この時俺は信じてもいない神に誓うのであった
現在三限目、地理の時間である。
地理の担当教員はこの二年三組の担任が行っており、クラスの雰囲気はよくほのぼのとしている。
授業の進行もまったりで教師およびクラスメイトすべての人が笑顔。
田中春道ただ一人を除いてーー
憎い。
憎すぎる。
俺が魔術師だったら今すぐ窓側最後尾に向かって詠唱してやりたい『ファイヤーボール』と。
なぜ俺ではないのだ。なぜ俺ではなく七瀬翼よ。貴様なのだ。お前に『美少女転校生の隣』という肩書きなくラブコメを始められるはずだ。なぜなら貴様には美少女幼な…
まあこの話は今度だ。
それより、二限目の国語の時間の話だ。
担当の教員は平泉美麗。
生徒たちからの支持はものすごく、常に黒タイツを履き清楚を担当している。
俺は微エロいや、かなりエロい、かなエロだと思っているがどうもあいつからは只ならぬオタク臭がするのだ
いや君たちみたいな物理的加齢臭のことを言っているのではない
思えばすべてあいつの搾取によってさっきのイチャコラは遂行されたかに思われる。
やつが教卓に教科書を置いたとき、確かにやつは教科書を二冊持っていた。
だがしかし今日宮華蓮が教科書を忘れたと言ったとき、教科書を貸さず、わざわざ七瀬君と名指しで見せなさいと言った。そして授業が終盤になったころ、とくに問題を出す感じじゃなかったのに、これまた七瀬を指名し、イチャコラさせた。
あいつは間違いなくオタク側で好敵手だ。
幸い、三限目の地理は担任ということもあって教科書を事前に持ってきている。だがしかし、次の授業化学において先生はじじいだし、絶対に持ってきていない。
否、俺がやることは一つ。何らかの形で七瀬翼にもう一つの教科書を渡し、「あ~なんか机に二個教科書入ってたから一個上げる~」と言わせる。そいてもう二度とあのような机くっつけイベントを起こさない。
だがどうしたものか、じじいのとこいって教科書をもらうのがオーソドックスであろう。最悪、俺の炎系魔術で七瀬の教科書を燃やしてどっちもなくせばいいのだが、俺には魔力なんぞないのだ。
そうして俺は授業終了と同時、あるいはすこし前に教室をでて、職員室に向かうのであった。
「ん~レンタルの教科書はないね~」
俺は職員室で膝をついた。はたから見れば土下座しているようだったが、そんなものは気にしない。
やはり物語を阻止するのは無理なのか?もうすぐ10分休みも終わり四限目が始まる。
格なるうえは、自分の教科書をこっそり七瀬の机の中に入れる。名付けて、『教科書ドッペルゲンガー』である。そうして二年三組の教室に速攻で帰るのであった。
春道は絶句した。
いつも生きてるか死んでいるかもわからない七瀬翼。隣に美少女転校生がいるというだけで、モブにたかられているじゃありませんか。そのせいでこっそり教科書を入れることなんか不可能に近い。
『正直他人だしラブコメしててもいいだろう』と一瞬油断したが頭のくせ毛のてっぺんから伸びきった足の爪までの全細胞がそれを否定し、窮地へと追いやられた田中春道が出した解。
自分の化学の教科書に『七瀬翼』とだけ書き入れ、これ落ちてたよ~という顔で取り巻きに渡した。
俺の教科書はなくなったが、missionに犠牲は付き物だ…
計画通り…
この時僕は物語を阻止し信じもしない神に誓うのであった。
絶対に阻止しようこの物語を。とーー
その後の化学は一人教科書を忘れた可哀そうなやつがいるからと言う理由でプリントの授業になった先生の粋な計らいを知る由もないだろう。
七瀬翼
身長・174
年齢・16歳の九月生まれ
好かれる属性・美少女
利き手・交差
血液型・RH-
概要・一軒家で両親は仕事の関係で単身赴任。実質妹と二人で生活。たまに隣の家の人が様子を見に来てくれる。そんな無気力な彼だが、幼いころに遊んだ金髪の少女に恋をしているだとか。彼曰く「今は高校生くらいだろうな~」と言っているが…まさか…ね…