第15.0話 ビーチクイーンコンテスト・冬秋
『盛り上がりを見せているビーチクイーンコンテストですが、残りの美女達も僅かとなりました!!』
司会の人の発言に対し沸き起こるブーイング。別にこの人が悪い訳でない事は誰もが知っているが、一種の通過儀礼とでも言うのだろうか。
あと何人でてくるのだろう。少なくとも四人は確実に出てくる事を知っている俺は、色々な意味で緊張が隠せなかった。
『落ち着いて下さい!! ここからは連続で……高校生の美少女達が登場しますっ!!』
『『『『イエァァァァァァァッ!!!!』』』』
高校生と聞いて騒ぎ出す大人……そう聞くと犯罪臭がするな。若い人ばかりだから、高校生や大学生が大部分だとは思うけど。
『それでは参りますッ!! 続いては~……エントリーNo17!! 向空冬凛さんですっ!!』
おお! トーリか! 大本命ではないだろうか? スタイルなら四人の中で断トツ……こんな事を他の三人には言えないが。
まぁそれに胸だけならアキ……ゲフンッゲフンッ!!
後はニコやかに微笑み、司会者との問答で会場を沸かせる事ができれば。
『『『『『おおおおおっ!!!!』』』』』
「うわ……トーリ、やば……」
まるでモデルかと思う程に綺麗な足取りで登場したトーリに、会場がどよめく。
しかしそこじゃない。みんなは知らないかもしれないが、トーリはクールに微笑む子で、あんな夏菜みたいな明るく元気いっぱいな笑い方をする子じゃないんだ。
クールがデレた。なんて破壊力っ!?
『高校生とは思えないスタイルですね! スリーサイズを教えて頂けたり?』
「それはダメです。私……そういうのは彼氏にしか教えませんので、知りたければ彼氏になってください」
『『『『はいはいはいはいっ!!!!』』』』
立候補しだす周り。全ては見ていないが、俺が見てきた中では間違いなく一番の盛り上がりだ。
「トーリ!!!」
「永遠のトーリ推しで参る!」
近くにいた人が声高らかに叫んだ。なんでだろう、この人達はトーリに投票する気がする。
『彼氏にしか教えない……ちなみに現在、彼氏の存在は?』
「今はいません。今は」
『おやおや~? 今というのを強調しますね!? もしや意中の方がいらっしゃったり?』
「そうですね。麻雀が好きな人とか、いいですね」
……めっちゃ目が合っている気がするんだけど、気のせいか?
麻雀って、好きな人は結構いると思うが。ちなみに俺は大好きだぞ。
『ポン!』
『チー!』
『カン!』
周りが騒ぎ始めた。コイツら、本当に知識があるのだろうか。
『大明槓嶺上開花!』
『純正九蓮宝燈!』
『天和地和人和!』
うむ、それは俺も憧れだ。カッコよさ、天文学的、始まる前に終わっている……上がってみたい。
よし、俺も叫んで応援しておくか。
「国士無双十三面待ちィィ!!」
ふふふ、俺が唯一上がった事のあるレア役満だ。届け! 俺の和了!
「あはは。13人待ち? 13人も侍らせるつもりかしら? 流石に許さないわよ」
明るく微笑むトーリ。やはり俺と目があっている気がする。
ステージから少し離れているから、気のせいかもしれないけど……十三面待ちに反応してくれたのは間違いない。
『はい! 最後はよく分かりませんでしだか……次に参りましょうっ! 好きな男性のタイプは?』
「私より麻雀が強い人、頭を撫でてくれる人、子供好きな人、温かい人」
なかなか色々とあるんだな。どこにでもいそうではあるが……なんか、個人を指しているようにも感じる。
強引にはなるが、俺にも当てはまったり……しない? ダメかなぁ。
その後、司会者からの質問に答えていくトーリは、終始明るい笑顔で会場の男性を魅了し続けた。
とりあえず、可愛い。俺はトーリに投票しようと心を決めるのだった。
――――
『――――続きましてぇ……エントリーNo19!! 連山秋穂さんですっ!!』
トーリの後に一人を挟んで、次に登場したのはアキだった。
『『『『お……おおぉぉぉぉ!!??』』』』
アキが登場した瞬間、会場にどよめきが起こる。
そりゃそうでしょうな。えぇビックリですよ、なんですか……その、布地の少ない水着は。
ブラジリアンビキニ……? 買ってたんかい!?
『え……ええと、連山さんは本当に高校生ですか?』
「? はい、そうですよ?」
首をかしげるアキは、なぜ聞かれたのか分かっていない様子だ。
ええ、高校生なんですよ。ビックリですよね、特にその水着だと暴力的に暴れておりますし。
暴走マシュマロ。私も含めて、会場に来ている皆さんの視線は釘付けですよ。
『で、では……スリーサイズをお聞きしても宜しいでしょうか……?』
グッジョブ司会者、誰もがそう思った事だろう。
しかし何故か、聞いてはいけないような気がする。夢は夢のままがいいのではないだろうか。
「秘密です。それに……成長途中ですので」
『せ、成長途中!? まだ成長すると!?』
まだ成長するの!? すげぇ……やっぱり詰まっているのは夢か。
「好きな人が出来ると、大きくなるじゃないですか? だから私も、もっと大きくなるのだと思います」
『……え? そうなのですか? つ、つまり連山さんには好きな方がいらっしゃると?』
『俺だろぉぉぉ!?』
『いや俺だぁぁ!!』
「秋穂は最強。秋穂がんばれ!」
盛り上がる会場。もっと大きくなるという期待と、恋愛中であるという事実が魅力を引き出す。
ここでも一人、まずアキに投票するであろう人を確認できた。アイツの目はあれだ、熱量が違う。
「好きな人はいます。でなければ、ここに立っていません」
『つ、つまり……この会場にきていると!?』
『『『『おおぉぉ!!??』』』』
更に沸き立つ会場は、異様な雰囲気に包まれる。
俺もアキから目が離せなかった。なんかアキ……そのまま告白でもしそうなほど頬を赤らめているんだが。
『それはそれはっ! ではこの場で、想いを伝えてはいかがでしょうか!?』
『『『『ウオォォオォォォオオオ!!!!』』』』
遠目からでも分かる。ジッとアキがこちらを見ている気がする。
俺の周りの男どもがソワソワしだす。もちろん俺もドキドキがヤバい……まさか、本当に?
「……この場では言えませんね。大勢に聞かれるなんて、恥ずかしいです」
アキにしては珍しく、顔を真っ赤にして目を逸らした。両手を体の前でモジモジし始めた。
途端に顔を赤らめる男達。分からないでもないが、これはアキの計算だと思われる。
『では、何か一言でも! 伝わるかもしれませんよ!』
「……分かりました。では……カレーパン好きのあなたに、彼氏になってくれたら……これ、好きにしていいんですよ?」
そう言って胸を強調するポージングをとるアキ。なんてエロス、とても高校生とは思えない。
相変わらず目は俺のいる方向を向いているようで、周りの男達は前屈み、しかし俺はドキドキでそれどころじゃない。
カレーパン、俺も大好きだ。
とりあえず、エロい。俺はアキに投票しようと心を決めるのだった。
お読み頂き、ありがとうございます
推敲時間が取れないので、投稿が遅れています
次回
→【あなただけへのアピール2】




