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第11話 中間テスト終了






「――――はいそこまでだ! ペンを置け!」


「グウゥゥッ……まさかの伏兵……! 忘れ去られし者めぇ……」

「終わりだ脇谷。夏休み、楽しみにしているぞ?」


 中間テスト終了。終わった、ああ終わった。


 憎たらしい顔をした荒木先生が教室を出て行くと、教室内は開放感による叫び声、安堵した表情、夏休みへの期待感が教室を包み込んだ。


 ……っけ! なに浮かれてんだか! 期末試験もあるんだぞ? 今よくても次がダメなら意味ないだろうが。


 このままでは……いや、まだだ。まだ終わらんよっ!!



「諦めろよ、俺はもう諦めたぞ?」

「――――ッチ」

「ふははは! 馬鹿の舌打ちなんて怖かないね!」


 憎たらしい笑みを浮かべながらやって来た央平。クッソ! 馬鹿に馬鹿と言われてしまった。


 勉強会に参加できなかった彼は、開始20分もしたらペンを置いていたように見えた。


 カンニングじゃないよ? そもそもバカのテストをカンニングしても意味ないもん。


 こいつ、なんでウチの学園に入れたんだろう? いや俺もだけどさ。俺の場合は選択問題が上手くハマったみたいなんだよね。



「全教科赤点確定! 仲良く補習授業を受けようぜ?」


 馴れ合う目を向ける央平を見て思う、うわ馬鹿だ。こいつ勘違いしてやがる。


「……全教科赤点? なんの事だ?」

「なんの事って……五教科、全部赤点なんだろ?」


「……俺の予想では、赤点は社会だけだ。すっかり忘れていたからな、社会」

「はぁぁ!? う、嘘つけよ! 九郎は国語も英語も理科も数学も出来ないだろうが!?」


 愚かな。俺だって遊んでいた訳じゃない。幸せを傍受しつつ、残った理性で必死に教えを乞うていたのだ!


 国語は蓮海と、英語は愛川に、理科はアキで、数学はトーリだ。そして何より、オールラウンダーの公太・酒神。更に我が愛しの姉、スパルタン陽乃に叩きこまれた。


 陽乃姉さんには助かったな。くっ付いてこよう(邪魔ばかりしよう)とする月ちゃんに睨みを効かせてくれていたお陰で、昨日の午後は勉強が捗った。



「故に! 俺の赤点は社会だけだッ!」

「自信もって言う事か!? 赤点は赤点だろ!?」

「ばぁ~かっ! 五つ赤点と一つ赤点じゃ天と地ほど違うわ!」


 メシウマ。悔しそうな顔をする央平を見ていると飯が進む。


 ほんの少しばかり罪悪感がない訳でもないが、央平は勉強会に参加していたとしても、結果は変わらなかったと思う。



「――――二人とも、どうだった?」

「おう公太! バッチリだぜ、ギリ赤点回避は確実だ」


 周りから、どっちもどっちだろ……といった視線を俺達は向けられていたと言うのに、そんな事はお構いなしで近づいてきて声を掛けてくれた公太。


「……バッチリでギリ赤点回避なのか……真中は?」

「お、俺は……――――」


「――――こいつもバッチリだぜ? バッチリ全教科赤点だ」

「ま、まだ決まった訳じゃない! 選択問題は全部やったぞ!?」


「……そんな簡単に正解の選択肢を選べたら苦労しねぇんだよ」


 本当に難しいよね、選択肢。最近、攻略ページでもあればなぁ……とか思うんだけど、ゲームじゃねぇからなぁ。


「公太はどうだった? やっぱり完璧か?」

「う~んどうだろうなぁ。完璧……ではないかな?」


 とかなんとか言っちゃって、主人公なんだから華麗に1位を掻っ攫うのだろう。


「それよりさ! 試験も終わったんだし、どっか遊びに行こうぜ?」

「そうだなぁ、今日くらいはパーッとやってもいいか……公太もどうだ?」

「そうだね、俺も行こうかな。今日は部活も休みだし」


 さぁゲーセンか? カラオケか? 久しぶりにボウリングなんかもいいなぁと思っていた時、不意に視線を感じて振り向くと――――



 【愛川とアキも誘う】

 【今日は男三人で】

 【公太に聞いてみよう】



 ――――めっちゃ愛川とアキと目が合った。


 たまたまこっちに目を向けた感じではなく、ずっと俺達の様子を窺っていたような感じだ。


 彼女達も誘ってみようか? いやでも、男三人に女二人ってどうなんだ? 彼女達、嫌がったりしないかな?


 ……央平が邪魔か? いやいや、流石にそれはない。ならば公太に任せるか? いやいや、目が合ってるの俺じゃん。


 よし。勉強を教えてもらったお礼もしたいし、彼女達も誘ってみよう。もし彼女達が、央平が邪魔……って言ったら、それは仕方ない! 仕方ないのだよ央平!



「愛川! アキ! 俺達と遊びにいかない?」


「あっ、うん! いくいくっ!」

「私も、遊びに行きたいです!」


 声を掛けて良かった。どこかつまらなさそうにしていた二人だったけど、誘った瞬間に見惚れてしまう程の笑顔で走って来てくれた。


 スキップするように向かって来る愛川と、トコトコという音がピッタリだと思う動きのアキ。



「いいよな? 公太?」

「うん、もちろん」

「央平も、別に構わないだ――――」


「――――ありがとおぉぉぉ!! ございますっ!!」

「お……おう。お前、暴走すんなよ?」



 その後、簡単なホームルームを行い、放課後。


 愛川とアキを含めた五人で教室を出た。


 後から央平に聞いたのだが、明らかに誘われたがっている男子生徒と女子生徒が数人いたそうだ。


 愛川とアキ、そして公太はつくづく人気なのだと思い知らされたな。


お読み頂き、ありがとうございます


次回

→【交わる四季】

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― 新着の感想 ―
[良い点] ギャグ多めな感じでめちゃくちゃ好き!続き楽しみにしてます! [一言] ほんとに面白くて好き!
[一言] そして廊下に蓮海とトーリが居て 下駄箱に月ちゃんが待機しているとみた! 陽乃姉は校門前かな?
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