よろしい。それじゃ、僕はしばらく寝させてもらうよ。」


ルディアがそう言って部屋を出ようとした瞬間だった。

あまりに突然のことで、私は一瞬思考が止まってしまった。


「…る、ルディア!」

「店主さん!?」


ルディアは扉を潜る前に膝から崩れ落ち、そのまま動かなくなった。

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