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終末世界に革命を!  作者: 紙音
第一章
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エピローグ

「それでシルヴァが犯罪者を庇い、逃走を図ったと?」


 シルヴァが報告をした執務室。そこでは事の顛末をユリスが報告している最中であった。


「は、ルドルフ様。しかし犯罪者はシルヴァ様を洗脳したという発言もしており、シルヴァ様が裏切ったと確定したわけでは……」


「いや、あの娘が洗脳などされるとは考えにくい。裏切ったと見て間違い無いだろう」


「しかし、シルヴァ様が……」


「ふん、もともとあれは甘いところがある。今までも複数の罪人を見逃している、大方瀕死になった男を見て同情したのだろう」


 戸惑うシルヴァを一蹴するルドルフ。そこには娘を心配する色など微塵も見えず、ただただ冷徹に報告を聞いている。


「あの娘のことはもう良い。それより、罪人の方はどのような特徴をしていた?」


「は!年は成人しているかいないぐらい、珍しい黒髪でした。また私たちが到着したときにはシルヴァ様を押さえ込んでいる様子でしたので、シルヴァ様に及ぶ、もしくはそれ以上の力を有している可能性があります」


「あれに匹敵する実力、それならば間違いなく情報があるはずだが——待て黒髪と言ったか?」


「はい、ここらでは見ない黒髪でしたので重要な情報になるかと」


「いや、それよりその男は何色の目をしていた?」


「目……ですか?はっきりと目にはしていないのですが……」


 意図の見えない質問に戸惑いながら答えようとするユリスを急かすようにルドルフが再度質問をする


「その男は赤目ではなかったか?」


「赤目!そうですあの男はとても鮮やかな緋色の目をしていました!!」


「黒髪に赤目、まさかとは思ったが……」


「しかし黒髪に赤目だと、何かあるのでしょうか?確かに珍しい特徴ですが」


 忌々しげに呟くルドルフを怪訝に思い、ユリスが尋ねるとため息を吐きながらルドルフが答えた。


「黒髪に赤目というのはかつて政府に敵対した大犯罪者の特徴なのだ」


「というと、あの男は前にも政府が動くほどの犯罪を?」


「いや、その男は成人ほどの年齢と言っただろう。それだと年齢が合わない、おそらく子供だろう」


「おお!子供であれば、親を人質にすることですぐに掴めることができるではありませんか!!」


 忌々しいあの男を捕まえることができると思い歓喜するユリス。しかしルドルフの顔は相変わらず険しいままであった。


「……捕まっていないのだ」


「え?」


「その犯罪者はかつて政府が全力をあげて追跡したにもかかわらず、その全てを躱し逃走を成功させたのだ。そしてその特徴を持った子供がいるということは今も生きているのだろう」


「なっ!?政府の全勢力を上げても捕まえることが叶わなかったのですか!?」


 驚愕するユリス。それもそうだろう、政府の全力を上げてなお逃げ切ったということは、特務官に加えAIGIS捜査官のほとんどと、政府の情報網を掻い潜っているということ。そんなこと普通はできるはずがない。


「あの娘は気性こそ甘いが実力は本物、そこに同程度の実力が予測されるあやつらの子供か……。まだ関係者と決まったわけではないが、油断できる状況ではないな。ユリス捜査官、地区包囲と検問はすでに開始しているはずだが、まだその男の情報ないな?」


「は、警報発令後より検問と包囲が開始、その後まだあの男とシルヴァ様は確認されておりません」


「ならば、絶対警戒を通達をしておけ、なんとしててでもこの地区で確保する。戦闘も見込まれるゆえ、各支部の一級捜査官を招集し事にあたれ」


「了解しました。そのように通達しておきます。では私もすぐに現場に向かいますので失礼します」

そう言って慌ただしく部屋を去るユリス。


「——忌々しいミロクの血筋め」

 ユリスが去った後静かになった執務室でルドルフはそう零すのであった。


ーーーーーーー

「ここが、その場所だな」


 そこら中をにいるAIGIS捜査官と警備ロボットを避けつつ、俺たちは潜伏用の場所へと辿り着いた。


「ここですか、確かにここなら発見される心配は少なくてすみそうですね。住むには少しボロボロ過ぎる気もしますが、贅沢を言っていられる状況じゃないですもんね」


 目の前には俺の家が豪華に思えるほどのボロ家、ずいぶん昔の住宅街なので今は誰も住んでいない上、緩衝地帯に近いため汚染の恐れもあり開発も進んでいない。確かにここに住めというのはシルヴァのようなお嬢様には酷だろう、文句を言わないあたり性格の良さが見える。だが心配はいらない。


「ははは、流石に俺もここに住むのはきついな」


「でも、ここしかないんでしょう?」


「ま、とりあえずついて来てくれよ」


 そう言いながら俺はボロ家の中に入っていく。怪訝そうにしながらもシルヴァもついてくる。


「見た目通り中もボロボロですけど……」


「まぁまぁ、見とけって。——変換」


俺は床に向かって能力を使う。すると石がむき出しになっていた床が分解され地下へ続く階段が現れる。


「なるほど、地下室ですか」


「そういうこった、さぁお楽しみはこっからだぜ」


 思ったより冷静なシルヴァを連れて階段を下っていく。この間に万が一があっては困るので入り口は再び能力を使い塞いでおく。


「よくここまで整備しましたね……。確かにここなら潜伏するのには困らなそうです」


目の前には俺の家よりも広く整頓された空間、追跡の危険性を考えてテレビなどは置いていないがそれ以外はほぼ完備している、のだが……


「なんか反応鈍くないか?だいぶすごいと思うんだが」


 そうシルヴァの反応が鈍い、思い返すとさっきの階段の時もだった。


「あなたのする行動にいちいち驚いていると疲れますから。もう何が起きても驚かないことにしました」


 呆れためでこちらを見ながらシルヴァはそういった。


「なんだよつまんねーな」


「つまんなくて結構です。けれど先ほども言いましたが実際潜伏するのには非常に適してそうですね、まさかこんなところに人がいるとは思わないでしょう」


「あぁ、風呂やトイレも完備しているし、空調も完璧だ」


「至れり尽くせりですね、一体どうやって水などを確保しているのでしょうか?あとは水が平気でも食べ物の用意が難しいですよね……、購入しようにもリスクが高すぎますし」


 シルヴァの懸念はもっともだが、俺なら問題ない。


「そこは問題ない、水もそうだが俺の能力で作り放題だ」


 俺は実際にパンを作ってみせると、シルヴァにそれを投げ渡す。


「わっ!……全く、私の能力を強過ぎるだと言っていましたが、あなたも大概ですね」


「ははは、まぁ、一応お前に勝ってるしな」


「はいはい、そうですね。ではとりあえずエレメントの回復と傷を癒すためにも」


「あぁ、そうだな。だがその前にちょっと話すことがある」


「なんですか?傷もあるので早く安静にしなきゃですし。明日でもいい気はしますが……」


 そう、大事な話をしていないのだ。


「いや今日話とかないとだめだ」


「そうですか、では聞きましょう。それで話とはなんでしょうか?」


「お前のことだよシルヴァ、さっきが有耶無耶になっちまったが本当に俺と組むってことでいいのか?」


「今更何を言ってるんですか?私はもう」


「もうAIGISを裏切ってると?それは違うな俺に洗脳されてたって言って戻ればお前の立場ならなんとかなるだろうさ、政府も手放したくないだろうしな」


「それは……」


「それに、なんとなく俺を死なせるわけにいかなかったからなんて理由で、こんな状況になったままってのは多分良くない。お前の場合俺と組むってことは家族と敵対するってことだしな」


「キョウヤさん、そこまで……」


「——と言いたいところだが」


「え?」


「そもそも、俺に負けたし、今更裏切るとかないよな?」


「え、は?」


「それにあんなことして今更AIGISに戻れるわけないもんな!ピンク頭めっちゃ怒ってたし!!」


「いや、あの、私が自分で考えて決めたほうがいいとかそういう話じゃ……」


「いや、だってお前俺に負けたじゃん」


「それはそうですけど!!!だいたい私負けたら仲間になるなんて一言も言ってませんし、さっきから勝ったことでマウントとってくるのやめてもらっていいですか!そっちがその気なら今からもう一戦しますか!?」


「すいません、体が限界なので勘弁してください」


 流石にもう動けそうにないから勘弁してほしい。


「ああもう!どうしてあなたはそうしまらないんですか!?」


「お前、言わせておけばなあ!こっちは腹に穴が空いたんだぞ、少しは労われよ!!」


「労ってほしいなら少しは殊勝な態度を取ったらどうですか。さっきした治療を無しにしてもいいんですよ!!」


 シルヴァが据わった目でこちらににじり寄ってくる、これはまずい殺される。


「落ち着け落ち着け!悪かった俺が悪かったよ!」


「ふん、わかればいいんです、これに懲りたらあまり調子に乗らないことですね」


「わーった、わーった。で?」


「はい?」


「だから結局どうすんだよ、俺を見捨ててAIGISに戻るのか?」


「そういう言い方はズルくないですか?」


「でも事実だろ?」


「また調子乗ってませんか?」


「ごめんなさい」


「はぁ、まぁいいですよ。あなたのいう通り今更どんな顔して戻るのかって話ですし、あなたを放置して死なれても寝覚が悪いので」


「おお!やっとデレた!!!」


「た、だ、し!私がいるからには悪いことはさせませんからね!しっかり監視します。あとデレたとか次行ったら痛覚乱しますからね」


「すいません。でも悪いことって政府に逆らってる時点で俺ら悪者じゃね?」


 てか痛覚乱すってなんだよ……、怖。


「それは……、そうですけど。とにかく!!!一般の人たちに被害が及ぶようなことは絶対にやらせませんから!」


「はいはい、わかったよ。じゃこれで契約成立ってことでいいか?」


 そう言って俺はシルヴァに手を差し出す。それを見たシルヴァは俺との言い合いで乱れた呼吸を落ち着けたあとしっかりと俺の手を握った。


「仕方ありません。それよりあれだけ大口を叩いたんです。まさか途中で逃げたりしませんよね?」


 少し挑発するような笑みでシルヴァが言う。


「はっ、言ってろ。絶対にこんなつまんない世界ぶっ壊してやるよ。そして俺は思う存分遊び尽くしてやるんだ、そっちこそ置いてかれるなよ?」


 俺も挑発するように言葉を返し、改めてシルヴァの手を握り返した。そうしてついに俺は政府直属最高戦力《白銀》シルヴァ=アストレアを仲間に引き込むことに成功したのだった。


 まさか、あのデバイスからこんなことになるとはな。俺の直感万歳って感じだ。そしてその勘は今も俺にずっと訴えかけている、これからもっと楽しくなりそうだと。楽しみで仕方ないが、今はもう体が限界だ、それもそのはずシルヴァとの戦闘から腹に銃弾、一旦休まないと面白いものも楽しめなくなってしまう。今は一旦休憩だな、そんなふうに考えて俺は満足した気分で眠りにつくのだった。


「え、ちょっとこの状況で寝るんですか!?ちょっとキョウヤさん?キョウヤさーーん!!」


 とりあえず今は、おやすみなさい。


ここで一章は終わりです!一区切りついたので数日投稿を休みます。

といっても週末くらいにはまた投稿を再開しますので、その際はよろしくお願いします!

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