表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/15

4 旧交を暖める

 サミア国との国交締結も終り、転移陣はサミア国の大神殿に設置してキラの仕事は終わった。

これからは、カマドランの王様はサミアの第一王女との婚約のため、自分で転移してサミアに行くだろう。

サミアの国王付の魔法使いにもキラから魔力の籠もった瓶を渡した。

キラは、やっと解放された。

「王様は、側室も決められたようだな。キラの級友では無かったかな。」

師匠からその話を聞いた時、そう言えば伯爵の令嬢は王族との縁組みを考えていたな。と、思い出した。

「師匠若しかして、ルシアーヌと言う伯爵令嬢では無いですか?」

「その様な名前じゃったな。王は自分の周りに魔法使いを置きたいようじゃ。これからは、第一子を魔法使いする時代になる。魔法学校には今八歳の第一子が続続と申し込んできている。サミアでは、平民も魔法使いに成っているが、王はこの国をどのようにして行くのかの。」

「誰でもなれるようにするのでは?平民は文字を読むことから始めないとなりませんから、それほど増えるとは思えませんが。今までは危険過ぎて同化が敬遠されていたのです。神殿で光の属性持ちが増えれば、貴族の総ての子供に、もっと簡単に同化できるようになります。」

「それはそれで、恐ろしいことになりはせんか?」

「魔石の値段が高いから、平民でもなれる人は限られるでしょうが。僕は生まれ持った魔石持ちが生きていければ良いと考えています。魔石を持った貴族が増えれば平民に周知されます。無知だった平民が偏見をなくせば、親は子供を殺さないで大切に育てていくと思うのです。」

「・・そうだな。その問題があったな。」

「それより師匠、師匠の異界の門は出来そうですか?」

「ああ、魔力の問題が解決したからな。20階層くらいの浅い階層になるが、それでも騎士達のレベル上げにはなるだろう。各階を難しくしてやろうと思っている。」

ニコニコと愉しそうに語る賢者は、新たな生きがいを見付けたようだ。

「ゼロが言うには、グランドヴァレーと言う谷に、異界の門があるそうです。そこは70階層で、初心者のレベル上げになるそうですよ。見て見たくありませんか?」

「そうじゃの、私の異界の門の参考になるかも知れんな。ゼロよ、少し私の手伝いを任されてくれぬか?」

【仕方がないの。ヘタレの弟子に少し手伝ってやろう。お主の異界の門には竜の魔石も使うと良いぞ。最下層に設置すればもっと深い階層が出来る。】

師匠はボブと一緒にグランドヴァレーへ行くのだろう。

ゼロは師匠に預けて、キラは王国の大神殿へ行ってみることにした。


 大神殿は、誰でも入れるわけでは無い。賢者に前もって訪問の許可を取って貰った。

キラが神殿の前の門番に応えを伝えると、直ぐに通された。

待合所に、スタントンが、大仰に微笑みながら入ってきた。

「久し振りキラ君。賢者の弟子が直に着てくれるとは、誉れ高いよ。」

スタントンは随分と立派な神官服を着て、大人ぶっている。なんだか調子が狂う。あのスタントンが、こうなっているとは思いもしなかった。

「スタントン、お前随分変わったな。偉くなってしまったのか?」

「チェッ、キラに良いところを見せようと気張って来たのに、つまんねぇの。」

何時ものスタントンに変わって、キラは一安心だ。彼は見た目は大人になっていたが、やはりスタントンだった。

光の属性を持っている数少ない神官達は、今は大変な忙しさだという。魔石の雑味を取るのに毎日寝るまで作業をしっぱなしだとか。

「キラのせいで俺は自由な時間が無くなってしまったよ。」

「サミア国から買ってくれば良いじゃ無いか。ダイダロスの神官達が作っているはずだ。知らなかったのか?」

「本当か?神殿長は知らないかも。余りにも手間が掛かって、時間も魔力も足りないと困っていらしたから。早速知らせて王様に頼んで貰おう。でも、今まで自分たちが上だと考えていたから、気まずいかもな。」

「もう少しすれば光の属性持ちが増えてくるさ。光を多く加えた魔石を神官希望者に同化させれば良いだけだから。それまでは頑張るしか無いだろうけど。あ、そうだ、これを神殿に寄進するよ。妖精の魔石を加工した最高級の魔石だ。」

以前に雑味を除いておいた魔石を五個取り出してスタントンに渡した。

「丁度孤児が一人神官になると言っていたから、彼に使わせて貰う。ありがとう。」

そんなに大変ならキラも手伝った方が良いだろうか。スタントンにそう言うと、いらないという。

「これは俺らの使命だ。今まで知らないこととは言え、沢山の子供達を犠牲にしてしまった。キラのお陰で真理が分かったんだ。これ以上は申し訳ないよ。」

スタントンと日を改めて、皆で集まろうと言って神殿を去った。




 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ