平泉美麗の憂鬱
私の名前は平泉美麗。担当教科は国語。本日の二限は二年三組で行う。
『妖艶』の異名を持ち、常に黒タイツを着用。体育教師はいつも鼻の下を伸ばして近寄ってくる。
そんな微エロな教員だ…
まったく私ってば、罪な女だ…
チャイムが鳴ってから、二年三組に入った。
そういえば、転校生とやらは二年三組だったな。あらためて自己紹介をするとともに『妖艶』の名にかけて冷静に対処しよう。
「皆さん。おはようござーー」
私は絶句した。このクラスのネームドキャラ七瀬翼、少年漫画だと脇役この上ない風貌で私は彼がいつか転生あるいはクラス転移すると思っていた。あの田中春道の不自然に空いていた隣の席に座っていたのだった。
まさか恋愛漫画だったか。
いや、慌てるな平泉美麗よ。大事なのは傾向と対策だ。
そういい彼女は教卓に教材を置き、号令をかけ、授業は開始するのであった。
その時彼女、平泉美麗はきずいた。転校初日。制服も昔の高校のまま。
否、彼女は決定した。これだけの資料から分析し求め、解を出した。
これは机くっつけイベントだと。
そうきずいてからの私、平泉美麗の行動ははやかった。
今日の授業はプリントを用意していたが、教科書を開かせた。
「せんせー、私、教科書持ってないんですけどー」
ツンデレすぎる声で金髪美少女転校生は言った。では私はこのセリフを言うとしよう。
もう死んでもいい。ここにありったけを。
「では、隣の席の七瀬君に見せてもらってください。」
よしよし、かまずに言えたか?
声量はだいじょうぶだったか?手に汗握る展開だ。
そう彼女が言うとまんざらでもない顔で今日宮華蓮は七瀬翼にの席にくっつけるのであった。
机くっつけイベントから約40分後
授業も終盤に差し掛かかり終わりを迎えるときのことである。
私は絶句した。このクラスのネームドキャラ七瀬翼。
彼は美少女転校生と机くっつけイベントだってのに、空に顔を向けて寝ているじゃあありませんか。
私もこのラブコメに加担するしかない。しなければならない。
「じゃあこの問題、七瀬君、答えてください」
ビクッっと体を起こした七瀬であったがそれと同時よりちょっと後に、隣の今日宮が教科書の一部を指さす。おそらく答えを指しているのであろう。
「え、えーとCです。答えはC」
「残念。不正解ね。」
っとだけ返しておいた。七瀬は少しだけ顔を赤くしながら、なにやら小声で今日宮華蓮に話している。
『て、てめぇだましやがったな』
『寝ているほうが悪いでしょ』
きっとそんな会話をしてるのだろう。今日は満足だ。私のおかげで親密度が上がったといっても過言じゃないな。ふふ私はこの物語に加担している。
私は心に決めたのであった。
このラブコメを完成させようと。
平泉美麗
身長・167
年齢・20代後半
好きな属性・ダンデレ
概要・自称『妖艶』の名を持つ彼女であるがあくまで自称に過ぎず、他人から言われたことはない。
性格とは裏腹に、意外におしとやかで通っているために妖艶というより清楚である