はじめようか
さぁ、仕事の時間だ
出勤してから一杯の珈琲を飲む
これだけはどんな事があっても守ってきた日課だ
最後の一滴迄飲み干してから
「さぁ、仕事の時間だ」
そうして辺りを見渡せば
「とっくに仕事の時間なんですけどー」って顔でこちら睨んでる経理の女の子や
「まだやってなかったんですか」って澄ました顔の部下がこちらに飽きられた顔を向けている
いやいや君たち、一応私がこの会社のボスなんだけど・・・
納得はできないが、置いておこう
「それで、今日の仕事は?」
後に控える、秘書兼雑務の秘書に聞いてみる
「3丁目の鈴木さんのところに、出たそうですね。調査依頼が来ていますので、今日はそちらへ」
何が出たかはわからないけど、私はいるだけで解決できるので
「3丁目の鈴木さんだな」
そう言って、さっそく向かうことにする
「一人で大丈夫っすか?」なんて聞いてくるバカがいるが
「私が失敗したなんて聞いたことがあるのか?」と、ギラリって感じで睨んでやれば
「それもそうっすね」と軽くかわしやがる
なんだか、私の立場がおかしい気もするが、とりあえず3丁目の鈴木さんちに向かってみよう
「おはようございまーす、ちょっと調査にやって来ましたー」とドア越しに叫べば
「ちょ、ちょっと、周りの目もあるんだから静かにお願いしますよ」と鈴木さんが困った顔で出てきた
その刹那、鈴木さんの後ろにいた黒い塊が「ぎぃぁぁぁあっぁ」と叫んで消えた
「何?今の何?」
騒いでいる鈴木さんに「解決しましたので、費用はこれで・・・」と用意しておいた請求書を渡す
請求書をみながら「んーまぁ、これくらいなら」とブツブツ言いながら家の中に戻り、戻ってきた時に手に持っていた2万円をふんだくる様に「また、おねがいしますねー」と、鈴木さん家を後にする
これで、私の今日の仕事は終わりだ
あとは、部下どもがもっと働いてくれるだろう
私の本業はハウスキーパーだ
いわゆる、お掃除屋さんだな
ただ私だけが、なぜか違うお掃除を専門にしている
人の目には見えないもの、それの除霊なのか駆除なのか・・・
何故はっきりしないのか、当然だ
私にも見えないからだ!
それでも、駆除出来た時だけ、声が聞こえる仕様になっている
最初に黒い塊が・・・ってのは、読者サービスってやつだ
鈴木さんが出て来て「ぎぃぁぁぁあっぁ」じゃ、私が襲っているみたいだろう?
そうして、何故私がこんなことが出来るのか
次回、私の秘密が明かされる