モブ目線
プロローグは読み終わったかい?
本来ならあの後に甲高い男か女かのミュージシャンのオープニングテーマが入る予定だったんだが、残念ながら小説だったのだ。
それは置いといて、このどこにもぶつけられられない感情とともに、いま起こったことについてありのまま説明しよう。
先ほどの俺はかなり興奮していた。提出物を忘れて職員室にいった朝。俺の担任は知らない制服の女の子と何やら怪しげな会話をしていたんだ。
女のほうは後ろ姿だけで顔は見えんかったし、怪しげかもわからなかったが、このラブコメ厨に言わしてもらうと、あれは間違いなく転校生(美少女のすがた)で間違いはなかったのだ。
興奮を隠しきれす、顔のニヤニヤが止まらなかった。
やっと俺にもヒロインが、やっときた。そう思わせざるを得なかった。
クラスメイト達にニヤニヤしているところを見られたらまたいじめられるので、机に突っ伏していたんだ。
そしたら案の定、転校生は美少女だった。
でも俺のヒロインじゃなかった。
窓際最後尾に鎮座し顔も成績も運動も平凡。つねに生気のない男。
七瀬翼のものだった。そういうわけだ。
言われてみれば、異常に名前がかっこよずぎるし、身長だって俺より10センチくらい高い。成績だって毎回毎回60位だ。わざとかもしれない。
そのあとはお決まりの
「なんだ知り合いかー。ちょうどいいからあいつの隣座れー」
と、不自然に空いていたそこに落ち着いた。
そして現在、一限目。数学の授業にいたるわけだ。
今の数学の時間で問題をひたすら解く時間。次の授業は国語。そうあれが来る。あれが来るのだ。
察しの良いラブコメ上級者ならもうあれの正体がなんだかわかっているか。
察しの悪いラブコメ初心者にヒントを上げよう。ヒロインは転校生でこの学校に来たばかり、制服も元の高校のものだ。教科書もないだろう。
そう、机くっつけイベントがくるぞ
田中春道
身長・164
年齢・高校二年生
好きな属性・クーデレ
利き手・右利き
血液型・O型
概要・すべてにおいて平凡以下でラブコメの主人公になれる資格はなし。机に突っ伏して寝たふりをしている。本人は完ぺきに寝たふりをできていると思っているが結構バレバレである。時折、隙間から女子の生足を拝見し、その日のオカ、、、
おっと、誰か来たようだ。