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第十一話 ワタシトアナタ

ルディアと知り合ってから私の人生は一気に変わった。

まず圧倒的に評判が下がった。

まあそれも当然だと思う。

だって毎日仕事を抜け出して、ルディアのお店に通ってるんだから。


「…適度にとは言ったけどね、毎日サボれとは言ってないよ。」

「いつでも歓迎するって言ったのはルディアじゃん。」

「はぁ…飛んだサボり魔を生み出してしまったみたいだね。」


ルディアは私に何も期待しなかった。

私をバカにするし、煽るし、おちょくる。

でも優しかった。

いつでも受け入れてくれた。

私を見てくれた。

それが何よりもうれしかった。

彼と過ごしている間だけは、死にたいと思わなかった。


「そんなに毎日来て飽きないのかい?そんなに面白味のある店でもないだろうに…。」

「自分のお店を悪く言う?」

「本当のことだからね。」


気が付けばいつでもルディアのことを考えてる自分がいた。

なんとも幼稚な感情だろう。

まるで恋する乙女みたいだ。

まあ実際そうなんだろうけど。

でもそんな気持ちを抱いたからこそ気づいた。

ルディアは…体が極端に弱い。


「なんで気づいたんだい…?」

「だってルディア、よく手の力が抜けてるでしょ?」


ルディアはよく物を落とす。

それどころか、常に手が震えている。

そしてルディアからは魔力を感じない。

多分ヘアツ病だと思って聞いたけれど、どうやら推測は当たっていたらしい。


「昔からずっとこんな感じだからね。別に気にしないでいい。」

「…うん。分かった。」


そう答えたけれど、もうわかっていた。

ルディアは多分長くは生きられない。

ヘアツ病にかかった人は30歳までに死んでしまう。

治療法もない。

だからその日は家に帰って一人で泣いた。

ルディアがいなくなったら、私はまた虚像を被ることになる。

そんなのはもういやだ。

でも…ルディアに迷惑をかけるのだけはもっと嫌だった。


「いつ死ぬかは問題じゃないんだ。死ぬまでの時間を大切にできればそれでいい。」


ルディアはよくそう言った。

だから私は決めた。

ルディアの時間を奪うわけにはいかない。

私なんかのために時間は使わせない。

そんな無駄なことをさせたくない。

だから私はこの気持ちを忘れないといけない。


「大丈夫。これまでだってそうしてきたんだから。」


そう呟いて私は自分の心に蓋をする。

絶対に出てこないように押さえつける。

私自身、そんな感情があることに気づかないほどに。

好き…初めて抱いた感情とお別れする。

ルディアと一緒に過ごせるだけでいい。

私はそれだけで幸せなんだ。

きっとそれでいい。

それでいいから。

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