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終末世界に革命を!  作者: 紙音
第一章
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第十一話

「くっ、シルヴァ様、このようなことをしてただで済むとお思いですか」


 やはり特務官の攻撃をレジストするのは容易ではないらしく、レジスト態勢にこそ入ったものの、俺を殺そうとしていたAIGISの連中は軒並みシルヴァの能力の前に沈んでいた。ピンク頭がかろうじて意識を保っているだけで、あとは全員気絶してしまっている。


「手荒な真似をして申し訳ありません、ユリス捜査官。しかし政府に反抗する者は皆殺しでもいいという考えには到底賛同できないもので」


「はっはっは、残念だったなピンク頭!お前らの尊敬する《白銀》様は俺がいただいてくぜ!ゴフッ」


 ピンク頭が動けないのをいいことに、煽り散らかしていたら吐血した。そうだった、俺瀕死なんだった。


「あぁもう、何をしているんです貴方は!バカなことを言ってないで早く逃げますよ!」


「いや、でも俺動けそうにないんだが」


「応急処置をします!——調律」


 そう言ってシルヴァが俺の傷に触れると、みるみるうちに傷が塞がっていった。これは、俺の体内のエレメントを操作して傷ついた部分を補填しているのか?


「おお、サンキュ。それにしても傷まで治せるなんて飛んだチート能力だな。これで俺の専攻をくらった後もすぐに目が正常な状態になっていたのか」


「はいはい余計な話はいいので、それより動けそうですか?傷は治ってますけど失った血液までは戻りませんので、本来ならしばらくは安静にしなければいけないのですが……」


「そんな余裕はないと、まぁ無理矢理にでも動くさ」


「申し訳ないですがそうしてください。早く逃げなければ追手が——」


 シルヴァが言いかけた瞬間、けたましい警報が鳴り始めた。まさかシルヴァが通報するわけもなく、いったいどこからと思ったところで先ほど唯一気を失っていなかったピンク頭の方を見る。すると、やつはバカにするような顔でこちらを見ていた。


「万事休すだな、薄汚い犯罪者め!どうやってシルヴァ様を懐柔したかは知らんがこれで終わりだ」


「うるせえ、バーカ、バーカ!絶対逃げ切ってお前の責任問題にしてやるからな!!!」


「バカなこと言ってないで早く逃げますよ!ユリス捜査官すみません」


 そう言って、シルヴァがもう一度能力を行使するとピンク頭は気絶した。それを見て俺は——


「なぁ、シルヴァこいつの顔に落書き……」


「貴方って人は!もう、行きますよ!!!それとげーせんで出してた外套もよろしくお願いします!」


 そう言うシルヴァに引っ張られるような形で俺は逃走を開始した。


ーーーーーー

「まさか意識を保つだけでなく、動くことも可能とは……ユリス捜査官を侮っていました」


 一刻も早くあの場所を離れるために走りながら俺たちは状況について話していた。ユリスを褒めるシルヴァに、動くどころかお前の攻撃をいなした俺はどうなんだと聞きたいところだが、流石に状況が状況だ。ここは真面目に相談と行こう。


「なんとなく状況がやばいってのはわかるんだが、この警報は具体的どんなことが?」


「これは第一級犯罪警報と言います。、そうですね、簡単に言えば先程のユリス捜査官と同レベルのAIGIS捜査官中心の部隊が複数出動し、犯罪者を追跡するという感じです」


「なるほど、お前の攻撃を耐えうる奴が何人もってとこか。万全の状態ならまだしも、今の俺らじゃ少しきついな」


「そういうことです。ただ幸い通報するのが精一杯の状態でしたので、私が貴方側にいるという情報はないでしょう。そこで少しお願いがあるのですが……」


「ん?なんだ?ゲームでもしたいのか?」


「違いますよ!この強化デバイスのことです、これを解析して携帯デバイスと同様、追跡機能を無効にすることはできますか?」


 シルヴァが見せてきたのは、彼女が腕につけていた腕輪のようなもの。渡されて少し解析してみた感じ、エレメントの知覚器官を活性化させ能力の出力を上げるものか。通りでシルヴァの能力をレジストするのがめちゃめちゃ大変だったわけだ。ぜひ後で解析して量産可能にと行きたいところだが……


「いや、今すぐ無効は無理だな。構造が複雑すぎるし、今の俺だとエレメントの消費がきつい」


「そうですか、では捨てちゃいますね」


「だから、一旦壊して後で解析を、っておい!!!なんで捨てた!?」

 

 俺が話している途中でシルヴァは既に強化デバイスを投げ捨てていた。後で解析しようとしてたのに!!!


「いや、壊しても追跡機能は機能する可能性がありますし。万が一ということがあるでしょう」


「でも後で複製できるようになれば後々戦力に——」


「捕まったら元も子もないでしょう。それに政府を倒すのに政府の技術力を借りるんですか?あれだけ啖呵を切っていた割には都合の良い考え方ですね」


「んなっ!お前性格悪いぞ!」


「私はどこぞの誰かさんみたいに意地の悪い人には丁寧に対応する必要はないと学んだだけです」

 

 なんてこった、あれだけ俺に振り回されていたシルヴァの姿はどこへ、こんな皮肉を言うようになっちまった。一体どこのどいつがこんな風にしちまったんだ。……俺か。おっと今はそんなことを考えている状況じゃなかったな。


ーーーー

「それで?とりあえずあの場から離れて、追跡の懸念も無くなった。このあとはどうするんだ?」


 俺たちはある程度あの場から距離を取ることに成功したので、俺の案内のもと入り組んだ路地裏で一旦この後の方針を話していた。


「そうですね、この都市から離れたいところなのですが……」


「ま、そうだよな。ここはヨーロッパ地区の中心地にして総督ルドルフ様のお膝元セントリア。ここにいたら捕まるのは時間の問題だろうな」


「そうなんです。だからこそ、早急に離れるべきなんですが、今の私たちに既に手配されているであろう包囲網を抜ける力は残ってない。なので——」


「一旦潜伏するしかない……か」


 もちろん、止まることによって捕まるリスクもあるが追跡はされてない以上、今の状態で包囲網を抜けようとするよりリスクは低いだろう。


「それが良いと思います。そこで相談なのですがどこか潜伏にちょうどいい場所は知っていますか?私はそう言うことには詳しくなくて」


 なるほどそういう相談か。まぁ今までお嬢様だったんだそう言うことはあまり知らないだろう。特務官レベル相手にちまちま潜伏してる犯罪者の依頼が来るとは思えないしな、捜査などでもあまり見かけないのだろう。


「潜伏に適した場所か……。俺の家はシルヴァと入っているのが目撃されている可能性があるから却下だな」


 AIGISの目が届きにくい場所……、となるとあそこか?


「OK、シルヴァ。とっておきの場所があった。少し遠いがあそこなら安全なはずだ」


「貴方がとっておきとか言うと、少し嫌な予感がするのですが……」


「まぁまぁ、大丈夫大丈夫、俺も捕まりたくないし。それにお前も喜ぶと思うぜ?」


「私が喜ぶ……?どう言うことですか?」


「それはついてからのお楽しみってことで、じゃあ案内するからついてきてくれ」


 そう言って、俺はAIGISの連中に気をつけつつシルヴァを案内し始めるのだった。

お読みいただきありがとうございます。

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