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3 異界の門から帰ったら

 キラ達がギルドに転移して、突然現れたのを見たガンザはホッとしたのか座り込んでしまった。

自分が手伝いたくても、何処へ行ったか分からなくては待つしか無かった。

心配しすぎて疲れた顔をしていた。ギルド長も、同じ気持ちだった。そしてサムに雷を落とした。

「この!馬鹿者が、あれほど気を抜くなと言ったでは無いか!」

でも、あの状況では気を付けていても、どうしようもなかった。この事は冒険者達に周知しておいた方が良い。挑戦する奴は必ずいる物だ。

「ああ、そうだな。皆に知らせなければな。こんなに危険で・・恐ろしい物なのだと改めて思ったよ。」

ガンザが、ギルド長を宥めながらしんみりと言った。

異界の門の詳細を書いた書面を作成して見たい人には見せ、話して聞かせた。

異界の門は32階層までは入って良いが、それ以上は禁止すると冒険者達に通達した。

「で、どんなところだったんだ、海の異界の門は。」

ガンザが興味津々で聞いてきた。

宝箱を見付けたと言うと驚いていた。

「宝箱が出ることもあるんだな。俺も行って見るか!。」

「辞めとけ。ギルド長には無理さ。第一泳げないだろ。」

ガンザに言われて、ギルド長が落ち込んでいる。サムが調子に乗って、

「ギルド長はもう年だしな、辞めて置いたほうが良いよ。」

サムはげんこつを喰らっていた。持ってきた魔石や、魔物の素材はギルドのために使って貰おうと考えていたキラだった。

 もうサミア国の王都へ行かねばならない。サム達にしばしの別れを言い、キラは王都へ転移した。

「あ、宝箱を置いてくるのを忘れて居た。」

【誰も分け前など要求せんわ。お前が倒した物じゃろう。返って渡されれば、相手は恐縮して仕舞う物じゃ。】

そう言う物だろうか。まあ、後で良さそうな物を見繕ってプレゼントをすれば良いか。

「そう言えば、これで制覇していない異界の門はあと一つだ。暫くは挑戦する気になれないけれど最後の門は、どれくらいなのか聞いておきたい。」

【70階層ある。一番難しそうじゃが、実はそうでも無いのじゃ。キラはきっと愉しかろう。ギルド長も連れて行ってやれば喜ぶだろうよ。初心者のレベル上げにも最適な場所じゃ。この大陸の中央にある,グランドヴァレーと言う谷の底にある。只普通にそこへ行くには竜の巣の中を抜けて行かねばならないが。儂の転移なら大丈夫じゃ。】

何処が、初心者用だ。普通の人には無理じゃ無いか。ゼロは感覚がおかしいんじゃ無いか?確かにゼロの転移で行けば門の入り口にすぐに着くからな。

ダイダロスが造ったときは、初心者でも行けたのかな。段々谷に魔力が充満してきて竜が繁殖してしまったのかも知れない。大陸の中央には竜がいるせいで国が全くない。大陸の外周に国が出来ているのだ。中央には、ぱっくりと開いた大きな谷とそれを囲む大森林があるだけだ。大森林は竜の餌場になっている。偶に飛竜の卵を狙って勇気ある冒険者が行く程度だった。

 飛竜の卵は国が買い取っている。飛竜隊の為に高値で買い取ってくれるらしい。キラは飛竜があれば面白いかも知れないと一時考えたが、転移があれば全く必要の無い物だったと考え直した。第一、飛竜の面倒を見ることが出来ないでは無いか。飛竜隊は国の為の部隊だが、偶に商人のためにも働くことがある。大商人が特別な取引のために高い金を出して、他国へ送って貰う。

国の流通の一翼を担ってもいるのだ。各国には必ず飛竜隊が居るが、カマドランほど飛竜を使い熟してはいない。カマドランの飛竜隊は魔法使いが担っている。秘伝の浮遊魔法があるため、飛竜からの転落事故も少ないそうだ。

かつての級友の、騎士の長男ベンゼルはもう成人している。彼の憧れだった飛竜騎士になれただろうか。

もう、逃げ惑うことはしなくて良くなったキラだ。級友を訪ねて見るのも良いかもしれない。

「この仕事が終わったら、ベンゼルや、神殿で修行をしているスタントンに会いに行こう。」

今年キラは十四歳になる。あと少しでキラも成人だ。

キラは、師匠に掛けられた術を解いてみようかとも考えていた。

師匠の所から逃げ出して直ぐに術を解けば良かったのに忘れて居たのだ。全く意識に上らなかった。これも性を抑制する術のせいなのだろうか。

だけど今。昔のことを思い出し、ハッとしたのだ。師匠の所を出たいと思った一番の理由を思い出したのだった。

だが、今はまだ決心が付かなかった。前世の記憶が、そうさせた。

思春期のモヤモヤとした、イライラに対抗できる自信が無かった。

まだ自分の心は弱い。自分で自分を律する自信が無かった。

過去の神殿の苦肉の策がこの術だったのだ。先人の知恵と言う奴だ。

まだ、これに頼って、もう少し大人になってから術を解こうと思いなおした。




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