ダーリン・ハニーと呼び合うけれど付き合っていない二人について(異性装男女。付き合ってない)
「そういえばねぇ?」
学校一の美少女(男)・椿原慶三が、幼馴染に語りかける。
「何だい、ハニー?」
学校一の美少年(女)・牡丹谷竜子が、椅子に腰かけ、脚を組みながら小首を傾げた。
「友だちから言われたんだけどー。恋人が欲しいなら、ハニーとダーリンの呼び方やめたらって」
「ふむ?」
牡丹谷が、自分の顎に手を添える。
「そんな風に呼び合ってるから、勘違いされて付き合いたい人が寄って来ないんだよーって」
「なるほど、一理あるね」
「ねー?」
なるほどなるほど、と二人で顔を見合わせ頷き合う、も。
「「でも」」
「正直、僕はそんな些細なことには動じないレベルの胆力を持った王子様が理想なんだよね」
と牡丹谷。
「私は、その程度のことって、流せる余裕と気品を兼ね備えたプリンセスこそ至高なんだよね」
と椿原。
二人の心が、一つになった。
「なら、このまま呼び合っていた方が、お互いに理想の相手に会えそうだと思わないかい?」
「思う思うー」
もう一度、深くお互いに肯いて。
「じゃ、しばらくはこのままってことで」
この件は落ち着いた。
後日、この話を友人らにしたところ二人は怒られた。
END.
『付き合ってなくても』(https://ncode.syosetu.com/n3935gz/)の二人をもっと書いてみたくて書きました。