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第5話 どこの世界も友人は情報通

 





「――――よぉ~遅刻君! 初日から盛大に目立ったな? やるじゃないか」


「……なんだ央平(おうへい)か――――ッチ、また同じクラスかよ」

「いや、ガチの舌打ちは止めて。流石に傷つくぞ?」


 始業式に途中参加し、それなりに注目を集めてしまったチッコク三人組。


 バツの悪い顔をしながら、いそいそとC組の端に並び式をやり過ごした。


 式が終わり、知り合いに揶揄(からか)われながら教室に戻った俺に、止めを刺すかのように盛大に揶揄(からか)ってくる男がいた。


 真中(まなか)央平(おうへい)。中学時代からの腐れ縁で、まあ一応の一応ではあるが親友である。ビックリな事に、これで五年連続同じクラス。


 まさか、コイツが俺のヒロインじゃねぇよな? やめてくれよ。


 高身長ではあるがフツメン。フツメン!! ここ最重要。ちなみに当たり前だが彼女はいない、コイツと居ると安心する。



「しっかし髪、切ったんだな? 寝癖が酷いけど」

「時間がなくて整えられなかったんだよ」

「どうせ遅刻したんだから、整えて来ればよかったのに」

「――――ッチ」

「やめて、舌打ち」


 家を出た時は遅刻する気なんてなかったのだから仕方ない。


 まぁこれで良かったと思っている。なにしろ超絶美少女の愛川夏菜とお話しできたのだから。


 そういえば……愛川はどこに――――


 ――――いた。太陽の如き笑顔を携えた超絶美少女。うん、見事に公太君と一緒ですね。幼馴染って、やっぱり仲良いんだなぁ。



「なんで俺の隣にはお前なんだ?」

「え? いきなり? なんでって……言わせんなよ、恥ずかしい」

「照れるなよ、気持ち悪い」


 キモく照れる央平はおいといて……。


 愛川に限らず公太の周りには人が多かった。


 囲まれている……という程でもないが、男女共に数人のグループが楽しそうにお喋りをしている。


 あれか、上位カーストってやつか。確かに愛川のように可愛らしい女性ばかりが集まっているし、公太ほどではないもののイケメンもいるな。


 俺の視線に気づいたのか、央平が公太のグループを見て得心が言ったかのように頷いた。



「うちのクラス凄いよな。学園一のイケメンもいるし、四季姫が二人もいるんだから」

「しきひめ……? なんだよそれ?」

「はぁ!? 九郎しらないのか!? 去年から有名だっただろ!?」

「うっ……去年は……忙しくてな」


 忙しいからなんだって話だ。別に仕事をしていた訳でもなんでもないのだから、学園の有名事を知らない事の理由にはならない。


 去年は空手に打ち込んでいたので、忙しかったというのも嘘ではないのだが。


 なんと言うか、本当に数か月前までは興味なかったんだよな。


 興味がない……はおかしいか。青春や恋愛がどこか遠い世界の話だと勝手に思って、自分から遠ざかっていただけか。


 意識しだしたらこれだよ。今はモテたくて仕方ねぇ。



「うちの学年にはさ、四季姫って呼ばれてる四人の美女がいるんだよ!」

「四人……しき……あぁ四季、春夏秋冬って事か」

「そうそう! んでアソコにいる、愛川夏菜がその中の一人だよ」


 あぁ、夏ね。いいな~ピッタリじゃん。名は体を表すかぁ、俺も初めて愛川と話した時、そんな事を感じた様な気がする。


「そんな四季姫がこのクラスにもう一人いるんだよ! 六クラスもあるのに、四人の内の二人がこのクラスなんだぜ!?」


 そう言ってキョロキョロと辺りを見渡し始める央平。


 目当ての人物が見当たらなかったようで、『今はいないみたいだ』と呟いたのち、再び俺と向き合った。



「奇跡だろぉ? まぁ四季姫がズバ抜けて可愛いって訳じゃないけどさ、そういうふうに(くく)りたがるじゃん? 高校生って」

「そ、そうかもな。春夏秋冬が名前に入る他の子達が可哀そうだと思うが……」


 なかなか残酷だね。男どもが勝手に騒いでいるだけだと思うが、あからさまな格付けになっている。悪気はないのだと思うけど。


 春夏秋冬のトップか。他の子には悪いけど、俺も容姿は才能の一つだと思っているし、他の男どもと変わらないな。



「そうそう九郎! 今日は授業なしの午前終わりだろ? 帰り、どっかで遊んでいこうぜ?」

「あぁ、どうしよう――――っ」



 【ちょっと用事があるんだ】

 【――――ッチ】

 【いいよ、どこに行く?】



 う~んでたぁ。


 何気に、この選択って重要な気がする。恋愛ゲームにおいても、放課後の行動次第で様々なイベントが起こるしな。


 まあ何も起こらない可能性もあるだろうけど。せっかく出たんだから、ちょっと行動を変えてみるか。



「――――ッチ。ちょっと用事があるんだよ」

「あ、そうか? って、舌打ちいる?」


 少しも残念そうにしない友人を見て、特に問題ない選択だったと思う。


 コイツと遊ぶとそれなりに金を使うのだが、バイトをしていない金欠学生の俺は、そんなに自由にできる金がない。


 そういえば央平はバイトしてたよな。俺もなにかした方がいいかな。


 なんて事をボンヤリ考えている内に担任の先生がやって来て、そのままホームルームへ。


 なんと担任は荒先こと、荒木先生。う~ん若い女の先生が良かった、いるのか知らんけど。



 ――――――――

 ――――――――



「じゃあ九郎、また明日な~」

「おう、また明日」


 そんなこんなであっという間に放課後。初日だしこんなものだろう、明日のスケジュールの簡単な説明などを受けて終わりとなった。


 さて、友人の誘いを断ってまで選択したのだ。ちょっと用事があるとは言ったが、なんも用事なんかねぇよ。


 さぁ、どうすればいいのでしょうか? カモン!! 選択肢!!


 …………

 ……

 …



 おやぁ? なにも出てこないぞ? どういう事だ? イベントはどうしたのよ?


 なにこのクソゲー。選択肢が出ないと、動くに動けないじゃん。


お読み頂き、ありがとうございます


次回

→【建物と建物の隙間には猫がいるイメージ】


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >「――――ッチ。ちょっと用事があるんだよ」 二つの選択肢を欲張ってるように見えるけど、そのあたり触れてないし、説明足りない意味不明文章過ぎて無理だった。
[気になる点] 真中央平が腐れ縁で五年連続同じクラスということは、1年次も同じクラスということ。ならば1年次に四季姫の話が会話に出てこないのはちょっと……。 もしかして主人公、央平の話をほとんどスルー…
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