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とある日の……脇谷九郎






 とある日、九郎は新しい恋愛ゲームをプレイしていた。


 今日は久しぶりに暇な一日。最近は休みの日といえば、誰かしらと会ってデートっぽい事をしていたのだが、今日は全員に予定があったようだ。


 長らく触れていなかった恋愛ゲーム。選択したゲームは相変わらずハーレム物であったが、バッドエンドなどない穏やかなゲームのようだ。


「…………」


 当たり前のように現れる選択肢。よくよく考えれば、今表示されている選択肢なんて意識して選ぶほどの選択ではない。


 そしてどうにも、久しぶりにプレイした影響なのか選択肢に違和感を覚える。


 正確には、選択した後のヒロインの反応にだ。それは俺が勝手に、春香なら、夏菜なら、アキならトーリならと、登場するヒロインと比べている事が原因だと気がついた。


 あの展開であの選択なら、春香は優しく見つめてくれる。夏菜なら大きく喜んでくれる。アキなら柔らかく微笑んでくれる。トーリなら温かく笑ってくれるに違いない。


 月ちゃんと陽乃姉さんなら……う~ん、BADEND。


 そりゃこのゲームのヒロインと彼女達は違うのだ。反応が違うのは当然で、そもそも比べる事なんて意味がない。


(……なんか、急に冷めたな)


 そもそも恋愛ゲームを始めたのは、恋愛を勉強しようと思ったからだった。恋愛ゲームが嫌いという訳ではないが、没頭するほど好きだという事でもない。


 以前はそれこそ没頭していた。しかしそれはゲームが好きだからというより、自分のために必死になっていた感じだと思う。


 別に恋愛をマスターしたとか、そういうつもりはない。ただ表示される選択肢以外の事が頭に浮かんだり、俺の思ったように行動しない主人公に苛立ちすら覚えてしまっているのだ。


 散々世話になっておいて、恩を仇で返すとはこの事なのだろうか?


(そういや、みんなと付き合い始めた辺りから、選択肢を見なくなったような……)


 もう見えないのか? そもそもアレはなんだったのか。幻か、それとも本当に脳に障害でも発生してしまっているのか。


 仮にそうだとしても、誰も信じてくれないのだろうな。病院に行っても精神科を紹介されるのがオチだろう。


(障害……公太とぶつかった、あの日からだよな)


 色々な意味で衝撃的な出会いだった。始業式で、遅刻しそうで、曲がり角での激突。何度もプレイしたあのゲームにそっくりな出来事。


 違ったのはぶつかった相手がヒロインじゃなかったって事だけ。でも俺はあのゲームの世界に転生でもしてしまったのかと思ったよ。


(ただ思えば、あのゲームと同じだったのは、あの選択肢だけだったような……)


 ぶつかった時に現れた最初の選択肢。あの時は色々と動揺してしまったが、よくよく考えればあのゲームと同じ選択肢だった。なに見てんだボケ。あの選択肢はゲームの中で選んだ事はなかったが。


 それ以外の選択肢は、ゲームでは見た記憶がない。


(つまり、今までの選択肢は全部、俺が……)



 なんてゲームそっちのけで思考に耽っていると、いつの間にかハーレムルートへと辿り着いていたようだ。


 数人の女性が一人の男性を囲んで、楽しそうに笑い合っている。いつもの俺なら、ハーレムが達成された時点でゲームクリアーだ。


 一応、勉強目的の恋愛ゲームプレイだったから、付き合った後のイチャイチャには差ほど興味がなかった。


 ハーレムだろうが個別だろうが、そこに至るまでの手腕や選択の学習をしていたのであって、イチャイチャが見たかったからではないのだ。


 だからイチャイチャタイムは流して見ていた。今はそれを激しく後悔している。


(どうやってハーレムを維持すればいいのか……真剣にイチャイチャタイムもやっておくんだった)


 よもや自分もハーレムを形成してしまうとは夢にも思っていなかった。彼女達とどう付き合っていくかは試行錯誤するしかない。


(よし。せっかくだから真剣にイチャパートもプレイ……)


 ……なんか虚しくなってきた。どうして他人のイチャイチャを見なければならないのか。


 自分にも彼女がいるのに、なんで……あぁ、なんか無性にイチャイチャしたくなってきたんだが。



 ――――なぜこんな時に限って、彼女全員に用事があるのかと思っていた時、スマホの通知音が鳴り響いた。



 春< 会いたい。どうしても会いたい。

 夏< ウチも! 彼氏成分補充させてっ!

 秋< 仕事やっと終わりです。時間あれば会いたいです。

 冬< もう限界。寂しいのだけど……なんとかしてよ。



 流石は我が姫たち。思っていた時にそう言われると感動もひとしおだ。


 九< しょうがねぇな~! どこで待ち合わせる?


 こういう時、メッセージは便利である。俺もそう思っていたなど……顔には出るだろうが文字には出ないからな!


 そうして、四季との部屋で色々と話を進めていると……。



 月< じゃあ私も会いたいです。


 陽< はぁ? なによいきなり? 誰に会いたいってのよ?



 なぜか陽月姫の部屋に意味不明なメッセージが。


 俺は月ちゃんに盗聴や盗撮でもされているのかとスマホや部屋中をチェックするも、特に怪しいものは見つからなかった。


 一応いうと、ちゃんと七人でデートしたよ。なんで陽乃姉もいる――――グハァッ!?


お読み頂き、ありがとうございます



曲がり角激突→ゲームスタート

ハーレム達成→ゲームクリアー


選択肢簒奪勘違いで一時見えなくなった

消えた後も友人キャラになりきった時に1度だけ見えた、などなど

+ご都合主義でよろしくお願い致します


次回

→【姉覚醒?】




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― 新着の感想 ―
[良い点] ええなぁ。うらやましいなぁ。妬ましいなぁ。 [一言] ハーレム男は去勢しないと……
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