すりー
「わーーーーはははは!」
「お待ちください!ヴィオレット様!!!!!」
「きゃーーー!」
一方ははしゃいだ声。
一方は疲れた声。
「ボクまだ眠くないもん!」
そういって宙に浮いたまま仁王立ちをし、頬を膨らませた少女。ヴィオレットだ。
「そうは言われましても、良い子は眠る時間ですよ。」
そういってメイドの服を着た女性は諭すようにヴィオレットに話しかける。
「じゃぁボク良い子じゃないもーん!」
キャーと言いながら部屋を飛び回る。
「陛下に言いつけますよ!」
そう侍女が言い放つと、ズバビューンっと侍女の元へ降り立った。
「…。」
ヴィオレットがバンザイの格好をして大人しくパジャマに着替えさせられる。
「ヴィオレット様はいい子でございますよ。」
侍女はパジャマに着替えさせると優しく微笑みヴィオレットの頭を優しく撫でた。
「ボク、良い子?」
上目遣いで侍女を見つめるヴィオレットは不安気な光を瞳の奥に灯していた。
「はい。とっても良い子です。」
安心させるように優しく声を出した侍女はヴィオレットをベッドへ促す。
「今日はこのお話を読みましょうか。」
そういって取り出したのは、人間が読む寝物語。
「昔々、あるところに___」
話を始めるとすぐ、規則正しい寝息が聞こえてきた。
侍女は本を閉じるとそっとヴィオレットの頭を撫でて、寝台横も蝋燭をフ、と吹き消した。
「おやすみなさいませ。ヴィオレット様。」