【Ⅰ】討伐系のお仕事!
「おはよーございます!! お仕事ください!!」
「はい、おはようございます。本日のお仕事はどう言ったものがよろしいでしょうか?」
「選べるの!?」
「はい、選べますよ」
冒険者ギルドに元気よく挨拶を響かせて、ユウとゼノは今日も冒険者の仕事を貰いに来た。
どうやら今回は仕事の内容に選択肢があるようで、冒険者ギルドと受付嬢はにこやかな笑みを浮かべて仕事内容が記載された羊皮紙を並べる。
ユウとゼノは、彼女が並べた羊皮紙を一通り確認してみた。
「食人花を二〇体討伐、カロンナイト五〇体討伐、ギガントゴーレム五体討伐……なんか何体討伐しろって内容が多いな?」
「ええ、指定した魔物を討伐する訳ではなく、今回は何体討伐すれば成功という形式の仕事がよろしいかと思いまして」
受付嬢は朗らかな笑みを浮かべながら、
「お二人は、こう言った仕事内容はあまりお受けになりませんよね? 挑戦してみるのもいいと思いますよ」
「まあ、確かに挑戦するのはいいことだけどなァ」
ゼノは仕事内容に一通り目を通してから、羊皮紙を眺めて仕事を吟味するユウに問いかける。
「ユウ坊はどうだ? どれやりたいとかあるか?」
「んーとね、これ!!」
ユウが拾い上げた羊皮紙には、カロンナイト五〇体討伐という仕事内容が記載されていた。
受付嬢はユウの手から羊皮紙を受け取ると、仕事受注の手続きをする。手続きを終えると、ユウへ「はい、こちらで受注は完了です」と手渡した。
「討伐系の仕事は、討伐した魔物の数によって報酬が変動します。途中で仕事を放棄することも出来まして、その際は討伐した魔物の数に応じた報酬金額が支払われます。目的数まで討伐すれば満額です」
「なるほどな、随分と優しい内容じゃねェか」
ゼノはユウの頭を撫でてやりながら、受付嬢の説明に耳を傾ける。
彼女が懸念していることは、ユウが途中で討伐に飽きないかという点だ。
最強の魔法使い様は滅多なことで我儘は言わないが、もし「飽きた」「疲れた」など言ったら宥め賺すのが大変なのである。
討伐した数まで報酬が出るのであれば、もしユウが「飽きた」などと言った場合でも安心だ。ユウだけ先に家へ帰らせて、ゼノが残りの魔物を討伐してしまえばいいだろう。
ユウも何とはなしに話を聞いていたのか、特に興味もないようで「ふーん、そうなんだぁ」と適当な答えを返していた。
「でも、カロンナイトってどこにいるんだろうね?」
「詳しくは羊皮紙に記載しておりますので、そちらをご確認ください」
受付嬢は清々しいほどの笑顔で、ユウとゼノを冒険へ送り出した。
「それでは、ご武運を祈ります」
☆
「カロンナイトってどこにいるのかなぁ?」
冒険者ギルドを後にしたユウとゼノは、仕事内容が記載された羊皮紙を確認する。
カロンナイトの五〇体討伐。
場所、魔王城付近。
見慣れない場所である。
ユウは「まおじょ?」と首を傾げて、
「ゼノ、ゼノ、まおじょ? だって」
「まおじょ? そんな場所あんのかよ」
ゼノはユウから羊皮紙を受け取り、改めて場所を確認する。
「魔王城だってよ。そういや、この世界は魔王ってのがいるらしいな」
「魔王?」
「魔物の王様だ。人々を怖がらせている魔王ってのは、最強の闇魔法使いらしいぞ」
いつか聞いた魔王の情報を思い出しながら口にするゼノに、ユウはムッとした表情を浮かべる。
「ぼくの方が強いもん!!」
「そうだな、ユウ坊の方が魔法使いとして優秀だな」
「えへん」
魔王の討伐が依頼されているならまだしも、今回の討伐するべき魔物はカロンナイトである。しかも五〇体もだ。
ゼノは冒険者ギルドから受け取った地図で、魔王城の位置を確認する。
魔王城はどうやら最北端にあるようで、北の一部が黒く塗り潰された上で『魔王城』と無骨な文字で書き殴られていた。
「魔王城までの直行便はないみたいだな」
「えー、そうなの? どうやって行けばいいの?」
「どうやら魔王城の近くにある町までの馬車があるようだな」
ここだ、とゼノがユウにも地図を見せながら、魔王城付近にある町を指で示す。
そこには『カザンドラ』とあった。
意外と大きな町のようで、魔王城まで目と鼻の先という距離にある。魔物の被害を受けていそうな町だ。
ユウは「ほええ」と声を上げ、
「こんなところにも町があるんだね」
「そうだな。魔王城に行く前に、ここで消耗品とか買っていくか」
「うん!!」
元気よく頷いたユウは、思い出したように「あ」と言う。
「ローザちゃんどうしよう? フラウディア王国から魔王城まで遠いよね?」
「ああ、そうだな。一応言っておかねェと、アイツ拗ねるからな」
以前、首なし騎士ダーウィンを討伐すると報告した時は、滔々と魔物のことに関して説明をしていたが、今回も怒るだろうか。
ユウは「怒られるのだけは嫌だなぁ」と呟くと、
「一応言いに行こ。ローザちゃんもぼくたちが心配なんだと思うから」
「そうかァ? アイツの場合、どうでもいいとか思ってそうだけどなァ」
ゼノは「まあいいか」と言うと、ユウの背中をポンと叩く。
「一旦家に帰るぞ。あのドジっ子メイドに一言ぐらい報告しねェとな」
「うん!!」
ユウは両手で長杖を握りしめ、先を歩くゼノを追いかけた。




