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異世界転移してしまった俺はジョブクラス・ノーティラスで無双する 〜美少女クラーケンとヤンデレ船精霊と共に往く異世海冒険記〜  作者: 藤平クレハル


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第16話 断章Ⅰ:勇者降臨

 昔から、俺はそうだった。


 他人の目を気にして、他人の顔色を窺って。そして他人の真似をし続けた。


 それしか誰かと友達になるための方法を知らなかったから。だから、俺は幼なじみの二人が死ぬほど眩しく羨ましかった。


 一人は、海央守かいおうまもる。常に自分の意思で行動する一匹狼。クラスメイトと特段仲がいいわけでもないのに、いざという時は知識や経験を頼られたり、輪の中にいることもある世渡り上手なやつ。


 もう一人は雨月恵あまつきめぐみ。文武両道の才女。それなのに振る舞いに嫌味がなくて、誰にでも好かれる太陽のようなクラスの中心的存在で、地元でも有名な資産家の母と刑事の父を持つ少女だ。


 そんな二人と一緒にいる俺は何者だって? 名乗れるような人間じゃない。十六夜輝いざよいあきら、高校二年生。ただ家が少し金持ちなだけでなんの取り柄もない平凡なガキだ。劣等感を感じない方が難しい。


 一生このままなのだろうか。俺は、ずっと、このまま―――。


「……ら! …きら、あきら!!」

「ん……、なんだよ恵。もう少し寝させてくれよ、って、え、どうしたんだ?」


 瞳を開くと、目の前にはその完璧幼なじみである恵の端正な顔があった。慌てて飛び起きるものの、状況がわからない。


「寝ぼけてる場合じゃないわよ! 早く目を覚ましなさい、《《死ぬわよ》》!」


 どういうことだよ。俺は確か、客船のレクリエーションルームでみんなと遊んでいたはずだろ。それがなんでいきなり死ぬなんて話になる。


『グォオオオオオオオオオオッッ!』

「へ?」


 耳をつんざく咆哮を受けて、やっと言われた意味を理解する。今自分がいるのは船の中などではなく、土煙立ちこめる戦場であるということを。


 そして、咆哮の主はファンタジー作品に出てくるような異形の鬼。濃緑色の肌を持ち、ぎょろりとした目玉をぎらつかせている、オーガとか呼ばれるやつ。そんなやつが振り下ろしてきた棍棒を、すんでのところで横に転がってなんとかかわした。


「な、なっ、なにがどうなってんだよ!?」

「知らないわ。けど、私たちみんな変な光に包まれたと思ったらここにいたのよ。早く逃げないと、こんなのどうにもならないわよ」


 確かに、見渡せば、同学年のクラスメイトたちの姿がある。皆一様に怯え切った顔をしていた。


 そして、恵の言うこともわかるが、この状況では逃げることもままならない。辺り一面に死と暴力がその牙をちらつかせている。下手に動けばそちらの方が危なそうだ。


「てか、本当になんなんだよこれ……。映画の撮影、っていうわけじゃないよな……」

「そりゃあそうでしょ。そんな物に巻き込まれる理由もないし、この雰囲気。間違いなく、ここは戦場なのよ」


 さすが父親が刑事なだけあって、恵は肝が据わっている。対して俺はさっきから足の震えが一向に止まらない。今すぐにでも逃げ出したいのに一歩たりとも足が動かない。


「きゃあっ!? こ、こないで!!」

「っ」


 別クラスの女子の悲鳴に振り返ると、背後から迫っていたオーガが棍棒を振りかぶって、今にも女子の細い身体を砕かんとしていた。


 やめろ。喉元まででかかったその言葉は、萎縮した筋肉に阻まれる。体も動かない。やっぱり俺にはなんにもできないのってかよ。


 そんな俺の横を、一陣の風が駆け抜けていく。


「させ、るかぁああああああ!!」

「恵!?」


 大声で叫びながら突撃する幼馴染の少女を見送るしかできない。あっという間に女子生徒の元へ駆け寄ると、スライディング気味にその子の体を抱きかかえてオーガの足元を抜けていった。


 さすがの運動神経に惚れ惚れする。加えてあの胆力。やっぱりすごい。すごくカッコいい人間だ、恵は。


「ほら、ぼーっとしてないで輝も早くみんなを連れて逃げて!」

「お、おう!」


 恵の一喝に促されるようにして、重い身体を無理矢理に動かす。他の委縮している生徒たちをなんとかまとめて、比較的戦闘の少ないところを抜けていき、なんとか無事に小高い丘まで辿りついた。ここならいったん安全だろう。


「はぁっ、はぁっ。と、とりあえずどうやって家に帰るか考えねえとな……」

「そうね……。だけど、私たちが乗っていた船も見当たらないし、こんな状態でまともに話せる人もいるとは思えない。街かなんかを目指すべきなんでしょうけど、それも難しいでしょうね」

「八方ふさがりじゃんかよ。くそっ、てかさ、まもるのやつはどこにいんだよ……?」

「それは……」


 おい、まさかだよな。なんでそんな顔で俯くんだよ恵。まさかあいつが、あいつに限ってそんなあっさり―――。


「なんて顔してんのよ輝。安心して、死んだりはしていないと思うわ。多分ね。そもそも、私たちがここに来たタイミングで一緒にいなかったのよ」

「行方不明ってことか。どっちにしろ最悪じゃねえか……」


 こんな意味不明な時にこそ、守の冷静さと謎知識は役に立つこと間違いなしだろうに。


『ガルゥァアアアアアアア!』


 落ち着く暇など与えないとばかりに、丘下から何匹もの狼のような獣が登ってきた。地の利などかき消え、一転して追い詰められた。


「! ここにもバケモンが……!」

「みんな下がって!」

「やめろ恵、危ないって! 戦うのは無理だろどう見ても!!」


 牙を剥く獣に対峙し、拳を構える幼なじみに、俺はまたもや笑う膝を必死に支えることしかできない。いくら恵の体術が強くたってあの数相手ではあっさり蹂躙されて終わりだ。


 そんなこと彼女だってわかってるだろうに。それでも、誰かを守るために前に立っている。だのに、俺は。俺は。


「くっ、そがぁああああああああああ!!」

「輝っ!?」


 火事場の馬鹿力か。いや、ただのヤケクソか。


 どうせここで死ぬなら、最後くらい前向きに死んでやるよ。そんな情けない意地で飛び出し、恵に襲い掛かろうとした獣の顔面に拳をぶち込んだ。


 たまたまクリーンヒットしたのか、俺のへっぽこなはずの右ストレートが獣を吹き飛ばす。けどダメだ。続けて何匹もの獣に襲われて数秒後にはズタボロの死体に。


「男を見せたな、少年。おかげで間に合ったぞ」

「え?」


 直後。


 大地を揺るがす爆音が耳をつんざく。と同時に、迫りくる獣たちがバラバラに切り裂かれ、血飛沫をまき散らしながら吹き飛ばされた。


 呆気にとられる俺の前に、一人の女性が降り立つ。両手に巨大な剣を携え、白銀の鎧を纏ったその姿を目にした俺は思わず、素直な感想を呟いていた。


「勇者……?」

お久しぶりというにもあまりにもお久しぶりです! どうも、クレハルです。


なんだかんだで思い描いている作品は全て、細々と書き続けている毎日です。


そんなわけで、また少しずつ、生み出したキャラと物語を前に進めていこうと思うので、もし読んでいただけるのでしたら、よろしくお願いします!!

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