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8 話合い

「やっと帰ってきたか。三ヶ月も何処に行っておった。」

「異界の門です。北にある砂漠の異界です。その後ドラン国へ行きました。」

「何だと。キラは、敵国へ寝返るつもりか。あの国は再三にわたり我が国に謂れのない嫌がらせを続けておるのだぞ。答えによってはキラを私の弟子から降ろすぞ。」

キラは賢者にこれまでのことを詳しく聞かせた。賢者は、厳しい表情のまま聞いていたが、ハッとして眼を見開いた。

「先王か!あやつがその様なことをしておったと申すか。奴なら遣ったかも知れん。これは大変な問題だ。王には私から言っておく。キラは暫くここで静かにしておれ。いいな!」


「キラは何故ドランへ行くと決めたんだ?」

ボブが心配そうな顔で聞いてきた。

「この間の魔物の討伐で、何か僕の知らない魔法を使われたと思ったんだ。それで、調べようと思って。」

「キラは何でも知っているようで識らないこともあるんだな。あれは魔物をおびき寄せる薬を使ったんだ。ハッキリ分る敵対行動だ。」

その様な薬があったのか。識らないことがまだまだある物だ。

「先王は何故黙っていたんだろう。あの性格なら直ぐに戦争でもしそうな物なのに。」

「本当は戦争をして国を広げたがっていた。それを賢者が止めていた。賢者が反対すれば協力する物はいない。先王が賢者を邪魔だった理由の一つだな。」

先王は国を大きくする野望を持っていたのか。この国は海に面していないし、東は大河に阻まれていて、然も大河には危険な魔物がいた。東の国は鎖国状態だった。西は竜がいる森だ。八方塞がりの土地だ。

 各国を巡ってこの国の実情が分かってきた。この国の強みは魔法だけだったのだ。でも、キラがこの国の秘技をサミアに教えてしまったし、これからは他国と関係を築くには、もっと違う物が必要になるだろう。隣国とも良い関係にならなければこの国は寂れてしまうかも知れない。。

「この国にとって僕は、疫病神なのかも知れないな。よかれと思ってしたことが、この国の力を弱めてしまった。」

「そんなことは無いぞ。キラは一生懸命遣った結果だ。この国が中途半端な魔法に胡座をかいて自分でダメにしたんだ。イヤ、先王がだ。」

 賢者が帰ってきて王からの答えを持ってきた。

「王は数ヶ月後にドランへ行かれるそうだ。今はサミアとの縁組みがあり時間が取れない。だが、話し合いの場を持たれるとのお考えだ。その準備を今始められた。キラはこのままここに居なさい。」

先に王からの特命を受けて使者が向かっている。ドラン国がなんとか穏便に話合いを受入れてくれる事を祈ろうと、賢者が言った。

「僕はドランの人達に約束して来ました。もう一度行かなきゃ。」

「待て、キラ。お前が余計なことをして返ってこじれたらどうする。今度こそ戦争になって仕舞うかも知れないのだぞ。戦争という物は、勝てば良いという物では無い。勝ってもその後の人心が付いてこなければ、国は荒れてしまうのだ。国とはすなわち人だ。人の心が離れてしまえば、国は形が崩れてしまうのだ。先王には全く理解できなかった人の心理だが。」

力でごり押しすれば、人は反感を抱く。だが、キラは自分が間違っているとは考えていなかった。約束を守らなければ、彼等の希望が潰えてしまう。

「僕はカマドランの賢者の弟子としていくのではありません。キラという聖者として行きます。師匠、どうか僕を弟子から外してください。」

賢者は、愕然とした。キラから弟子を外してくれと言われてしまった。

「キラは、自分を聖者だと確信しているのか?傲慢という闇に飲まれてしまったのか?」

「僕は自分のするべき事をするまでです。それが例え闇に飲まれているというのなら、僕はそれでも構わない。」

キラはその場から転移でドランの神殿に行った。













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