表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/130

第2話 地獄からの天国

R15を外した影響かと思っていましたが、ランキングに載ったと教えられました

ありがとうございます

 





 軽い気持ちで4人に勉強を見てもらう約束をしてしまった俺に、選択肢が表示されていた。


 しかしこれは、とてもじゃないが選べない。選ぶべきなのだろうが、選べない。


 おぉ神よ、まだその時じゃない気がするのですけど。



 【春香と勉強する】

 【夏菜と勉強する】

 【秋穂と勉強する】

 【冬凛と勉強する】



 これって……終盤、もしくは中盤以降に出てくる選択肢ではありませんか!?


 今は序盤も序盤ですよ!? まだ三日目なのよ!? なぜこのような試練をお与えになるのです!?


 しかも本人の目の前での選択。つまり、選ばれた選ばれなかったという明確な差を、ヒロインに与えなければならない。


 ごめん、勝手にヒロインにしたけど許してね。



「でもさ~、他のクラスの人より同じクラスの人の方が都合良くない?」

「私もそう思います。授業の合間に教える事も出来ますし」


「あら、今は放課後よ? クラスメイトというアドバンテージはないわ」

「授業の合間は厳しいんじゃないかな? 集中できないよ」


 頭をグルグル回している間にも彼女達の会話は続いている、誰も引く気はなさそうだ。


 以前のように、時間が経っても選択肢は消えてくれない。そりゃずっと選ばないでいれば消えるだろうが、その時は何か他のものも消えそうな気がする。


 番号交換の時は、紙に番号を書いて交換をした。誰も選ばなかった……と言うよりは全員を選んだ形で回避した。


(そうだな、そうしよう。選択肢にはないけど、今回も全員を――――)



「――――ちょっと宜しいですか?」


 ガヤガヤとしている廊下に響いた、透き通るような声。意識をそっちに持って行かれると、その瞬間に選択肢は消えてしまった。


 一瞬の静寂のち、新たに現れた二人の男女に注目が行き、再び廊下は喧騒に包まれる。


 四季姫も例外ではなく、会話を中断し後ろから聞こえてきた声の主に振り返った。



「ありゃ? 公くんとつっきーじゃん!」

「こんにちは、夏菜さん。いつも兄がお世話になっています……秋穂さんも」

「あ、うん。こんにちは、月乃ちゃん」


 そこにいたのは酒神兄と酒神妹。兄の公太はどこか挙動不審だが、妹の月乃は喧騒なんて物ともしていない。


 彼らに反応したのは幼馴染で友達の愛川とアキ。酒神兄妹に軽く微笑みを送る二人とは対照的に、蓮海は戸惑っており、トーリは興味なさげに目を逸らした。



「お二人とは初めましてですね。酒神公太の妹で、酒神月乃と申します」


「……は、はぁ。初めまして、蓮海春香と……申します?」

「酒神と言われても知らないのだけれど……向空冬凛よ」


 愛川たちとは違い、蓮海たちは酒神兄妹を知らないようだ。二人とも意味が分からないといったり、どこか警戒しているような表情をしている。


 しかし酒神兄妹のカットインはある意味助かった。選んでいないのに選択肢が消えたという事は、時間切れ……もしくは次の場面に強制移行したという事なのだろう。



「二人とも、どうかしたのですか? 夏菜ちゃんに用事……ですかね?」


 代表してアキが二人に問いかける。愛川は同じように酒神に目を向けているが、蓮海とトーリの視線は二人から外されていた。


「夏菜さんと秋穂さん……それに蓮海さんと向空さんに用事があります」


 無関係だと視線を外していた蓮海たちの目も、その言葉で酒神後輩に向けられる。一体、初対面の二人を含んだ四人に何の用事があるのだろう。


 相変わらず公太は居心地悪そうにしているが、居心地が悪いのはこっちなんだが。学園の有名人がこんなに集まって……。



「兄さんの事も仲間に入れてあげてくれませんか?」


「うん?」「えっ?」「はい?」「はぁ?」

「あんだって?」


「お勉強会をするのですよね? 兄さんは頭がいいので、役に立ちますよ?」


 そう言って酒神後輩は微笑むが、こっちの五人は誰も笑っていない。


 皆一様に、どういう事? といった様子で呆けている。俺だってイキナリ何を言い出したと思った。


 別に突拍子のない事を言われた訳ではない、勉強をするという話で騒いでいたのだし。


 しかし勉強会ではなく、誰が俺と勉強するのかと言い合っていた所だ。何より異様なのは、それをなぜ妹が言うのかと。


 みんなでワイワイやろうとする雰囲気ならまだしも、あのような雰囲気に外部から入った、妹からの兄の推薦。公太本人からの申し出ならまだしも。


 それも愛川とアキだけなら分かるが、蓮海とトーリは酒神兄妹とは初対面なのだから、面を喰らうのも仕方がなかった。



「えっ……と、どうしようか? 九郎くん」

「そ、そうだな。トーリはどう思う……?」


「……どうもこうも、私は勉強会をするつもりじゃなくて、クローに勉強を教えようとしているだけよ」

「う、うん。あたしも……そうかな」

「大体、その人は頭が良いんでしょう? なら一緒にやる必要性がないじゃない」


 カッコいいなぁトーリは。キリっとした目とハッキリとした物言いに憧れる。テンパると幼児退行してしまう子だけど。


 蓮海も、あまり乗り気ではなさそうだ。彼女は優しいから断れないのだろう。押されたら受け止めてしまう子だろうし。



「あらあら、出会い方だけでここまで拗れるんですね」

「つ、月乃! みんな困っているだろう!? もういいから……」


「……はぁ。兄さんがそんなんだから……本当にどうしてしまったのでしょう」


 公太にはしては珍しく歯切れが悪い。妹には頭が上がらないのだろうか?


 公太本人の意思というより、妹が兄を推したいようだ。とは言っても、乗り気じゃない子がいるのならばここは――――



 【今日は春香、冬凛と】

 【公太を入れた六人で】

 【公太を抜いた五人で】

 【今日は夏菜、秋穂と】



 ――――あぁ……いい、すごくいい。さっきの選択肢と比べると天と地ほど違う。


 本人達の前で一人を選ぶなんて無理。選ぶべきなのかもしれないけど、どうしても選ばれなかった子の事を考えてしまう。


 こんな、選択できない奴に選択肢が与えられるなんて……(いず)れ誰かを選ばなければならないのだろうか?


 ともあれ、そうだとしてもそれはもっと後だろう。公太たちの介入で色々と選択する理由が出来たし、ここは――――


お読み頂き、ありがとうございます


次回

→【ちなみに央平は190くらい】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ