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つー

「人間はいつも酷いことをするものだ。」



赤子を置き去り人の気配が消えた時。



草木の影から人影が一つと、わらわらとどこかから湧いて出てきた魔物達が赤子を囲む。


「キャッキャ!」


赤子はそれに怯まず、楽し気な声をあげた。


「ふむ。人の世では“忌み子”というのであったか。」


日の下へ出てきた人は物憂気な表情を浮かべ、赤子を見つめた。


「はは、何という魔力だ。

…この子は強くなる。」


その人物は、人とは思えぬ美貌にさらりと滑り落ちる髪。思わず平伏したくなる威圧感を持った人であった。


「なかなか可愛いではないか。」


その人は赤子を抱き上げ額に口付けた。


「私が育ててやろう。」


そう呟いた人物は瞬きの間にその場から消え去った…。



まるでそこには誰もいなかったかのように。





-----




「父様!」


赤い瞳。銀色に輝く髪。ぷくりとしたほっぺたに

ぷにぷにとした手足。


誰が見ても愛くるしいと思わざるを得ない5歳ほどの少女が、恐れ多いとひれ伏される男へ飛びついた。


「ヴィオ。元気だな。」


「うん!ボクはいつでも元気」


「そうか、元気なことはいいことだ。」


男はヴィオと呼ばれた少女を片手で抱え頭をさらりと撫でると足を進めた。


「陛下、あまりヴィオレット様を甘やかしてはだめですよ。」


「うるさい。こんなに可愛いものを甘やかすなというやつは鬼だ。」


「今更ですね、陛下。私は鬼ですよ。」


「ヴィオレット様は今日も可愛らしいことですわねぇ。」


「陛下がメロメロになるのも無理はない。」


陛下、と呼ばれた男の後ろには鬼、サキュバス、ヴァンパイアといった面々が続いた。


「イオ!ヘレナ!ヴァン!おはよう!」


「「「おはようございます。ヴィオレット様。」」」


名を呼ばれた3人は足を止め、頭を下げた。







ここは魔王城。


人族と魔族は5000年前、友好条約を結んだ。


今の世は人と魔はそれぞれの国を行き交い、友好的に発展してきた。


しかし、一部の過激派が今の現状に毒を吐く。


魔族を殺せ。

人を殺せ。


人間達は聖教会を中心とした反魔族派。

魔族達は邪神教を中心とした反人族派。


5000年の月日が流れた今。今か今かと叛逆の狼煙を上げるのを待ち侘びている。

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